殺人犯 対 殺人鬼

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912857

感想・レビュー・書評

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  • 孤島の養護施設を舞台としたクローズドサークルもの。主人公が殺人を犯しに行こうとターゲットの部屋に入ると、すでに死体がある。自分の他にも、【殺人鬼】がいるのでは、、、。作者はメフィスト賞出身で、以前読んだ作品がアレだったので不安でしたが、良質なパズラーでいい感じなのです。何故見立て殺人をしたのか?黒いペンキの缶のうち奥の缶を使ったのは何故か?など、いかにもパズラーらしい伏線が貼ってあり、不自然な描写や手掛かりも多いわりに、楽しめる小説です。

    とはいえ、普通に終わるはずもなく、殺人鬼Xのモノローグから、アンフェアギリギリの驚愕の真相が分かります。

    屍人荘の殺人でお馴染みになった「登場人物の名前がなんとなくキャラクターの個性を示す」という仕掛けが露骨に出てきていて、かなり鼻に付いていたのですが、それすらも伏線だったとは感服しました。

    あ、でもこれ多分バカミスですね。

  • 孤島の児童養護施設で職員が嵐で戻れずに子供だけになった夜、主人公の少年はかねてから計画していた殺人を実行しようと相手の部屋に忍び込む。しかしターゲットの少年はすでに殺されており、片目に金柑が押し込まれていた…
    嵐の孤島に殺人犯が二人いて、一方が片方の動向や正体を推理しながら自らの殺人計画を遂行してゆくというかなりトンデモな話だが、さすが早坂吝だけあって真相もとんでもなかった。読み終わるとタイトルにニヤリとしてしまう。

  • ひょっとしたらこれもバカミスなのかもしれないけど、バカミスのレベルが段違い。回想が挟まれる「殺人鬼」の正体とその人物が殺人を繰り返す理由や、死体の目をえぐって金柑を……みたいな猟奇工作の真相がそれかよ!?みたいなことだったりするのはもはや笑っちゃうんだけど、一方である人物がコップを落とした理由とか、洗面所の砂とか、被害者が持っていた薬袋とか、時々傍点で強調される主人公の思考とか、そして何より珍妙なる登場人物の名前とか、その辺が全部ちゃんと伏線になって回収されるのが本当にすごい。無駄な描写がなくて、全てが繋がる。そう、ラストに全てが繋がるのだ。

  • 記録

  • この作品のレビューは難しい。何を書いてもネタバレになってしまいそうだ。
    取り敢えず、「バカミスでありながら作者の技巧が随所に忍ばされている作品」とでも書いておこう。今までの作者の著作の中では個人的には一番好きだ。感心した。

  • 「僕の先回りをしている殺人鬼がいる! 」 嵐の孤島に閉じ込められた三十九人の児童。次々に現れる猟奇的な死体。 誰も予想できない殺人鬼の正体とは! ? 若手本格ミステリ界の鬼才が挑む、戦慄のクローズドサークル!



    孤島にある児童養護施設。ある嵐の日に、殺人を企てる1人の少年。しかし、ターゲットはすでに殺されていた。殺人者がモタモタしている間に、別の殺人者にターゲットが殺されたってのけっこうあるかんじもしたが、でも、誰がもう1人の殺人者というか殺人鬼なのだろうと思って夢中になって読んだ。


    章と章の間に、「殺人鬼X」の過去の話が挿入され、なんとか可哀想な境遇な子が、孤島の養護施設にいるんだなぁと思った。まぁ、突然サイコパスみたいになってしまったかんじもしたが。この「殺人鬼X」は、養護施設の中の誰なのか。なんとなく、男の子ぽいかんじはするけど、実は女の子でしたってこともあるしなぁと考えながら進んでいく。



    養護施設に入居する子供たちは、少し名前が変わっているというか、名は体を表すってこういうことかってぐらいのキャラだった。探偵を気取っている探沢くんと鏡宮ちゃんは、中2病チックで良かったが、あそこで生きるには何かキャラというか自分を強くする何かがないとダメだったんだろうな。



    主人公は最終的に犯人と対峙するシーンは、少しドキドキした。だって、ついに謎の殺人鬼との対面だし、なんであの人たちを殺し歩いていたのか気になった。あとトリック的なものとか。殺人鬼に殺された人たちは、どこか劇的というか何かを模してるかんじだったから、それは一体どういう意味なんだろうって。


    しかし、殺人鬼のあっさりした犯行理由と模していた意味に「え?それだけ?」となったあとに、本当の意味が出てきたときにびっくりした。まさかの正体だったし、まさかの犯行理由。怖い。サイコパスっているんだって思った。そして、名前の意味もそういうことだったのかってなったし、呪縛から解放されたあの子はある意味救われたのかな。


    読む前に思っていた内容とは少し違っていたけどyこれはこれで楽しめた。ある意味「バカミス」って感じだったけど、なるほどねぇと思ったところもあったから侮れない…



    2024.4.13 読了

  • 『◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件』を読んだ時もそうだったんだけど、面白いのに犯人が誰とかロジックとか途中からどうでも良くなる。

    殺人鬼の動機に変に納得してしまった。

    パスタ食べたくなった。

  • 中編ぐらいの長さでサクサクと気軽に読めるミステリー。 孤島で子供が犯人の犠牲になっていくというよくよく考えれば陰惨な設定だが、重苦しくなくライトな感じで物語が進む。 ネタにしか感じなかった登場人物の氏名にも意味があったりと、思わぬ伏線が盛りだくさん。ラストのどんでん返しには素直にやられた。 殺人鬼の動機は笑ってしまった。バカミス。

  • おまえかーーーい!孤島に立つ養護施設でいじめっ子が惨殺された。その少年は主人公が殺そうと決めていたのに…台風に揺れる島、帰らない職員、そしてまた犠牲者が…いやーその法則には気付かなかった!キャラは濃いしペースは容赦ないし分かりやすいエンタメだしシニカルなんだけど、なんだかんだ丁寧な仕込みではあるんだよな…面白く読んだ。

  • いやはやスゲーなコレは。
    イヤミス風味のバカミス?なんて思いつつ読み進めたんだけど・・・マジか。好き嫌いが分かれそうどころか、個人的な評価ですら、振り返ったタイミング次第で乱高下しそう。落ち着くためにも★は3つにしておこう。

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著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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