呼吸する町

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 83
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912918

感想・レビュー・書評

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  • 何気なく手に取った本でしたが、良かった。
    ラクトルと言う乳酸菌飲料の配達をするラクトルママさんたちの周辺で起こる、切なかったり面白かったりする日常で遭遇するであろう出来事が、良いリズムで描かれています。
    音楽でも活躍してる人らしいので、文章のリズム感が良いのかなぁ。スラスラ読めますが、心に響く箇所がありました。
    「華麗なる配達」は楽しく読めて、最後のオチが良かった!

  •  ある町で働く乳酸菌飲料販売員の女性たちの日々を描いた短編集。
     主人公の女性は各話で異なる。表題作は1話目に配されている。全4話。

          * * * * *

     出来のよいのはやはり表題作。

     主人公のベテランラクトレディの春子は明るく人好きする性格で、販売員としても優秀。毎朝出会うランニング中の年配男性や歴史好きの亭主のセリフなど、伏線の質がよくオチのつけかたも見事で、爽やかな読後感をいっそう引き立てています。
     何より軽やかなテンポで読みやすく、作品の導入にぴったりでした。

     第3話は、ガラリと趣を変え、現代版わらしべ長者のようなストーリー。なかなかうまく組み立てられていて感心しました。ラストの外し方もよかった。

     2話目のブラックユーモアや4話目のミステリータッチもライトなテイストで呑み込みやすく、テレビドラマ化してもいい作品だと思いました。

  • 乳酸菌飲料ラクトルを届けるラクトママ4人のお話。
    この設定を聞くと有名な乳酸菌飲料ヤ◯◯トが思い浮かぶ、、
    「八十ミリリットルの液体に何億個もの菌を忍ばせて人々の体内に送り込む。私達の仕事は菌を配ること。」
    確かにその通りかもしれないが、言い方に笑ってしまう。

    同じ仕事をしているのに売り方、仕事の考え方、私生活に抱えるものは、みんな全く違っており、それぞれのお話に違った面白さがあった。

    個人的には、ラッキーマチコさんのお話が好きだった。
    ちょっとしたラッキーが、とてつもない幸運が続いてるように話が進んでいく。
    くすっと笑ってしまう話も多く散りばめられているのも良かった。
    特に、パンクバンドの曲を声が枯れるまでお経をあげていると思っているおばあちゃんと、「夫は会話の流れから夕食がカレーであると予想して、味覚、嗅覚の調整に入ってるはずである」の言い回しが面白くて好きだった。

  • ヤクルト、いやラクトの販売員であるラクトママをめぐるそれぞれの家庭の情景。優しかったり、黒かったり、能天気だったり、悩んだり、ひと通りの情景が展開される。なんだかオチがないような気持ちで読了。

  • 乳酸菌飲料を配達する4人の「ラクトママ」たちのお話し。
    我が家もヤ◯ルト配達してもらっているのだが、最初の章で、
    「秘密結社女スパイであるラクトルママは顧客の体内に何億個もの菌を送り込む。これは生物兵器なのである。」
    おもしろい発想だなぁと思う反面、複雑な心境になった(笑)

    読んでいて途中、中弛みがあったが、最終章で思わずの展開で興味深く読み終える事ができた。

  • 表装に惹かれて読んでみた。
    ラクトル・・・ヤクルト?
    ヤクルトレディたちはこんな生活を送っているのだろうかと想像しながら読んだら、職業小説のようでもあって楽しめた。

  • 乳酸菌飲料ラクトルを配達するラクトママたちが見つけた、ちいさな奇跡とたしかな幸せ。配るのはラクトルだけじゃない、集めるのは代金だけじゃない……かもしれない、甘くてほろ苦い4つの物語。

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著者プロフィール

宮崎県出身。大学時代に作詞作曲を始め、ライブ活動を開始。文学の研究にも没頭し、大学院まで進む。2012年に「あたしの心臓あげる」で歌手デビュー。2014年からソロ活動を開始。2017年にアルバム『自由律』限定盤Aの付録として書き下ろされた小説「壁の鹿」を、『本性』と同時に刊行し小説家としての活動も始める。他の著書に『鉄塔おじさん』『呼吸する町』『予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる』などがある。

「2022年 『檸檬の棘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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