正しい愛と理想の息子

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 97
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912505

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    ハセ32歳、陰気な男。相棒の沖、30歳だけど可愛い。
    コンビを組む二人は違法カジノで働いていたが失敗ばかり。
    今度は偽宝石売りでも騙した女に騙され無一文に。
    切羽詰まったハセは商店街にたむろする老人たちを見て閃いた。これからは、年寄りだ。
    32歳と30歳。崖っぷち男二人。騙すのは、年寄りだ。
    さびしさは、利用できる。歪んだ愛を抱え、じたばたする悪党コンビ…。

    生まれついての仏頂面のハセ。
    水商売の母親と寸借詐欺を働いていた父親が偶然出会い
    気まぐれに子供をもうけた。
    母親は一歳になる前に出奔し、父親が子供は意外と役に立つかもしれないと
    思って育てた。
    その通り、ハセを利用して寸借詐欺をしたり、
    女にたかったお金が中学まで暮らしていた。
    誰にも心を許さず、好きでもない相手に嫌われようが何とも思わない。
    そんなハセが唯一大切に思ったのが、違法カジノで働いていた時に
    失敗ばかりを重ねる沖。
    ハセは沖に対して友情を超えた愛着を感じている。
    沖は教育者の父母の期待に全く応えられない勉強嫌い。
    そんな自分が嫌で家を飛び出していた。
    沖が自分の母親を騙そう…という言葉から二人の人生は変わっていく…。

    今迄の寺地さんの作品と少し違った感じの本でした。
    親は自分で選べないし、自暴自棄になる気持ちも解らなくはない。
    それぞれの家族でそれぞれの親子の形があります。
    けれど、その後どの道を選択するかで、
    人生はいくらでも変わっていく。変える事が出来る。

    それぞれが異なった「愛」という不確かなものを求めてきているのが伝わってきました。
    終盤に向かい徐々に寺地さんから紡がれる魔法のような言葉に温かく包まれました。

    正しい愛っていうのはどこにもないんですよね。

    • ひとしさん
      こんばんは!
      こちらのレビューとは関係ないんですが、『永遠についての証明』にいいねをしていただきありがとうございます!
      ただ、何かの手違...
      こんばんは!
      こちらのレビューとは関係ないんですが、『永遠についての証明』にいいねをしていただきありがとうございます!
      ただ、何かの手違いなのか、『読み終わった』にしていないのに、レビューがあがっていてビックリしましたσ(^_^;)
      読んでいるにしていても、レビューを書くとアップされちゃうんですかね?お恥ずかしい限りです(><)
      2019/02/02
    • しのさん
      こんばんは (*´ω`)
      コメントありがとうございます。
      そして、この本に興味を抱いて下さって本棚に登録して下さりありがとうございます(...
      こんばんは (*´ω`)
      コメントありがとうございます。
      そして、この本に興味を抱いて下さって本棚に登録して下さりありがとうございます(#^^#)
      「読み終わった」にしていないのに、レビューがあがっちゃうのですね。
      私は、いつもレビューを書くときに読み終わったにしていたので、そのタイミングを全く意識していなかったです(;'∀')
      全然お恥ずかしい限りではないですよ~。
      2019/02/03
  • やはり、この作者が描く人物は優しい。今回の主人公は、詐欺を働く男。
    でも、なぜか憎めない。おそらく被害者側に立つと、許せないような男なのだが、なぜか憎めない。

    やっていることはもちろん最低なこと。女性を騙したり、老人を騙したり。でも、なんか憎めないのは、作者の心なのか。ハセと沖。それから、ハセの親父。みんな最低な男たちだけど、なんか最高。

    ハセと沖はバカラで働き、沖のミスで200万の借金を背負った。その借金を返すため偽宝石売りを始める。しかし、騙したはずの女に騙され、やっと貯めた200万を取り上げられる。この後騙す対象を老人に絞った2人。この気持ちの優しい2人は老人を騙すことができるのか・・・。

    世の中にはたくさんの犯罪があって、その数だけ犯罪者がいる。でも、その犯罪者たちがこの2人だったならば、少しはマシな世の中になるのかなと思えた。

  • 詐欺師の沖とハセ。

    沖の母親の認知症をきっかけに
    更生する。。。かも、しそう、多分するだろう。

    32歳と34歳を若いと思うか、
    何を今さらと思うかはそれぞれ。

    私は、人生に遅いはないよ!と思う、思いたい。

    生い立ちの不幸が詐欺師になる根拠というのは
    甘えていると思うけれどね。

    自分で働いて、お金を得て、身の丈で生活する。
    とても尊いことだと思う。
    子育ての目標はここにあるとも思っている。

    寺地さん、優しい言葉遣いでとても入りやすい。
    ただ、ストーリーは好きだけど、
    タイトルがちょっとなぁ。
    表紙の絵もストレートすぎて好みではない。

  • どの時点から人生がねじ曲がってしまったのか、考えていました。中身を知れば知るほど、悪とは言い難い2人。でも抜け出せない。
    だけれど彼等は知っている。人の心の痛みに涙する優しさと、寂しさとはどういう感情なのかを知っている。年寄りをターゲットに詐欺を働きながらも、確かな良心という人間にとって大事なものが見え隠れしていました。
    お金では買えないものの尊さを感じていました。寂しさを埋める温もりもそう。歳をとって、お金では買えないもの、ただ手を繋いでいてくれるもの、それだけが自分を支えてくれるような気がしたのです。
    人には様々な愛の形があり、それを正しい愛かそうでないかは、その人自身が決めるものなのだと感じました。
    毎日人知れず涙を流しているこの私でも、いつか年寄りになった時、名前で呼ばれるおばあちゃんで在りたいと思いました。いつまでも。そう思いながら、何年経っても強くしぶとく美しく咲き誇る桜の木や紅葉を思い浮かべていました。

  • 人を騙すためにその人を見ていたら自分の内面を見つめていて、ダメなところや、焦りばかりが出てくる。2人が見せる強がり、弱さ、不器用な優しさ、悪人になりきれないところ。短い作品の中でたくさんの想いを感じられる。2人のやってきたことが消えるわけではないけれど少しでも良い日々が来ることを願ってしまう。

  • 老人たちをカモにお金をむしりとるクズな男の話
    どんなに冷酷なやつだろう?と決めつけで読み始めたけど
    どこか抜けててワルになりきれてなく

    生き方の転換 できるか
    できるといいな
    人の縁て面白い…と感じたお話

  • 幼い頃に母親が出奔し、寸借詐欺を繰り返し果てはヒモになる無職の父親と暮らして成長したハセは、違法カジノで働いていた際に同僚の沖が作った借金200万円を返さねばならない。
    何をやらせてもヘマばかりの沖とふたり、詐欺をしようと奮闘するうちに、母親とは、親子とは、家族愛とは、老いとは、という疑問を抱えるようになる。

    決して楽しいだけの話ではないのに、読み終えた後、前向きな気持ちになる。

  • 違法カジノで働いていたときに作ってしまった借金の返済のために詐欺を始めたハセと沖。主犯はハセで沖はほとんど役に立たないのだが、ハセは沖に対して友情を超えた愛着を感じている。よく考えると2人の置かれている立場はとても危ういのだけど、それを感じさせない描写で軽妙に読める。そしてその軽妙さは物語に貫かれている希望というか、なんとかなる感じというか人間の善性みたいなものとつながっているような気がする。詐欺は人の良心を逆手に取ることなので、2人はどんどん人の良心に触れていく。泥沼から抜け出す手段はお金以外にもあるんじゃないかと気づいたらもう詐欺はできません。

  • 思わせぶりなタイトルと、表紙に描かれた“いかにも”な男の泣き顔。無償の愛は知っているが、正しい愛ってのは初耳である。理想の息子もわかるが、この二つの関係は? そう思いながら読み始めた。弟分の不始末で金が必要となった男は詐欺を企む。だが、せっかく作った金を奪われてしまい、期限が迫る中、男が目をつけたのは老人だった……。この男、人がいいんだか悪いんだか、真面目なんだか不真面目なんだかよくわからないが、別に開き直っているわけでもない。でも悪人ではないというのは伝わってくる。母親に対する思いや、子に対する思いなど共感(?)する部分もあって考えさせられた。

  • ・「とりつくろうようなへたくそな笑顔を見て知った。俺はたった今、沖の母を傷つけた」
    ・トクコのどっしりと構えた優しさ。
    ・ハセが愛について気づく2章の終わりは、夜の公園を想像してとても良い。
    ・沖の部屋、学習机の抽斗から出てきたクッキーの缶。その時の部屋の日差しや温度まで想像して、沖の代わりに泣きそうになる。
    ・『お年寄り』なんていう生きものはいない。それぞれ違う心をもって、それぞれに違う長い年月を生きてきた人たちがそこにいるだけだ。
    ・「すべての愛は正しくないのだと、あの日に知った」
    ・施設に着いてロビーの椅子に座って。「......沖を生んでくれて、ありがとうございます」。泣いた。
    ・えっちゃん...笑

    なぜこの人はこんな可愛いシャツを着ているのだろうって表紙を眺めて思っていたけど、読み終わってから「わたあめじゃん!!」ってなった。気付くの遅い。
    可愛いな、わたあめちゃん。

    寺地さんの本は2冊目。
    今作も、切迫した状況の中にも可笑しさがあって包み込むように優しい。
    描写が頭の中でスムーズに再現されて入り込める。視点が好き。完全にファン。笑
    次は何を読もう。

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著者プロフィール

寺地 はるな(てらち はるな)
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第四回ポプラ社小説新人賞を受賞。
著書に『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』がある。

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