ショコラティエ

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 160
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912291

感想・レビュー・書評

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  • ショコラティエそのものな表紙がスマートで素敵ですね。
    幼馴染の男子二人と女子一人の成長物語。
    スムーズには行かない関係と人生がリアル。

    母子家庭で育った聖太郎は、小学校の同級生・光博の誕生日パーティーに招かれる。
    大宮製菓の御曹司の光博のパーティーは豪華で、初めて見るチョコレートの泉に魅了される聖太郎。
    お菓子を通して急に仲良くなった二人は、光博の家でお菓子作りを楽しむ。
    光博の幼馴染でピアニストを目指す凛々花と出会い、惹かれながらも裕福な二人に引け目を感じる聖太郎。
    光博は裕福だが特に才能もなく、やりたいこともないことに苦しみます。それぞれ嫉妬や葛藤に悩み、距離があいてしまう。

    聖太郎は順調にフランスに留学する機会を得て、お菓子作りの修行に打ち込みますが、思わぬ出来事が‥
    日本では大震災が起こったのです。
    その影響もあってまた運命が変わり‥

    努力して得たものもあり、行き詰まってしまう面もあり。
    最後の方はやや駆け足な印象で、えっこうなるのと驚きましたが、突然のこれもハッピーエンド?
    若々しいひたむきさが爽やかで、好印象が残りました。

  •  父を亡くし、母と2人つつましく暮らしていた小学生の羽野聖太郎は、ある日クラスメイトの光博から1通の封筒を渡される。それは、食べきれないほどのご馳走が出て、お土産にたくさんのお菓子も持たされると人づてに聞いた光博の誕生会の招待状だった。ピースチョコで有名な大宮製菓の御曹司で大豪邸に住んでいるという光博とは、ほとんど口もきいたことのない間柄だったが、母親を安心させるため誕生会に出席することに。
     ご馳走は並ぶものの、両親の姿もなくお手伝いさんたちが取り仕切る誕生会。クラスメイトもどことなく空々しい感じで、違和感を感じる聖太郎。しかし、そこで生まれて初めてチョコレートフォンデュに出会い、すっかり魅せられた聖太郎は……。

     タイトルから、どこかのショコラトリーとかの職人の物語と思っていたから、子ども時代の話が長く続いて、ちょっと意外なスタートでした。クラスメイトでありながら親しくなかった2人の男の子が誕生会で出会い、親しくなるものの、境遇や才能やらで距離ができ、そして……という物語。
     「嫉妬」という感情との向き合い方、自意識との闘いは、人生の通過点では避けて通れないんだろうなぁと今更ながら思ってしまいます。後半はページが足りなくて、もっと読みたかったのにと残念。読後はチョコレートが食べたくなること必至。

  • 神戸に暮らす小学生の聖太郎と光博、家庭環境の全く違う二人がお菓子を通じて仲良くなり、成長していくうちに疎遠になってそれぞれに転機を迎え、お互いの進む道を見つける迄の物語。

    凜々花含めて三人のどの嫉妬も焦燥感も凄く分かる。
    他人を羨んでも仕方ないと分かっていても、急に裕福にはなれないし、才能は突然降っては来ないし、ハングリー精神も培われない。

    登場人物達はそれぞれにほろ苦い経験をしつつも未来を感じさせてくれて、これは一冊通して完全にプロローグだと思う。
    完結した所からの「これから」の物語なんだけれど、でもそこがいい!

  • 短編集となっており、テンポよくサクサクと読み進める事ができた。しかし後半では話があまりにも急に進んだため、少し驚いた。また読みたいとはあまり思わなかった。しかし、主人公達のその後の話は気になる

  • 父を交通事故で亡くし貧しい家庭で育った聖太郎は、小学校の同級生・製菓会社の御曹司である光博と趣味のお菓子作りを通じて友情を育んでいく。
    恵まれた環境の光博に劣等感を覚えながらも、菓子作りを自分の進む道と決め、才能を花開かせていく聖太郎。
    会社の後継ぎとして将来を約束されながら、才能のない自分、やりたいことを見つけられない自分に屈折した思いを抱き悶々とする光博。
    それぞれが抱えた劣等感、嫉妬、葛藤は境遇に関わらず彼らを悩ませ、やがて疎遠になっていく・・・
    光博の幼馴染・ピアニストの凜々花を交え、恋心、失恋、友情と3人の小学生から大人になるまでの成長が美味しそうなケーキやチョコレートの描写と共に描かれる。

    当初想像したような一人の女子を巡る男子二人の甘々の物語ではない。端から見るとどんなに恵まれた環境にある者も、他人にはわからない劣等感や葛藤を抱えていることが青春の苦い味付けのように描かれ、それでも、少年時代の友情をまっとうさせたラストは爽やかで、この後の3人の物語を是非とも読みたくなる読後でした。

  • 初めましての作者さん。
    図書館でふと手に取って、期待してなかったけど想定外に良かった!
    ありきたりなボーイミーツガールとか友情モノかな?と思ったけど、聖太郎と光博が、自分の才能や家庭環境への葛藤などを乗り越え、少しずつ成長していく姿が丁寧に描かれていて、読みやすい文章だけど、流れも自然で、よく組み立てられてるお話だなと思う。
    女の子のポジションが、あくまでもスパイス的なところや、光博の会社に入る訳じゃないラストも、すごく私好みだった。
    とにかく美味しいショコラが食べたくなって近くのショコラトリー探した!笑

    調べたらこの方、今まで児童文学が多かったのかな?
    本書のような大人向けの小説もたくさん書いていって欲しいなぁ。

  • 大宮製菓の御曹司の光博と小四で親友になったクリスチャン育ちの聖太郎。神戸を舞台に関西弁が彩る。引き籠もる光博や震災や死の一方でパティシエを経てパリでショコラティエへと進む聖太郎やピアノが何より最優先な凜々花の業が苦くて甘い。才能という恋人との澄み切った視界。洋菓子が楽しい。結末が嬉しくてぐっと来た。

  • 藤野さん、大好き! この本もとっても良かったなぁ。
    小学校時代仲の良かった三人が大人になってだんだん距離が離れて
    いきつつ、互いに関係が交差するのだけれど、それぞれのからみあいぶりがとてもリアルで、ラストが泣けた。

    ただフランス語の語学留学した体験からすると、ほとんどなんの勉強もせずにフランスに行って、3年間そこで暮らしたのに、言葉の苦労のかけらも出てこず、現地の人間関係も日本人とばかりというのに不自然さは感じた。

  • 母子家庭で育った聖太郎と、大宮製菓の御曹司・光博。ふたりは共通の趣味であるお菓子作りを通して親友となるが、些細な出来事をきっかけに、疎遠となってしまい……。神戸を舞台に描く、ちょっぴり甘くてほろ苦い成長ストーリー。

  • 小説的な分かりやすい起承転結や、面白みは薄かった。ただただリアルに、神戸で生きた誰かの人生を切り取ったよう。求めていたものとは違っていたが、これはこれで良かった。
    ただ途中から聖太郎はショコラに入れ込みすぎ、かと言ってもう一人の光博は基本的に甘ったれの坊ちゃんだったので、感情移入が出来ず、微妙だった。

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著者プロフィール

藤野恵美
『七時間目の怪談授業』『七時間目の占い入門』『お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿』(講談社・青い鳥文庫)をはじめ、『怪盗ファントム&ダークネス』シリーズ(ジャイブ・カラフル文庫)、『世界で一番のねこ』(アリス館)ほか、一般書ではコージーミステリ短編集『ハルさん』(東京創元社)が話題となり、2017年にテレビドラマ化されるなど児童、一般書の両部門で活躍。『しあわせなハリネズミ』は「ひとりで過ごすのが好き」だという息子をモデルにして書かれた。

「2019年 『しあわせなハリネズミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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