森のなかの海 下

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 164
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334923365

作品紹介・あらすじ

神秘の森を、震災で傷ついた者に遺した女。その謎に満ちた生涯-。70年の時を経て明らかになる、その真実とは。現代人の魂の癒し、再生を描く文芸大作。

感想・レビュー・書評

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  • 正直なところ「う〜ん」という感じです。もちろん他の作品同様に著者の作品は読みやすく、楽しめはしたのですが。阪神淡路大震災をきっかけにした「草原の椅子」と同様に日本の将来を憂うものかと思います。しかし、上巻に書いた感想同様、登場人物が多いことと少々説教臭さが鼻につきました。

  • 阪神淡路大震災をきかっけに、二児の母は離婚をし、被災孤児を引き取ってログハウスでの生活を始める。ログハウスに住んでいた老婆に隠された過去と、少女達が立ち上がって行く話

    上下巻読み応えもあり、すっと物語の中に入っていくことができた。少しずつ明かされる老婆の過去が胸を打たれた

  • 癒しと再生

  • 奥飛騨での10人の若い、震災で不幸になった女の子たちを引き取ってのユートピアのような共同生活。ヒロインが母親役として逞しく変貌していく様子が頼もしいです。震災からはかなり遠く離れていきます。そしてこの森と山荘をヒロインに残して孤独の死を迎えた女性の身に昭和3年(約70年前)に起こった悲劇の謎を追って下関へ。そこで知った驚くべき真実。推理小説のように惹き込まれます。10人が徐々に巣立っていく様子など、心が癒される思いがしますが、やや下巻は展開が早すぎて、無理な飛躍のようにも思えます。妹の知沙、若いイッチャン、マフウ、ナンバなどの女性が生き生きとして元気で魅力的ですが、ヒロインの2人の男の子があまりにも影が薄いと思います。

  • 下巻では主に、森と山小屋を主人公たちに遺した老婦人の過去について描かれています。
    夫人が遺した広大な森には、主人公たちがターカイ(大海)と名づけた大木があります。
    その根元から水差しが見つかり、それを手掛かりに老婦人の過去が明らかになっていく。
    一方、森のなかの家に集う少女たち10人はそれぞれに自分の進むべき道を見つけて旅立って行く。
    不思議に主人公の実の息子二人の事はこの話ではあまり描かれていません。
    多分、二人はとてもいい子なんだろうな・・・と思いました。

    広大な森の描写が魅力です。
    静謐で不思議な雰囲気が漂っています。
    さらに漲る生命力も。
    生命を育み、来るものを受け入れ、与え続ける森。
    そして、去るものを追わない森。
    その存在はそのまま主人公、希美子のイメージに重なりました。
    宮本輝さんの書く小説の人物にしてはこの物語の主人公である希美子はとてもシンプルで迷いの少ない人だと思います。
    それに好感をもちました。

    これは作者の色んな思いや考えのつまった作品だと思います。
    それをどう受け止めて、どう想像するのか、読み手次第だと思います。
    震災という衝撃的な場面で始まる話ですが、生命力や希望のつまった話だと思いました。

  • 好みの終わり方。マフウちゃんのその後が知りたい…、とても。

  • 上巻と下巻の装丁は一緒だと思ってたけど海と森の字の大きさが違うんですね。毛利カナ江の過去がメインの下巻は“海”が大きくなってるのが、なるほどなーという感じです。
    料理を描写させたら宮本輝氏はナンバーワンじゃないかと思ってます。
    もう「しゅんかい」のシーンが美味しそうで堪らないです。しかも品のある描写なのでまるで自分の目で実際にその料理を見ているかのような感覚に陥ります。
    登場人物たちが料理を食べてて美味しそうだなーって思うことは多々あるけど、登場人物がまだ口に運ぶ前の料理を見ているシーンで美味しそうだなーって思うのは宮本作品だけです。
    ちょっと詰め込み過ぎた感があるのと、やっぱり希美子のキャラが好きになれないのが残念だけど、雰囲気はものすごく好きです。

  • それぞれの道に進んでいく

  • コメントは上巻にて。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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