ワンダフル・ライフ

  • 光文社 (2021年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784334913847

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

多様な解釈を呼び起こす深いテーマと構成力が魅力の作品で、様々な生きづらさを抱える人々の物語が4つの視点から描かれています。時間軸が複雑に絡み合いながら進むストーリーは、登場人物たちの人生がどのように交...

感想・レビュー・書評

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  •  まもなく文庫化発売となる本作は、衝撃的な作品でした! 何と言ってもその構成力、さらに内容やタイトルは多様な解釈が可能で、深さと複雑さ(難しくはありません)を兼ね備えたものでした。

     様々な生きづらさを抱える人たちの物語で、4つの物語が並行して進んでいきます。
     これらがどうつながるのか? なぜこんな表題なのか? と想いを巡らせながら読み進めました。

     時間軸がズレていて、理解しにくい面もありましたが、4つの男女の物語が徐々に絡み合い、つながっていきます。構成の秀逸さが際立ちます。
     加えて、障がい者に関する自分の認識の根幹を、かなり揺さぶられました。残酷な要素もありますが、著者の願い・祈りも感じました。

     驚愕の真実が明かされるラストは、個人的に素晴らしいと思ったものの、余白や余韻を考えた時に、「エンドロール」の必要性については、賛否が分かれるかもしれません。

     一人の女性の確かな存在とその足跡‥。本書を恋愛小説と解釈した方がすっきりかも‥。
     自分の歩んだ人生が、後に振り返った時に、自分にとって、或いは誰かにとって『素晴らしき哉、人生! 』と言えるようでありたいと、しみじみ思う物語でした。

  • タイトルは「素晴らしい人生」って意味でしょうか。
    エンドロールが現実だったらよかったと、タイトルと内容のギャップに本当に泣けました。胸がしめつけられました。
    最近読んだ小説の中で一番切なかったです。

    夫婦である一志と摂より大学生の<GANCO>(摂のハンドルネーム)と障害者の<テルテル>のパソコン通信とその後が切なかったです。

    そして東日本大震災で自らも障害者となった摂は夫の一志に横暴にふるまうようになります。
    「生きていればいいことがあるなんて、なんで言えるの」
    「そんな風に思えない」
    「俺がいるから大丈夫。どんなことがあっても大丈夫」
    摂が夫に違う態度をとっていれば違う結末があったとはあまり思えないのです。
    (夫の一志は不倫に走り、摂のことを書くことによって平静を保とうとします)

    介護してくれる一志に摂が「ありがとう」を一言も言わないのは一志が「私を捨てることができるように」というのが悲しかったです。

    今、何の障害もない人も何かの事故に遭って障害を持つことは十分にあり得ます。
    考えさせられる部分が大いにありました。

    • くるたんさん
      まことさん♪こちらでもおはようございます♪

      私もあの「ありがとう」を言わない理由に言葉が出なかったです。

      介護、障がい、ありのままを教え...
      まことさん♪こちらでもおはようございます♪

      私もあの「ありがとう」を言わない理由に言葉が出なかったです。

      介護、障がい、ありのままを教えられた作品でした。
      あとがきも読むとまた…。
      良作でしたね♪
      2021/07/12
    • まことさん
      くるたんさん♪

      あとがきによると、作者の丸山さんの奥様は、確か障害を持っていらっしゃるけれど、何も問題はないと書かれていて、ホッとしました...
      くるたんさん♪

      あとがきによると、作者の丸山さんの奥様は、確か障害を持っていらっしゃるけれど、何も問題はないと書かれていて、ホッとしました。
      私も、さっきのコメントで、この本を紹介してくださった、くるたんさんに、お礼を忘れてしまいました。
      ありがとうございます!
      2021/07/12
  • ワンダフル・ライフ ー 素晴らしい人生

    さまざまな意味が込められたタイトルだ。
    4つの物語がぐるぐると展開される。
    渦に巻き込まれていく。

    最後まで読んで、「人生」の意味はガラッと音を立てて変わる。
    ああ、そういうことか…
    あまり気分はハッピーではないかもしれない。

    この小説は、著者が障害者の当事者性にはじめて向き合った作品なんだという。僕は障害当事者ではないので、わからないなりの感想だが、かなり成功しているのではないか、と思う。

  • まさか全部が繋がるとは思わなかった。
    最初の障害を持った女性の態度はさすがに無いかなと思いながら読んでいた。

    しかし、全部読んでから彼女も生き生きとした魅力的な女性に変わりはないのだと言うことに気付いた。

    障害者を異物に感じる世の中はダメだと書いていたが、確かにそうかもと思う。

    最後に彼女が言った「ありがとうを言わなかった理由」は本当だろうか?判断がつかなかった。本当ならば彼女はかなり辛かっただろうな。

  • これが社会福祉系の小説なんだ(゚A゚;)となった。
    題名が「ワンダフル・ライフ」だから、てっきり生きる喜びを見出す明るい話かと…。結局全然違ったけれど、この作品は読んでおいて良かったです!
    障害のある子供と母親が無理心中といったニュースを聞いたら、さすがに眉間にシワは寄るし、社会を悲観的に思うのが自分なりにありました。「そもそも抜けてることがありませんか?」と、作者に投げかけるられ、別の観点を教えられた様に感じ、またそれも苦しいほど胸にくるものがありました。4つの題名で区切られていた話が、最後にまとまったのも驚きでした。

    2024.12

  • 著者の丸山正樹さん、頸髄損傷の奥様がいらっしゃるのは初めて知った。
    障碍についての描写もリアルなことに納得。
    綺麗事ではすまされない日常が描かれていて、常に問いを投げかけられているような気分で読んだ。
    何組かのカップルのストーリーが平行して進んでいくのだけど、最後の年表で関係がクリアに。
    それにしても摂は、なんであそこまでの悪態をつくようになっちゃったの?

  • 良作の一冊。
    毎回ありのままを現実を見せて伝えてくれる丸山作品。そんな今作は障碍者、介護の世界。

    バリアフリー社会の裏で実は揺らめく障碍者と健常者を隔てる薄いカーテン、そして一瞬でも抱いた経験のある気持ちを容赦なく突き、それに対しての障碍者からの目線、抱く感情も直球で見せてくれる。

    だからこそ何度もハッとズキっと見事に心は収縮し続けた。
    そしてこの物語の構成に一番ハッとさせられた。
    改めて一歩離れてこの物語の全体像を眺めたくなる。
    そして全てがわかったからこそ拾い集めたい言葉もまたある。

    過去作の中で一番好き。良作。

    • まことさん
      くるたんさん♪おはようございます。

      この作品はくるたんさんのレビューで知って読みました。
      私も今までの作品の中で一番、よかったです。...
      くるたんさん♪おはようございます。

      この作品はくるたんさんのレビューで知って読みました。
      私も今までの作品の中で一番、よかったです。
      心に残る作品だと思います。
      読んだ翌朝、思い出して胸が苦しくなりました。
      2021/07/12
    • くるたんさん
      まことさん♪おはようございます♪

      わ、そうだったんですね♪
      私も奥の奥を見せられた気分で、苦しみを感じた作品でした。

      でもしっかり心に残...
      まことさん♪おはようございます♪

      わ、そうだったんですね♪
      私も奥の奥を見せられた気分で、苦しみを感じた作品でした。

      でもしっかり心に残る作品に出会えましたね¨̮♡
      2021/07/12
  • 障害にまつわる「4つの」物語が、交互に描かれていく。
    前情報を見ずに読むのがおすすめ。

    残念ながら、私も障害については一定の偏見を持っていないとはいえない。
    家族にそんな人がいたら、大変だろうなと思っている。いや、そうやって他人事のように思ってきた。

    だけど、誰だって、障害を持つことになる可能性はあるし、介護する立場にもなる可能性だってあるのだ。

    「私がその言葉を使わなかったおかげで、あなたは私を憎むことができた。そして今、私を捨てることができる。そうでしょう?」(p.222より)


    タイトルの「ワンダフル・ライフ」。そしてあとがきに記されていた作者丸山さんの状況。
    障害は「不幸」とは限らないのだと、そんな願いがこめられているように感じた。

    読み終えて、もう一度読み返したくなる作品だった。
    丸山さんは初めて読む作家。経歴を知ってではないけれど、デフヴォイスシリーズも読みたくなった。

  • 介護離職・セックスレスの夫婦・不倫・障害者の恋の4つの物語が進行していく。脊髄損傷者の妻の介護シーンの描写や現実の事件をモデルにしたであろう新聞記事の切り抜きなど重たい内容にページを捲る手が止まりそうになる。そんな中で、脳性麻痺の<テルテル>と<GANCO>の恋は、無理と知りつつも応援する気持ちで読み進みました。しかし、「無力の王」の妻が『ありがとう』を言わない理由、そして、あっと驚くラストで4つの物語がつながり…仕掛けも見事でした。しかし、それだけではない読み応えのある小説でした。

  • 事故による頸髄損傷で肩から下が動かず寝たきりの妻の介護をしている男…で話しは始まる。

    それから違う話しが次々と…、と思って読み進めるとひとつの人生だった。
    繋がっていたそれぞれは、すべて重くてその時々で悩みは尽きず…。
    だがそれなりに何かを抱えたままで日々を過ごしていくことが生きているということなんだろう。

    妻が介護して貰っても決して「ありがとう」と言わなかった訳に胸を締めつけられる思いがした。

  • 事故により障害を追った妻を介護する夫から物語は始まる。
    いきなり重いテーマだ。
    作品は、時と舞台の違う、4編の男女のエピソードで構成されている。
    一つ一つの話を読み進めると、何か違和感を感じながらも少しずつ明らかになるもどかしさ。
    トレーシングペーパーに断片的に描かれる4枚の紙のようだ。
    夫々を重ねることで、空白が少しずつ埋まり、最後に全てが浮かび上がりるといった趣向に唸らせられた。
    それよりも本作は、健全者と障害者の意思疎通の難しさ、偏見、差別など、自分の良心や道徳心を試される、心を強く揺さぶられる内容に正にやられた。
    生きているだけで幸せ。と煩悩の塊の私に思える時が来ることはあるのだろうか。

  • なんだこの本は。
    ガツンとくる作品だった。
    脳性麻痺、頸髄損傷、障害を持つ人が登場し、いくつかのパートが時間軸を変えながら描かれている。
    バラバラの話を読み進めるうちに、何となく名前に繋がりを感じ始め、最後にきれいにまとまるのだろうと期待したが、それが思いがけない形で裏切られた。
    混乱しながら最後の最後まで読んで、納得…。

    この作者の作品は、他の聴覚障害のものも同様だが、とてもリアルに感じさせる。
    障害のある人が差別される、というありがちなものではない。障害のある人が、他者を差別することもあるだろう。
    でも、どんな人も、無関係ではない。
    この作品を読んで、また一つ知る。
    私にとって読む必要のある作品だったと思う。

  • 図書館本

    頚椎損傷の障害を持った人の現実。
    生きていること、生きること。
    私たちの本音と建前。
    どろっとしたものが混ざり合う。

    途切れ途切れのエピソードが、緩やかに収束していく様子は、私たちに、ほわんとした気持ちと、命に対する気づきをもたらしてくれる。
    読んでよかった。

    これはGANCOの物語だ。


  • 『 障害』がテーマの壮大な物語。
    途中、大きな仕掛けもあり驚かされる。

    摂の数奇な運命にしみじみと考えさせられる。
    いや、誰にとっても長い一生は山あり谷ありの凸凹道だろうけど。

  • 不穏なスタートで始まり、最後まで飽きることなく、
    そして最後まで胸に重たい石を抱えた気分のまま読了。

    読みながら、このお話はどんなふうに繋がってるんだ?と思いながら、
    ヒントを頼りに、ああ、これは長い長いひとつの物語なのかも、と気づく。
    それと同時に、作者からの強いメッセージも感じた。
    それを受け止めるのは
    健常な人間にとってはとても難しいことだ。
    人は自分が経験したことからでしか、他人の気持ちや状況を想像したり、理解したりできないものだと思うから。
    ただ、この本を読む前と読んだ後では確実に自分の思いは変わったと思う。
    ほんの少しの前進だけど、この作者からはいつも気づきをもらえる。

    最後に。
    この物語にはいくつかのエンディングが描かれている。
    願わくば、GANCOとテルテルのエピソードは本物であってほしいと思った。

  • 4つの時間と舞台が違うストーリーが入り混じった作品。
    障害を持つ方が身近にいる人とそうで無い人とは理解度が違うと思いますし、哀れみや同情などみんな違うそれぞれの感情を持つと思います。
    この作品は、そういった障害者がいる状況をベースに書かれているので、それに対しての想いや考えが描かれていますが、固い話、難しい話、正論が並べられた話、そうではありません。
    男女、家族、人間の生々しさが物語としてどんどん先が気になるほど面白さ。

    4つの物語がつながった時、壮大な人生を見ることができた満足感が得られ、練られたストーリーに感心すること間違い無い素晴らしい作品です。

  • 本作は、4つの物語が同時進行し、最後には一つに繋がっていく形式の作品。

    各話に共通するテーマは、重度障害者に対する健常者の(無意識的な)差別意識? いや、確かに各話に重度障害者を登場させ、それがトラブルの原因になったりしているし、重度障害者の意思を丁寧に描いている部分もあるのだが、なんか違う。

    「無力の王」は、頚髄損傷者(ケイズイ)の妻を介護する夫(わたし)の物語。暴君のような妻に奴隷のごとくこき使われ、しかも妻から全く感謝されない夫の心と体の消耗が痛々しい。事故前から心が通い合っていなかった夫婦っぽいが、それにしても妻に全く共感できず、読んでいて困った。

    「真昼の月」は、子供のいない夫婦(一志と摂)の物語。子供が欲しい夫は、子供を頑なに拒んできた妻を説得して妊活を始めるが、結果が出ない。諦めた夫に何と妻が(障害児かもしれないよその子との)養子縁組を持ち出して拘りだす。ここでも、夫に気持ちを打ち明けないまま頑なに我を通そうとする美人妻に不気味さを感じた。仮面夫婦?

    「不肖の子」は、上司と不倫中のOL(岩田、あだ名は岩子)が、寂しさを紛らわすため、アタックしてくる(特に好きではない)癒し系の男(国枝)とも接近。破局間際の上司とのセックスでは敢えて妊娠してしまう、というしょうもない話。無邪気な国枝が何だか惨めで可哀想。

    「仮面の恋」は、脳性麻痺者(CP)の照本(ハンドルネーム:テルテル)が、障害者ボランティアが集まる掲示板である女子大生(ハンドルネーム:GANCO)に恋する話。聡明なテルテルのコメントに惹かれたGANCOのオファーで2人は直接会うことになったが…。この話は感動的で面白かった。テルテルの切ない気持ちに共感した。

    結局、美人でしかも性格は真面目だが、とても我が強く、また感受性も強い主人公の女性、何故か普通には生きられない女性が、周りを巻き込んで自滅していく話、なのかな。洋画「素晴らしき哉、人生!」(It's a Wonderful Life)から取ったらしいタイトル「ワンダフル・ライフ」は逆説的な意味? 彼女がこの世に存在したことによってもたらされた幸せって何?(ラストに簡単に描かれている別の未来ではいくつもの幸せがもたらされているが…)。彼女に不幸を引き寄せた根源は、容貌が"美人"ということだったりして。そうすると本書は、健常者も障害者も、(本人の意志とは無関係に)その外観が運命を左右してしまうってことがテーマなのかも。

    養護学校の小学部に通うテンテルが担任のきれいな先生を好きになったことに対して母親が、「あなたもきれいな女の人が好きなのね……」となぜか悲しい顔で呟いた、という件が印象に残った。

  • うーん
    凄い小説に出会ってしまった
    読み終わりの評価は分かれるでしょうが私はとても気に入ってしまった
    ただ一度の読破では私のレベルでは理解が追いつかないので2回読みくらいが丁度良い感じ
    もう暫くしてからまた読み返してみたいと思います

  • 丸山さんの作品はかなり好きなので、図書館で見つけてワクワク読み始めました。

    前情報なし…目次を見て「ん?無力の王(1)?」
    ( )って?
    4つのお話が順番なんだな〜と気楽に読み始めて
    いきなりガツンと殴られました。

    これは気合い入れて読まないとアカンよ(*_*)
    (3)まであるし!
    繋がりが最初に気づいてしまった為に読むのが止まらなくなってしまった…

    リアル
    そして自身にも起こりうる事

    やっぱり丸山作品は深い!
    あーもうマイッタなm(__)m

  • なんともやりきれないスタートで、最後までやりきれません。
    要介護になってしまった妻とのすれ違いから始まった物語が、どういう風に転がっていくのか全然分からないまま読み進め、最後に至った時にやるせなさマックスになります。
    ありがとうと言われる事なくこき使われれば消耗していくし、世間から置き去りにされたような気持になるのも仕方ないです。めちゃくちゃ頑張っているし献身的なのに何が気に喰わないんだとむしゃくしゃした気持ちで読みました。
    でもその何が気に喰わないんだという気持ち自体が上から目線だと言われてしまうんでしょう。だとしたらどうしたらいいのかなあ。もし自分がこういう態度の人の介護をずっと続けなければいけないとしたら、その手前にどんないきさつが有ってもつきあいきれないなというのが正直な所。
    しかしデフボイスといい本当に身につまされ、新たな問題提起をしてくれる作家さんです。

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著者プロフィール

京都大学大学院理学研究科教授。

「2004年 『代数幾何学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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