雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール

著者 :
  • 光文社
3.45
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本棚登録 : 143
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912383

感想・レビュー・書評

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  • 本を読み終えてから、著者のインタビューを読んだ。

    「五分の一くらい書いたところで一方的に(光文社へ)送りつけたものだから、「なんだこいつ、突然」と思われたんじゃないでしょうか。そしてきっと、「なんだ、この小説は」とも思ったはずです(笑)。」

    はい。思いました。「なんだこの小説は!」と。笑
    ぶっ飛んでるなって!

    冒頭ホントにふっ飛んじゃうんだけど。雛口依子が。
    依子の乗ったスクーターが車に突っ込み 宙をまい アスファルトに叩きつけられるまでの数秒間。依子の脳裏をよぎる過去。

    生き返った兄。壊れた家族。

    過去の無差別銃乱射事件。
    その被害者の依子。
    「加害者の妹と被害者の姐さん。2人で事件のルポを書いて一発当てましょうや」と依子の目の前にあらわれた犯人の妹・金髪美女の葵ちゃん。

    「三角屋根の家」での エロとバイオレンスに支配さた異常な共同生活。

    …ワケわからない。読者をまったく置いてけぼりにして 過去と現在を行ったり来たり。過去と現在の接点が全然見えてこない。話の着地点もわからない。

    依子の過去はエロと暴力とクズのオンパレード。最低で最悪の状況なのに、全てを諦めて生きている依子視点で語られると軽く感じられる。ポップ笑。そこにぶっ飛んでる葵ちゃんが絡んでさらにハチャメチャ笑。

    でも、後半の怒涛の伏線回収がすごかった!!
    全部が繋がってたとき あーここまで読んで良かった!って。 葵ちゃん!杖爺!お兄ちゃん…。
    最初に戻って「あー!パパいい事 言ってるわー!」って!

    左足折れて アバラもあやしくて 頭から血を流しながら地面を這う依子がカッコいい。葵ちゃんとのコンビも最高。

    『誰に命令されようと、いいなりになんかなっちゃいけない。たとえ相手が、神さまであってもな。」

    運命なんかクソくらえ。
    『生きねば』!

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    社会から隔離された生活をしていた依子。楽しみのひとつだった 週刊誌の連載小説『毒母VSメンヘラ娘』笑
    巻末に袋とじとして付いていた!
    「オットセイか!」がここからきていたとは笑

    • ゆーき本さん
      超ショートスリーパーでも元気な体とかあればいいんかな。でも寝てる時間気持ちいいもんな。
      超ショートスリーパーでも元気な体とかあればいいんかな。でも寝てる時間気持ちいいもんな。
      2023/11/19
    • yukimisakeさん
      いやぁああ!!せめて大量の本を!!あれ、監禁プレイ…??笑
      ショートスリーパー憧れますよね…
      いやぁああ!!せめて大量の本を!!あれ、監禁プレイ…??笑
      ショートスリーパー憧れますよね…
      2023/11/19
    • ゆーき本さん
      ね!わたし もう眠いもん( 。- -。)zzZ

      監禁もプレイにかえる そのポジティブ思考
      最高だねദി ᷇ᵕ ᷆ )♡
      ね!わたし もう眠いもん( 。- -。)zzZ

      監禁もプレイにかえる そのポジティブ思考
      最高だねദി ᷇ᵕ ᷆ )♡
      2023/11/19
  • 9割がた読んだけど…もういいかな、って思いました。

  • 軽快なテンポで進み読みやすい文章に誤魔化されるが、綴られる物語はヘビィー過ぎる。
    もし中村文則氏が同じ内容で書いたとすれば陰鬱に描かれるだろうが、本作は何故かポップな感覚も覚えてしまう。
    主人公は洗脳された雛口依子。洗脳されているので周りからすれば酷い仕打ちも、本人にとっては「普通」「当たり前」な内容。その感覚が物語の悲惨さをカモフラージュというか中和している。

    本作は読者が物語の世界に入り込むのを待たずに、序盤から何が何だか分からないまま物語が進む。しかし個性的な登場人物に惹きつけられている内に、物語のピースが集まり、全体像が見えてくる。
    圧倒的に酷い内容なのに気づいたら読了。
    読み終わった後、登場人物に感情移入してしまい思い出したように悲しくなってくる。

    ラストは「スカッと」する結末まで辿り着けないのが雛口依子らしい。

    テーマは重く、目を背けたくなる内容だが、ドンドン読ませる作者のストロングスタイルな文章が素晴らしい。
    他の作品も読んでみたいと思った。

  • タイトルも内容もぶっ飛んだ、
    クエンティン・タランティーノ映画のような
    小説。素直に面白いし、「すげーな」と思う。
    好みは分かれるかもしれないが
    「生きねば」である。

  • 衝撃をうけたが、読後は悪くなかった。 と言うと人間性を疑われそうかな。。まいりました。

  • おお…これは読む人を選ぶな…。18禁すぎる内容だが、よくも悪くも暗くはない。葵ちゃんのキャラが好き。理不尽さに立ち向かうすがすがしさに救われる。

  • まさに、何だこれは!なお話。無差別乱射事件の被害者依子と犯人の妹葵が、事件の真相をルポにするために奮闘する…そもそも現在の二人がめちゃくちゃだけれど、依子の過去も凄いのです。何だこれは、と思いながら話にあっという間に取り込まれ、ひたすら彼女の過去と現在の葵にシェイクされました。バイオレンスシーンの連続なので、苦手な人にはお勧めしませんが、感想としては面白かった!に尽きます。平山夢明さんの某作品が浮かんできました。まさしく題名通りの最低な落下とやけくそキャノンボール。ハードボイルドミステリを堪能しました。

  • なんとなく手に取って読み始めたら止まらなかった。エンタメ小説おもしれえ!

  • 一度 暴力に屈して
    何も感じなくていいように
    心を閉ざしていた人間の真の怒り さく裂!
    やったれ~~~葵 !やったれ~~~依子!
    狂った世界を 狂ったあんたたちで
    ぶち壊したれ !!

  • 射殺事件に巻き込まれた依子。なぜ起きたか謎とされていたが、ある日、犯人の妹・葵に声をかけられ、真相を追うことになる。依子のこれまでを振り返りながら物語は進んでゆく。依子がなぜそうなったのかはおいおいわかるが(もともとの人柄もあるだろうけど)、葵の性格もぶっ飛んでて、その二人のやりとりがコメディ風で可笑しくもあり、しかし、内容は洗脳、性のこと、圧倒的な暴力などの匂いがぷんぷん。暗くならずに依子の個性的な頑張りで突っ走っていった感じ。そこがこの物語の読ませ具合のいいとこなんだろうな。謎も上手いように進めていたし、好みが分かれるだろうけど、面白かったな。ぶっ飛んでいるのが印象的な一冊。

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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