屑の結晶

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913069

感想・レビュー・書評

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  • 「誰を殺そうと俺の自由」と言って二人の女性を殺した「クズ男」こと楠生。登場人物がみな、親という存在に心を蝕まれ憎みながら、それでも振り向いてほしかっただろうことが辛すぎる。自分の命をかけても守りたかったもの、それだけが生きる全てだった彼がこの先、生きていくための希望はあるのかな。処世術を学ばずに生きてきた楠生が「女を幸せにするのは金と力とやさしさ」という言葉を信じていたのが悲しい。歪んだ愛情の様々がありました。最後は切なくて泣けました。

  • まさきとしか、4冊目だけど「いちばん悲しい」「きわこのこと」と比べると、その2冊があまりに深く抉ってくるものだからちょっと浅めに感じた。愛着を感じない母親と自殺した弟への複雑な思いを秘めた女性弁護士が主人公といえば主人公なのだが、担当事件の中で出てくる人物も母親との関係がグロテスクなのだがそれとうまく噛み合ってなかった。ポンポンポンと地雷が何個もあるものの、どれも派手に爆発しなかったというか。初期の作品なのかな。

  • 読み進むに連れ悲しみが募って行った。

    元交際相手の山本若菜とビルの清掃スタッフ・亀田礼子の二人を殺害したとして逮捕された33歳の小野宮楠生。

    逮捕時のチャラい言動と名前の楠生からクズ男と呼ばれ罵られる。

    二つの殺人事件は本当に楠生の犯行なのか、それとも真犯人が別にいるのか、動機は何なのか、弁護士の宮原貴子が調査を進めて行き徐々に明らかになる真相。

    毒親の存在やネグレクト、幼少時に交わした宍戸真美との約束と、勘違いから生まれた犯行、全てのエピソードが辛い。

    親から承認されず居場所のない子らの孤独に胸が締め付けられた。

  • 親子の関係性がテーマなのかなと思いました。主な登場人物たちが共通して幼少期に親の愛をきちんと受けていませんでした。ただ、スッキリしない部分もあったので、もう少し掘り下げてほしいなあと思います。

  • 【あらすじ】
    2人の女性を殺した犯人(通称クズ男)と、被害者女性たちの接点をみつけるために、女性弁護士が翻弄される。
    クズ男に傾倒する通称クズ女や、クズ男の特集を執筆した記者、宮城県M町の人々から話を聞く内に、クズ男の悲惨な過去と1人の女性に辿りつく。

    【感想】
    モヤ〜っとしたまま始まって、
    モヤ〜っとしたまま進んで、
    モヤ〜っとしたまま終わった。

    読んでる自分自身の状況・心境がモヤモヤしてるのもあるのかもしれない。

    今回は誰にも感情移入できずに読み終えてしまった。

    またいつか、自分が薄っぺらいことで悩んでいるときに読むと、印象が変わるかもしれない。

  • まさきとしか作品、ドロドロした人間の感情を描くのがやっぱり上手いな〜と感心しながら読んだ。
    新作のレッドクローバーより読み易く、
    後半真相が徐々に明らかになってくると
    面白くて一気読み‼︎

    色々な人間関係や個人の生い立ち・心情が細やかに表現されていて、引き込まれた。
    最後はしっかり結末があるんだけど、
    その後も気になるな〜

  • ちょっとした勘違いでここまでいっちゃうなんて、怖いわ。
    殺された若菜、吉永、宍戸母など楠生よりクズじゃないかなーと。。

  • 面白かったけど、どこかで引っかかりが消えない。

    クズ男の人生の哀しみなのか、吉永の馬鹿さ加減なのか、真美の薄っぺらさなのか、、、


  • チャラチャラした外見で判断してもいいものか。これだけ掴みどころがなければ、何を信用したらいいのか判断に迷うわ。
    嘘をついてでも罪をかぶろうとするほど、支えになっていた人物ということなんだろうか?

  • 記録

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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