宮内悠介リクエスト! 博奕のアンソロジー

  • 光文社
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912581

感想・レビュー・書評

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  • “博奕”というお題に対する著者さんそれぞれの応え方が面白い。
    宮内悠介氏のリクエストなので、初読みのSF系?作家さんの作品にも接したが・・・ちょっとパスでした。

    「獅子の町の夜」/梓崎優
    「人生ってガチャみたいっすね」/桜庭一樹
    「開城賭博」/山田正紀
    「杭に縛られて」/宮内悠介
    ×「小相撲」/星野智幸
    「それなんこ?」/藤井太洋
    △「レオノーラの卵」/日高トモキチ
    △「人間ごっこ」/軒上泊
    「負けた馬がみな貰う」/法月綸太郎
    「死争の譜~天保の内訌~」/冲方丁

  • 桜庭一樹の短編だけ読んだ。軽快なタイトルと人間模様だと思って読んでたのに、あまりにも重い。でも救いはある気がする。過去のために未来から祈る。それで救われるなら悪くない。

  • 2019.3.28読了。
    中には面白いのもありましたが…

  • 作家の宮内悠介が好きな作家に「博奕」をテーマにした短編を依頼し、アンソロジーを編む、という「リクエスト」企画のアンソロジーだ。

    気軽に読みがちだけれど、アンソロジーって企画や編者が大事なんだなあ、ということをしみじみ思う。
    もちろん粒のそろった作家陣が集まった、ということもあるのだろうけれど、同じテーマを扱っていながらどの物語もまるで違った個性があり、単純に面白かった。

    幕末の開城を前にした賭博の物語などは、奇想天外でこれこそフィクションの面白さだな、と思う。

  • 選者の面目躍如、なクオリティ。『盤上の夜』以来、脳髄の同じ箇所を刺激される作品集。ネタと気力が溜まった時に次を是非。

  • 『宮内悠介リクエスト! 博奕のアンソロジー』読了。沈みゆく船で生存をかけてルーレットに興じる宮内悠介の盤上遊戯モノの新作がやはり安定の面白さ。法月倫太郎の掴み所のない競馬の「負けるが勝ち」な話もいいし、ラストの冲方丁の歴史囲碁短編は先の先を読む駆け引きに圧巻の読み応え。

  • 様々な種類の博奕をテーマにしたアンソロジー。
    お気に入りは梓崎優「獅子の町の夜」。これが一番ミステリ度が高かったかな。最後の選択がどうなるのかも気になるところ。
    桜庭一樹「人生ってガチャみたいっすね」も、不思議な印象で面白かった作品。こういう想像、素敵かも。

  • 博奕がテーマのアンソロジー。競馬、囲碁、相撲、ルーレット、チンチロリン等、多種多様の賭け事の小説10編。ちょっと意味不明の作品があったが、全編がバラエティに富んでいるのが良かった。意外な結末の作品や、結末を読者に想像させるリドルストーリーもあり、ミステリに通じる面白さもあった。梓埼優さん、法月綸太郎さん、それとこのテーマの発案者でもある宮内悠介さんがベストスリー。

  •  本書は宮内悠介氏が「博奕」をテーマに各作家に短編を依頼し、「小説宝石」にて順次掲載されたものが一冊にまとまったもの。執筆陣は五十音順に、冲方丁、軒上拍、桜庭一樹、梓崎優、法月綸太郎、日高トモキチ、藤井太洋、星野智幸、宮内悠介、山田正紀という錚々たる顔ぶれである。「博奕」という共通点以外は時代小説であったり、SFじみていたり、まったく理解できない世界観であったりとバラバラで、様々な作風を楽しむことができた。

    〇冲方丁「死争の譜~天保の内訌~」
     冲方が選んだ題材は「囲碁」。冲方作品では一度扱った題材やモチーフが別作品で再度取り上げられることが多いように思える。冲方丁で囲碁といえばやはり思い出されるのは『天地明察』だろう。しかし舞台は渋川春海(安井算哲)や本因坊道策よりも百年以上も後の時代、天保6年(1835)の「天保の内訌」と呼ばれる事件が中心になっている。
     囲碁に博奕のイメージはあまりないが、この時行われた勝負は碁所という全国の碁打ちを統括する役目を巡るもの。碁所にになれば囲碁を学ぶ高僧や大名の支援も受けることができる。富と名声を”賭”けた大勝負が行われたのであった。
     この碁所という役目、そもそも就任することができるのは「本因坊」「安井」「井上」「林」の四家の者だけであった。そのためこの四家が互いに争うこととなる。
     天保の内訌が起きるよりも少し前、本因坊元丈と安井知徳仙知という二人の名人が活躍していた時代は、碁所は空位の方が囲碁界が隆盛するとして、二人とも碁所には就任しなかった。しかし本因坊元丈が引退し時代が移り変ると、碁所の地位を巡って各家の名人たちが競い合うようになる。
     丁稚の身分から実力で上り詰めた本因坊丈和と、本因坊の出身でありながら跡目を丈和に譲って林家を継いだ林元美、そして井上因淑とその弟子井上幻庵因碩といった新世代が安井仙知も巻き込み碁所の役目を争う。本来は互いに勝負し実力を競うべきだが、次第に”盤外の理”と言われる裏工作が盛んになり、誰が誰の味方かもわからなくなっていく…。果たして最後に笑うのはだれなのか。
     冲方丁で「博奕」といえば『マルドゥック・スクランブル』でのカジノシーンが思い出される。博奕、ギャンブルを描いた小説として最高峰の作品だと私は思っているが、あれはイカサマも含めて全て盤上の勝負であった。今回は盤外の理が幅を利かせる勝負である。その違いもまた面白い。

    〇桜庭一樹「人生ってガチャみたいっすね」
     桜庭一樹が描いた博奕は言うなれば「人生」だろうか。
     本作の構成は少し変則的で、序盤は2019年のとある一日と2020年のとある一日の様子が交互に描かれる。2019年時点の登場人物は銀行勤務の南とライター志望の夜市、そしてレストラン経営をしているオメルという三人の若者。南が女性で後の二人が男性だが、彼らはなんと三人でルームシェアをしている。なぜだ。ちょっと状況がすんなり呑み込めないが、別に三角関係ということもなく仲良く生活しているようだ。
     一方2020年時点の登場人物は滝谷という男と、〈ガチャ〉と呼ばれる若い女。彼らは同じ雑誌の編集者でどちらの担当作家の原稿が先に届くかという賭けをしていた。物語が進むにつれて、彼らの繋がりが次第に明らかになってゆく。
     詳しいプロフィールもないままに、短い掛け合いを読むだけで登場人物のことを好きになっていく、素敵で少し切なさの残る一編だった。

    〇日高トモキチ「レオノーラの卵」
     賭けの内容はいたってシンプル、これから産まれるレオノーラの子どもは果たして男か女かというものだ。しかし子どもは卵から産まれてくる。
     登場人物のほとんどは「工場長の甥」や「時計屋の首」など、固有名詞ではなくその属性を示すことばで呼ばれるので、誰が誰なのか混同することもなく読みやすい。つまり「工場長の甥」はまさしく工場長の甥であるし、「時計屋の首」は胴体のない首だけがそこで生きている。
     レオノーラの母親は名をエレンディラといい、彼女の子どもが産まれるときも同様の賭けが行われた。そのときいったい何が起こったのか、そして時を経て再び行われた賭けはいったいどうなるのか。
     複雑な人間関係が収束する気持ちよさと、不条理な生態の気持ち悪さが同居する不思議な一編。

    ブログはコチラ→ https://miniwiz07.hatenablog.com/entry/2019/01/30/204817

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著者プロフィール

宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)
1979年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部英文科卒業。2010年囲碁を題材とした短編『盤上の夜』で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞、各種盤上ゲームの連作短編として2012年『盤上の夜』で単行本デビュー。第33回日本SF大賞受賞、第147回直木賞候補。2013年『ヨハネスブルグの天使たち』で第149回直木賞候補、第34回日本SF大賞特別賞受賞。2016年『アメリカ最後の実験』で第29回山本周五郎賞候補。「カブールの園」で第156回芥川賞候補。同作で2018年第30回三島由紀夫賞受賞。『彼女がエスパーだったころ』で第38回吉川英治文学新人賞受賞。『あとは野となれ大和撫子』で第157回直木賞候補。2017年「ディレイ・エフェクト」(『文学ムック たべるのがおそい』 vol.4)で第158回芥川賞候補。

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