シャルロットのアルバイト

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914455

感想・レビュー・書評

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  • 元警察犬のジャーマンシェパード、シャルロット。最終話ではまもなく九歳と書かれているのでシニア犬になるが体は至って健康。
    しつけはきちんとされているしむやみに吠えないし穏やかなおばあちゃん、いやおばちゃん犬だ。

    前作のレビューで内容が薄くてすぐに忘れそうと酷いことを書いていたが、案外覚えていた。
    内容はミステリーっぽいが前回同様シャルロットは見守るだけ。飼い主である池上夫婦が動いたり夫が思い付く話もあるが、大抵は物事の方が動きそこに夫婦とシャルロットが居合わせるといった具合。

    だが中身は近藤さんらしく少し苦くて、最後は突き放される。
    犬の飼い方の問題、家族の問題、犬を利用した邪な欲。真相が分かっても池上夫婦に出来ることはない。ただ犬たちにとってもその家族にとっても良い方向に行くように祈るだけだ。

    シャルロットの可愛さにひたすら癒された。
    子犬のパワーに付き合うことは出来ないが、遊び相手のぬいぐるみをボロボロにされてもしっぽをかまれても仕方ないなぁという感じで見つめている。でも居候犬のイタズラで一緒に池上夫婦に怒られるのはゴメンとばかり二階に避難。

    池上夫婦がシャルロットを大切にしているのも分かって安心する。と言っても仕事も生活も健康も大切。そのバランスを考え、時にシャルロットを我慢させることもあるし、夫婦が無理をすることもある、
    大型犬を飼うのは大変だ。体力も要るし食費にしても飼う環境作りにしても経済的負担も掛かる。子犬の時点でテレビを壊されていたら堪らない。
    池上夫婦なら年齢的にも経済的にも最後まで一緒に暮らしてくれるだろうが、介護生活になったら大変だろうな、と親類の家で飼われていた犬の最後を思い出してしまう。

  • 今回は犬をめぐる家族の在り方を描いた短篇。
    犬は賢くて人懐っこくてすごく可愛いけれど、一緒に生活するってことはその命に責任を負うこと。
    家族一人ひとりの思いと家全体としてのスタンス。そんなことを考えさせられる内容。どの短篇もスッキリ問題解決ではなく、これからどうなっていくんだろ?という含みを残して。

  • ジャーマンシェパードのシャルロット、雌。元警察犬を飼う2人の夫婦(真澄と浩輔)。全巻がとても面白く、丁度2巻目が出たので図書館予約。犬を飼う喜びと飼う負担、勿論喜びが大きい人が犬を飼うのだが、今回は犬を飼えなくなった人を取り巻く切ない心情、やるせない行動などが垣間見えた。その中心にはシャルロットがいる。シャルロットがいつも幸せを引く寄せるが、優しく接する2人の夫婦が基本にある。ただ、浩輔のシンガポール栄転話、シャルロットのために断念するが、うーん、若干の違和感。それだけシャルロット中心の生活なんだね。④

  • シリーズ第2弾。
    シャルロットと池上夫妻の温かな日常から、犬を通して不穏な出来事に巻き込まれる短編集です。

    2人とも穏やかな人柄で、シャルロットも愛らしく好感がもてます。犬を飼う覚悟がしっかり伝わってきて、犬を飼ってみたい気持ちと、生半可に飼えるものではないことが伝わってきます。

    どの話も犬が絡んでいますが、背景は別のところにあり、飼い主の在り方や、家族の問題、精神的なDVなど綺麗に問題解決をしきってないところが現実味があり落ち着かなくさせます。

    とても読みやすい上にさすがだなぁと思います。

    もうすぐシニアに突入してしまうシャルロット。どのようにシリーズ展開していくか楽しみです。

  • ジャーロ66,67号(2018年12月,2019年1月)シャルロットと迷子の王子、68,69号(6,9月)シャルロットと謎のお向かいさん、70,71号(12月,2020年3月)シャルロットと紛失した迷子札、72,73号(6,9月)シャルロットのアルバイト、74,75号(2021年1月,3月)天使で悪魔とシャルロット、書き下ろし家族、の6つの連作短編を2022年2月光文社刊。シリーズ2作目。シャルロットの様子が楽しくて、読み進めましたが、内容は家族、同族のイヤーな話ばかりで、辟易しました。コージイヤミスです。

  • 元警察犬のシャルロットとその飼い主のご夫婦の日常を描いた「シャルロットの憂鬱」の続編。
    今作も全て短編集だが、人と動物の繋がりなどを優しいけれど、どこか不穏な雰囲気で描いている。
    今作では、どの章にもシャルロット以外の犬が登場し、様々な犬とシャルロットの交流が楽しい。
    しかし、その傍らには人間たちの負の感情が見え隠れして、一筋縄ではいかない。
    シャルロットを中心に描かれているが、ほとんど個人的な情報が出て来ない飼い主のご夫婦二人の慧眼もかなり読みごたえがある。
    どちらかが謎を解くのではなく、どちらも謎を解いてしまうのが凄い。
    そして、他人のエゴ中で光るシャルロットへの無限の愛。
    ペットを飼うことの楽しさだけではなく、厳しい意見もきちんと描いているからこそ、シャルロットへの愛情が本物であることが伝わる。
    シャルロットもコロナの影響を受けてしまうし、大型犬の寿命は長くないかもしれないけど、あと少なくても2作品ぐらいは読みたい!

  • 【収録作品】 シャルロットと迷子の王子/シャルロットと謎のお向かいさん/シャルロットと紛失した迷子札/シャルロットのアルバイト/天使で悪魔とシャルロット/家族
     大型犬シャルロットと過ごす夫婦の日常。家族としてのペットに向ける眼差しが優しい。しかし、この連作、決して甘いコージーではない。
     飼い主のエゴ、家族内の問題、犬を口実にした犯罪、精神的DV、ミスに対する間違った対処。
     著者の問題意識が突きつけられ、どの話にも気持ちの悪い人間が出てくる。何より気持ち悪いのは、彼らが「普通」の顔をして社会にいること、それどころかちょっと見には「いい人」に見えるかもしれないこと。そして、おそらく問題を指摘されても、何が問題かわからないのではないかということ。
     その意味で、「謎のお向かいさん」や「アルバイト」「天使で悪魔と」での解決は、安易なハッピーエンドでなくて、現実的。

  • 犬が人と人を繋いでいく様子が手に取るようにわかって温かい。犬といられる時間大切にしたい。

  • 私は動物を飼ったことがない。この本を通じて、犬との暮らしがわかります。犬を慈しみ、大切にできる人は、家族も慈しめる。天使で悪魔とシャルロットの章は考えさせられた。
    シャルロットに癒されました。

  • 池上さんちの、浩輔(こうすけ)と真澄(ますみ)の30代後半夫婦と、元警察犬でもうすぐ8歳になるメスのジャーマンシェパードのシャルロット。
    二人と一匹の心優しい家族の周辺で繰り広げられる、犬にまつわるお話いろいろ。

    犬はおもちゃではない。
    一つの命である。
    覚悟と責任を持って向き合ってほしいものだ。
    犬の可愛さを利用して不埒な事を考える輩も出てくる。
    悲しく、腹立たしい事です。

    そして、犬を飼うことは家族全員の問題である。
    愛情を持って飼えば、それ以上のものを返してくれる、愛すべき友達。
    犬好きの人はもちろん、そうでない方にもオススメです。(嫌いな方はさすがに・・・)

    『シャルロットと迷子の王子』
    散歩の途中でリードのついていないトイプードルを発見!
    放っておくわけにいかず、真澄は家に連れて帰る。

    『シャルロットと謎のお向かいさん』
    子供は成長したら親と距離を置くこともできる。
    飼い主ガチャに外れてしまったペットは可哀想だと、ふと思う。

    『シャルロットと紛失した迷子札』
    犬好きが集まる人気のペンションを紹介してもらい、久しぶりに夫婦揃って旅行に出かける。
    しかも、シャルロットも一緒という最高のシチュエーション。
    犬と一緒でなくても泊まれるが、何やら不審な二人の男が・・・

    『シャルロットのアルバイト』
    シャルロットは、動物病院の待合室で出会ったドッグスクールのオーナーにお行儀をほめられ、社会性を勉強中の子犬たちの遊び相手になってもらえないかと誘われた。

    『天使で悪魔とシャルロット』
    大人たちの方針が食い違い、言うことがまちまちだと、躾は難しい。

    『家族』
    犬の人生はそう長くない。
    最後まで寄り添いたい。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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