能面検事の奮迅

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914165

感想・レビュー・書評

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  • 国有地の払い下げ値段が極端に安いことから起こった贈賄疑惑を検事が調べるうちに、検事による文書差し替え疑惑まで起こる。乗り込んできた東京地検に不破検事も加わることになる。感情を表に出さない能面不破検事は周りの思惑などかまわず、原則論を貫き、現場を実際に見るという自分流を推し進める。不破付きの惣領美晴事務官が轟沈覚悟でなんだかんだと口を出してくるのが、とんでもない勇気があるというか、学ばない鬱陶しさがあるというか、気にはなるが、不破のやり方を目立させるための小説的技巧だろう。そういうあからさまな表現がくさいといえばくさい。当然、真相は全く違うところにあるのはいつもの通り。政治問題が人情問題になってしまった。

  • 能面検事 シリーズ2

    近畿財務局を巻き込む大スキャンダル。
    学校法人荻山学園に対する大阪府、岸和田の国有地払い下げに関し、近畿財務局職員の収賄疑惑が持ち上がった。
    大阪地検特捜部が捜査を開始したが、その特捜部内の担当検事による、決裁文書改竄疑惑が、浮上する。
    何年か前に起こった事件を彷彿させる出だしだったが、事件は、想像もしなかった結末を迎える。

    最高検から派遣された調査チームのメンバーの中に、あの、岬検事が。。

    大阪地検一級検事の不破俊太郎は、どんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で〈能面検事〉と呼ばれている。
    不破は、ある事件が元で、能面を装うようになったらしい。
    どんな事件だったのか知りたい。

  • 不破検事再びです。

    実際の事件を彷彿させる舞台の裏側にある真相にたどり着くため、現場に足を運びながら些細な違和感等拾い上げていく様子が丁寧に描写され、さすが中山七里という感じです。

    東京から元上司が大阪に来ていて不破検事をよく理解しているので、前作よりは周囲の不破検事に対する軋轢が緩衝されているような気がしました。

    最後は不正は許さないも不器用な対応でとても人間味溢れていました。

  • 大阪での国有地不正売買と文書改ざん。リアルのあの問題が頭に浮かぶ。
    能面検事不破が淡々と事件に挑むのだけど、今回は人間らしさも垣間見えた。
    事務官惣領は、登場シーンが少なかった気がする。
    二人の間には信頼関係が徐々に芽生えているようで、次作も楽しみ。

  • 能面検事シリーズの2作目。
    国有地の不当な払下げ疑惑に関連し公文書改竄、贈収賄疑惑と。次々と浮上してく疑惑。
    しかし、それに隠された真の目的。
    彼らの意外な繋がりと想い。最後の最後で判明した真相。
    すごく楽しく読みました。
    実際の事件を彷彿とさせるものからここまでの物語を作り出す。
    やはり中山作品は僕に合っていると思いました。

  • 国有地払い下げ、増収贈賄、文書改竄…

    からのー予想外の事件発覚_φ(・_・

    中山七里のどんでん返しの作品でした。

    前作の能面検事…内容忘れちゃったな(*_*)
    能面がちょっと剥がれる部分も欲しい…
    でも能面の下の優しさが良いところだしな〜

    岬父が登場は嬉しかった♪
    続編ありかな⁇




  • 証拠改竄で信用失墜した、大阪地検特捜部が手掛ける、大型案件。
    ところが、担当検事による証拠改竄疑惑が、再び持ち上がり……。

    『能面検事』の続編。

    どこかで聞いたような、学校法人への国有地払下げ事件。
    特捜部のホープ高峰検事は、ほんとうに証拠改竄にかかわっているのか?

    一切の忖度をせず、原理原則をつらぬいていく〈能面検事〉こと不破検事が、このデリケートな案件に着手する。

    東京地検からは、岬検事ががっつり登場。
    岬検事と不破検事の絡みは、おもしろかった。

  • 「能面検事」シリーズ第2弾は、検察内部の不祥事(検事による証拠改竄)の糾明。キーワードは「台本つきの三文芝居」、「私と公、友情と使命」。

    ストーリー自体それほど奇抜でなく(やや青臭い)、ラストのどんでん返しも驚愕するようなものでなかったが、結構楽しめた。検事の世界のドロドロとした出世争い(足の引っ張り合い)や政治力学をものともしない不破検事の淡々としてぶれない姿勢、読んでいて心地よかった。新米とは思えない総領事務官の大きな態度(しかも勘が悪い)も許容範囲(笑)。岬次席(父親の方)とのコンビネーションも抜群だった。

    「能面検事」シリーズ、続いて欲しいなあ。

  • 読み始めて…これは森友問題?と思いきや、そんな(凄い)オチですか!と。さすが中山七里さん。
    それもラスト一捻り二捻りで最後の一行まで楽しかった。
    能面検事シリーズは、まだ2冊みたいだけど、また読みたいなぁと期待してます。
    不破検事の流儀を受け入れ、美晴が成長していく感じが良かった。

  • 「能面検事」こと不破検事の2作目。
    国有地払下げを発端とした贈収賄事件。
    調査する為に立ち上げられた大阪地検の特捜部の文書改ざんが発覚する。
    文書は何故改ざんされたのか、不破が東京から派遣されてきた岬や事務官の惣領たちと、その理由に迫っていく。
    贈収賄事件は、言わずと知れたあの事件をオマージュしているのだろうが、作品の中での疑惑はあくまでも大阪地検の検事と財務省の職員の関係。
    序盤だけを読んでいると、どうしても実在の事件とリンクし、最終的にミスリードされていることに。
    「どんでん返し」とまでは行かないが、久しぶりに「やられた感」はある。
    不破の能面ながらも人間性のある行動や、不破が主人公とは言え、岬検事がしっかりサポートしていることも、ファンには堪らない内容だろう。
    最近は単独の作品の刊行が増えている気がするが、そろそろ各シリーズの続編が読みたい。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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