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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784334913373
感想・レビュー・書評
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前に読んだ同作家さんの「狐と鞭」は日本霊異記をアレンジした作品集だったが、こちらは今昔物語を中心に『鬼』が出てくる話をアレンジした作品集。
第一話「鬼一口」の元ネタは瀬川貴次さんの『ばけもの好む中将』で春若君が真白君と仲良くなりたいと一芝居打った元ネタと同じで記憶に新しい。『ばけもの~』の方はズッコケ落ちだったが、こちらは切なすぎる恋の顛末となっている。しかも主人公の外道丸が後に酒呑童子となるというエピソードにまで繋げるあたり、ワクワクする。
その後は山奥に住む母子三人家族を襲う悲劇、帝と后に起こるトンデモ事件、橋に現れる鬼を確認しに行った男のその後…など、様々な話が続く。
だが結局『鬼』とは人の内にいるモノと気付く。
恋に溺れ、何かや人に執着し、嫉妬や憎しみ、或いは何としても生きたいという強い意志が極限まで達した時、人は人でなくなる。
そしてあまりの惨劇、衝撃的な事件、口にするのも憚られるような出来事を隠すために『鬼』のせいにする。
ブラックな話が多かったが、中にはちょっといい話もあった。こんな風に使われるのなら『鬼』も嬉しいかも。
表題作はちょっと拍子抜け。格差社会にちょっとした仕返しをしても良いじゃないか、というのは分からないでもないが。
最後の二編は酒呑童子に関する物語。茨木童子と酒呑童子をこんな風に絡ませるとは。
そして退治する側の源頼光をこんな恐ろしいキャラクターにするとは。頼光が酒呑童子を一喝するシーンにハッとする。
同時に童話の『桃太郎』始め鬼退治の話は実のところこんな酷いことなのかも知れないと思う。
『鬼が本当に在るか在らぬかではなく、鬼に成るか成らぬか、だ』
鬼は人里離れた山奥にいるのではなく、人の住むところにいる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「鬼滅の刃」が流行っている。どこに行っても鬼滅グッズなるものを目にする。かくいう私もアニメを見て楽しんだクチなのだ。刀剣やら鬼やら、とにかくアニメが流行る世の中。
この本では心に潜む「鬼」に焦点をあて、それを今昔物語などとコラボさせた連作短編集。この物語を読んだ後、オリジナルの今昔物語を読んで見るとまた面白い。原作を崩さないアレンジだけど大胆でエンタメ感がある。ところどころ血生臭くかなり面白かった。
さすがは朱川さん。どの話の鬼もなるべくしてなってしまった鬼。そして最後は酒呑童子を討伐すべく源頼光が鬼になる。最高でした♪
(鬼哭啾啾):悲惨な死に方をした者の浮かばれない亡霊の泣き声が、恨めしげに響くさま。 転じてものすごい気配が漂い迫りくるさま。 -
特に意識したわけではないけれども
たまたま図書館で手にして
読み進めていた
すると 読み終わった日が
「節分」であることに気付いた
おっ こりゃあ
なかなか面白い!
と一人で悦に入ってしまった
久しぶりの朱川湊人さん
ストーリーテリングの巧みさはさすがですね
人の心の闇、人の持つ運命、
その辺りをうまく絡めて
こんな物語になりました
という感じで
いつものとおり
わくわく ぞくぞく
させてもらえました -
「鬼」にまつわる説話を基に脚色した小説。
当時の雰囲気はよく出ており、鬼というものの忌まわしさなどもよく出ている。
ただ、短編集にしても似たような作品が並んでいるためにそこまで面白いとは思えなかった。 -
短編、短編
そこそこの内容量で、短編物が…
人の情、生きる意味、色々な思惑、
鬼を生むのは周りの環境なのか…生来の性格か…
多少堅苦しすぎる言葉選びが多く
私には少し読みづらい部分もありましたが
面白かったです -
狩人兄弟と年老いた母の話が良かった。
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鬼をキーワードに『今昔物語』を中心とした古典を脚色した作品集、という認識で読み始めた。テーマが鬼というだけでそれぞれ独立した話ではあるけれど、読み進むと先に出てきた登場人物が歳を経てまた出てきたり、第一話と最終話がきれいに繋がって酒呑童子の物語になっていたり、なかなか凝った仕立てだなと思った。こういうの大好物ですよ(^_^)
しかも最終話、鬼といわれる酒呑童子を討伐に来た源頼光の方こそ鬼であったというオチが良いですね。 -
鬼とは、人の所業にあるんだなと思いました。
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「小説宝石」2018年夏から初出の8編、今昔物語を元に。
前作「狐と鞭」に比べて、原作の重力を大きく振り切りシュカワ界にぶっ飛んでいった印象がある。朱川さんの儚さ哀しさもありつつ、シュカワ節がノリノリ。登場人物が原作を超えてシュカワ界でいきいき凹んだり暴れたりする感じ。
当人にとっては深刻な事件でも、他人目線で身も蓋もなく語られるのがおかしい。人生深刻になった時、笑える目線をもらえるのが小説のいいところだなー。
哀しく切なく寄添うのが朱川節、それをウケルと言って面白がるのがシュカワ節。 -
嫌いじゃないテーマのはずなのに、なんだか乗らなくて、第三話まで読んで断念。
鬼棲むところ、それは人の中。 -
鬼になってもいいじゃないか…と思ってしまう。
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恐怖、哀切、妖艶、感嘆―人の心は、鬼よりも不可思議で恐ろしい。鬼にまつわる説話を大胆に脚色した、奇想と怪異の短編集。
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2020 7/7
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<驚>
朱川湊人。前作でも同じ様な感じを受けた記憶がある。なんとなく夢枕獏の『陰陽師』に似ている。かといって安倍晴明が登場する筈は無く,時代背景や「鬼」がテーマになっている,と云うだけかな。
そして,なんとこの鬼の物語に現在世間注目の「三密」が登場する。その一篇の物語『鬼,日輪を喰らう』の初出は2019年12月の某月刊誌。朱川湊人が原稿を書いたのは,余程締め切り間近だとしても同11月より前だろう。つまり現在のコロナバイラス禍の事は全く予想だにしていなかっただろう、と云う事。物語を読み解いてゆくに元々「三密」とは仏教用語らしい。
本書は8話の短編からなっている.8篇を一冊にまとめて上梓する際にはその8篇のをどのような順番に並べれば読んで面白いかをおそらく編集者が考えるのだろう.本書はのっけこそ一番初出が早い作品であるが,最後に廻っているのが決して一番最後に書かれた作品というわけではなく,末巻の作は5番目に書かれた作品である.
ちなみに一番新しく書かれた物語はなぜか3番めに配して有って,そればそれで随分しっくりくる様になっている.やはり「編集」という仕事はとても大切であり且つ難しいものなのだなあ,と感じた. -
さまざまな説話をもとにした、鬼をテーマにした怪異譚。カテゴリとしてはホラーに近いのだけれど、怖いというよりはなんだか切なくなるような心地でした。そもそも人外の存在である「鬼」は存在したのでしょうか。結局のところ恐ろしいのは人の心、という着地点に落ちつきそうな気もしてしまうのですが。却って鬼はいた、すべては鬼のせいだった、というようにした方が心穏やかに過ごせるのかもしれません。
お気に入りは「安義橋秘聞」。鬼の存在が語られる理由などがなるほどなあ、と思わされる物語だったのですが。この結末は惨い……!
「血舐め茨木」と「蓬莱の黄昏」は、おそらく日本で一番有名なあの鬼の物語なのですが。実はこういう真相があった、とするのも面白いです。しかしいったいどっちが、誰が「鬼」なんでしょうねえ。 -
人の心は、 鬼よりも不可思議で恐ろしい 恐怖、哀切、妖艶、感嘆―― 鬼にまつわる説話を大胆に脚色した、奇想と怪異の短編集。 鬼が出ると噂の安義橋を渡ることになった太郎暮房(ルビ:たろうくれふさ)。恐る恐る橋を進むと、艶やかな髪と白い肌を持つ見目麗しい女が立っていた。女は太郎暮房を呼び止め、思いがけないことを口にする。(「安義橋秘聞」)
著者プロフィール
朱川湊人の作品
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