- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334913618
感想・レビュー・書評
-
アイドルグループ出身の人気俳優の堀尾葉介を巡る8作の連作短編集で、全体でもひとつの話を織りなしています。
主人公の葉介は芸能人ですが、浮ついた芸能界の話ではありません。
最近、作者の遠田潤子さんのお話を何作か続けて拝読したのですが、遠田さんの作品はイメージとして「寒風吹き荒れる日本海の海」のようなお話が多かったように思いますが、この連作短編集は短編として読むと、葉介と市井の人たちとの交流を描いた「明るいぽかぽかとした春の日差し」みたいなお話もありました。
でも、全体のストーリーとしては音楽で言えば「短調」だと思いました。
最新作なので、何の前知識もなく読みましたが、今までの作品より現代的で映画に関連した話も多くお洒落なかんじがしました。
葉介は子供の頃は、女の子のような顔をした、いじめられっ子でしたがデビュー後は、最後まで明るい好青年で、どのストーリーも引き立てていたように思います。
葉介の父と母も主要な登場人物ですが、二人共存在感があり、特に母親のはかなげな姿が印象的でした。
映画のタイトルを意識された各章のタイトルが素敵なので載せておきます。
第一章 垣見五郎兵衛の握手会
第二章 だし巻きとマックィーンのアランセーター
第三章 ひょうたん池のレッド・オクトーバー
第四章 レプリカントとよもぎのお守り
第五章 真空管と女王陛下のカーボーイ
第六章 炭焼き男とシャワーカーテンリング
第七章 ジャック ダニエルと春の船
最終章 美しい人生 -
心地良い一冊。
何度もこれ遠田さん⁇と確認したくなるぐらい心地良い連作短編集だった。
一話一話、とりたてて激しい展開はない。
でもしとしと降る雨音のBGMが欲しくなる雰囲気で読ませてくれた。
七人の誰もの人生の1ページにも関係している堀尾葉介。
明日への希望のひと風を心にそっと吹かせていくような彼の存在が良かった。
そして迎えた最終章が秀逸。
降りしきる雨。
それはまるで彼がずっと抱えていた心のよう。
その心の雨に向き合うかのような姿に目もしっとり濡れる。
うん、こんな超マイルド遠田作品も新鮮で良いな。好き。-
くるたんさん。
このお話は、私も好きでした。
くるたんさんのレビューも素敵ですね!
私は今『蓮の数式』を読み終えたばかりですが...くるたんさん。
このお話は、私も好きでした。
くるたんさんのレビューも素敵ですね!
私は今『蓮の数式』を読み終えたばかりですが、あのダークな世界観も悪くないと思ってしまいました。明日レビューします♪
2020/10/28 -
まことさん♪こちらにもコメありがとうございます♬
最終章、苦しみから光を見つけるような姿はやっぱり遠田さんらしくて良かったですね+.+゚d(...まことさん♪こちらにもコメありがとうございます♬
最終章、苦しみから光を見つけるような姿はやっぱり遠田さんらしくて良かったですね+.+゚d(´∀`*)グッ!!
数式は私は未読の作品、まことさんのレビュー楽しみです♬2020/10/28
-
-
どれもこれも素晴らしい物語だった。最後の章を読むまでは。
堀尾葉介というスターと関わりのあった人物のそれぞれの物語。8つの短編集。
どの章にも堀尾葉介は登場して、いかに素晴らしい人物かが描かれていて、堀尾に関わった人物もみな素晴らしい生き方の一歩を踏み出すことができるようになる。
私も堀尾葉介は純粋に素晴らしい人物だと思っていた。でも、最終章を読んで、堀尾はずっと堀尾葉介を演じていたんだなと思うと切なくなった。
車椅子の生活になり、翼と話している時の葉介はやっと本当の自分になれたんだなと思えた。
この小説のレビューとしては関係のない話になってしまうが、この小説にはたくさんの映画が紹介されている。どれも面白そうで、これから観るのが楽しみだ。 -
遠田潤子の連載短編です。
いつも凄まじく暗い過去を持つ主人公の長編なので
とても新鮮でした。
色々な年代で堀尾葉介という有名な俳優に関わった
人々が主人公となる短編でしたが、それぞれが悩みを抱え未来へ一歩踏み出していく希望に満ちた話。
堀尾葉介自身の人生は本人が語る事がないので、やはり遠田潤子らしくなんだかゾワゾワします(*_*)
ラストで堀尾葉介の人生も救われて爽やかな結末に
ちょっと驚きました笑
遠田さん…こんな作品もありなのね!
-
人々を魅了するオーラを放つ大スター堀尾葉介とどこかで接点のあった人々の人生が描かれた短編連作。
後悔と哀しみを抱え、過去に縛られて佇んでしまった人々が、一歩前に踏み出す8つの物語は心に染みる。
読み進めるうちに堀尾葉介の実像が浮かび上がり、背負ってきたものの重さに愕然とする。救いを得るために払った犠牲は決して小さくないが最後、葉介自身は悟ったように明るい。人はつらい想いをした分、優しくなれるのか?人々を魅了する葉介のオーラは、彼の心の有り様が滲み出ているからなのか。
雨の日の切ないシーンが多い。
雨の日の思い出は、雨が降ると思い出すとある。最後の章、雨の日に過去とシンクロするような出来事が葉介に起こる。
「想い出も時と共に消える。雨の中の涙のように」タイトルになった映画の台詞。
雨の中で流される涙は誰にも気づかれない。もしかしたら自分自身もどれだけたくさんの涙を流したか気づいていない時もあるかもしれない。
雨が重要なモチーフとなり、閉塞感や肌寒さ、切なさが雨のように心に降り注ぐ物語だが、つらい想い出はいつか消えていくのだと、読後感の雨のイメージは包み込むように優しかった。-
koringoさん。こんにちは。
いつも、いいね!ありがとうございます。
私も、この作品を読みました。
korinngoさんのレビ...koringoさん。こんにちは。
いつも、いいね!ありがとうございます。
私も、この作品を読みました。
korinngoさんのレビュー素敵ですね!
雨のところの描写がなんとも言えません。
こんな素敵なレビューが書けるなんて…。
うっとりしてしまいました。
ただ、レビューが素敵だったのをお伝えしたくて、コメントさせていただきました。
たいした、レビューは書けない私ですが、これからもよろしくお願いします(__)
2020/10/28 -
まことさん
過分なお言葉ありがとうございます。
まことさんのレビューも拝読してました。良いお話でしたね。
まことさんを始めレビューを書...まことさん
過分なお言葉ありがとうございます。
まことさんのレビューも拝読してました。良いお話でしたね。
まことさんを始めレビューを書かれている皆さんのお陰で良い本に出逢えることに感謝しています。
まことさんのレビュー、これからも楽しみにしています。よろしくお願い致します。2020/10/28
-
-
-
猫丸さん。
この本も、昨日読み終えたばかりです。
今までの遠田さんの作品(まだ3,4作しか読んでいませんが)より雰囲気が爽やかなかん...猫丸さん。
この本も、昨日読み終えたばかりです。
今までの遠田さんの作品(まだ3,4作しか読んでいませんが)より雰囲気が爽やかなかんじでしたよ。
明日にでもレビューします。2020/10/03 -
2020/10/03
-
-
遠田潤子の連作短編って珍しいです。他に無いような気がします。
最近ではそこまで主人公を絶望の淵に叩き込んで棒でつつくような本は減りましたが、この本はさらに普遍性が出てきました。初期の病的に主人公を痛めつける方向を好きだった人にはちょっと物足りないかもしれないけれど、とても良い本でした。 -
さまざまな人たちの人生の断片を描いた連作短編集。人間関係につまずき傷ついて、前に踏み出せずにいる人たち。彼ら彼女らの人生にほんの少しだけ関わる一人の芸能人・堀尾葉介。眉目秀麗で圧倒的なオーラを持ち、誰にでも好感を抱かせる才能と努力の人。人間的に完璧に思える彼に関わることで変化を迎える人たちの姿がとても優しく描かれています。
というと「感動できるいい話」といった印象だし、実際そうではあるのですが。それだけでもなく辛辣で痛々しい部分も多いです。だからこそ優しさが沁みるのでしょうね。そしてすべての物語に関わる堀尾葉介。彼の人生に何があったのか、という部分も大きな謎であり、彼自身がいったいどんな人なのか、という部分にも興味を抱かされます。何もかもを手にした完全な人間のように思えるけれど、きっとそれだけではあの数々の思いやりを見せることはできないのだろうなあ、と最終的には思いました。
お気に入りは「ひょうたん池のレッド・オクトーバー」。一番要になる物語で、そして一番「いい話」ではないのですが。だからこそ印象的でした。そこに続く最終話の「美しい人生」もまた苛烈でありながら、美しい物語です。 -
*
遠田潤子さんの小説を初めて読みました。
かつてのアイドル、かつ演技派の俳優であり、
役者の堀田葉介の幼少期に関わった人たち
それぞれの物語。
どの話でも、それぞれの人に表と裏があり、
どう生きるのか向き合っている人生が
ありました。
誰もが主人公なんだと思えた一話一話です。
著者プロフィール
遠田潤子の作品






でも、ちょっと怖いシーンもあります。
やっぱり遠田さんです。
でも、ちょっと怖いシーンもあります。
やっぱり遠田さんです。
読み終えました。すごい良かったです。
こんな遠田作品も新鮮で好き。
私は卵屋さんと炭焼き男の章が特に心に残り...
読み終えました。すごい良かったです。
こんな遠田作品も新鮮で好き。
私は卵屋さんと炭焼き男の章が特に心に残りました(≧︎ω≦︎*)
ちょっと怖いシーンもありましたが、よかったですよね!
私は、最初、主人公は、垣見五郎兵衛だとばっかり思っ...
ちょっと怖いシーンもありましたが、よかったですよね!
私は、最初、主人公は、垣見五郎兵衛だとばっかり思って、第二章で、「なんで出てこないんだろ?」と間違えました(^^;