目下の恋人

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 202
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334923532

作品紹介・あらすじ

「許してあげるわ」敦子はそう呟いた。私は画面からやっと視線を離し、隣席の女性を見つめた。言葉などすぐには出てこない。でも、長い十年だったけれど、希望はまだ捨てずにとっておいた。それがこのカウチであり、それが彼女が座るべき場所、いるべき場所、である。その一席だけあれば、十分だった。あなたが座れるスペースさえあれば、世界はまた元にもどることができる…(「愛という名の報復」より)小さな物語の中にいくつもの一瞬が存在する。その一瞬の光の中で人は恋と出会い愛と暮らし時を紡いで行く。知り合って、憧れて、優しくされて、ときめいて…。世界のどこかにかならずいるはずの「その人」を求めて、ひたむきに熱く永遠を旅する恋人たちの物語。辻仁成初の短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 辻仁成の書く言葉は読みやすくてすんなりと頭に入ってくる
    リアルな世界の中での苦悩だったり人の生き様
    恋愛の話だけを集めたかと思いきやそうでないものもふたつほどありどちらの話も独特の世界を持っている

  • 読みやすい文章なんだけど、昇華されてない下品さが…セックスの描写とかが。
    なんか違和感というかあざとい感じ。

    でも、どっかで読んでタイトル詳細作家を失念してた話が収録されてた。
    不倫略奪婚した年上旦那と子どもを捨てて、若い男と逃げてまた新しい男に乗り換えて、その男に騙されて逃げられる話 笑

  • 10編からなる、辻氏初の短篇集。
    表題作の「目下の恋人」は、恋人のヒムロが自分を人に紹介する時に使う“目下の恋人”という言葉に少なからず傷ついていたネネが、その言葉の意外なルーツを知る物語。ヒムロの祖父が慈愛に満ちていて何だかいい。辻氏の作品ではそういえばいつも老人がキーパーソンになっている気がする。
    「偽りの微笑み」から始まる連作短編は、一人の男性に安住できない奔放な女性の物語。どちらかといえば女性作家が描きそうなストーリーなので、ちょっと意外に思った。
    その他、『サヨナライツカ』や『太陽待ち』のエピソードの元となる「好青年」「世界の果て」も収められている。

  • 形式・制度にとらわれない恋愛。制度に立ち向かい貫き通して半世紀。読後はほのぼのとして温かい。理想の愛の形を見る

  • 男性の優しさをふんわり感じれる

  • たいへんにロマンチスト。2000年以前の作品はとくに気持ち悪さが残る。2001年以降の作品は面白い。より現実的ではあるから。

  • 一瞬が永遠になるものが恋 永遠が一瞬になるものが愛

  • 短編集。

    『一瞬が永遠になるのが恋。
    永遠が一瞬になるのが愛。』

    ってゆう、深い感じ。
    辻さんっぽい。

    短編集のわりには、好きな本。

  • 短編集。

    題名になってる
    『目下の恋人』を
    読むためだけにも
    買う価値はあるかな、中古なら。
    という印象。

    その他の話はほとんど
    展開、読後感が一緒。

  • 目下の恋人として連れ添える人に私は出会えるのだろうか。果たしてそれで満足できるのであろうか。たった紙切れ一枚。だけどそれには法的な意味も含まれていて、決して軽いものではない。たったそれだけのものにつながれている安心感を人は持っているのかもしれない。そんなものがなくても連れ添っていける。そんな素敵な関係にいつか出会いたいと心底思える。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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