ひかりをすくう

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 511
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334925086

作品紹介・あらすじ

私にとって、ありふれた日常が最良の薬になった。注目の著者が、ひとの可能性を描く切実な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事に追われて精神疾患を患った女性の再生の話。橋本氏らしい文体だと思うけど、今の気分には合わないテーマだったかもしれない。

  • パニック障害になり会社を辞めて、東京からちょっとだけ田舎の一軒家に引っ越した智子。

    恋人で主夫の哲ちゃんに支えられながら、
    ひっそりと生活していく様子。

    引きこもりの女子中学生の小澤さんとの英語の勉強会。
    我が家の一員となった捨て猫だったマメ。
    故郷にいる父と姉のこと、自分の病気のこと。

    季節が巡って、引きこもりだった小澤さんは少しずつ登校できるようになり
    弱々しかった猫のマメも成長していき
    智子も少しずつ、前進している日々。

    わかりやすい文章だから初心者でも読みやすそう。

  • 2017.8.23読了 103冊目

  • まるで今の私のような…と思う小説でした。
    本の内容は他のレビュアー様がお書きに
    なってるのでここでは重複しませんが…。

    大学卒業から就職。10年の勤務を経て
    退職…その後の時間は、これだけは頑張ろうと
    思うことだけ必死にやってきて結果を出して
    一区切り。

    今春、思うところがあって
    通っていた大学を辞めました。
    今の私は少しの貯金と、自分だけ、にようやくなれて。

    小説の中のようにこじれていた親との関係も
    たった一本の電話で終息しました。

    頑張ったな…と思います。
    ここ数ヶ月の私は、仕事を持って外に出てる人から
    すればかなりお気楽で身勝手でのんきですが。

    本人は、そんなに甘くもなく。
    単に急速に弱くなっていく身体に驚いて
    生き方の物差しが変わってしまっただけなのです。

    ここに至るまでの時間…異常なくらいに気を張って
    生きていたので。

    此処から先は…この小説のように静かに暮らせれば。
    世の中の枠とか、そういうものも大事ですが
    枠に守られる代わりに失うものや耐えるものも
    当然あって。

    そういう戦いからは、身を引く時かなと思っていたら
    この本に出会いました。

    このお話の智子と哲ちゃんは、都会の中で
    仕事はできるのにすり減って、二人だけの世界で
    生きています。

    実際、お金を頂く方途としての仕事と、
    それができなくなった時のためのお金があれば
    二人だけでゆるく世界とつながっても、やって
    いける。

    ただ、大人としての生活を回す知恵や、お金を
    得るために、ちゃんと働ける、他人と関わる力も
    ほどよく持っていたほうがいい。

    都会に残った人たちと、智子たちの中間ぐらいが
    一般的な理想でしょう。

    橋本さんの小説は、一度嵌って読み
    つらくなって、もういいやと、しばらく
    手にしませんでした。

    でも…人間には二つの生き方があって…。

    一つは、華やかでエネルギッシュで
    人といっぱい関わって、賞賛やお金を得て
    正道を歩いて生きる道。

    もう一つは、静かで自分と、自分の好きな人と
    だけで…たくさんのお金や贅沢や、人間関係の
    しがらみには、恵まれず守られないけれど…。
    ささやかに穏やかに生きる道と。

    たいていのひとは前者を選び、目指すでしょう。
    でもどっちを選んでも、本当に残るのは愛して
    くれたひとと、自分だけ。

    前者が向いている人に、後者の生き方を勧めても
    退屈だし、怠惰な気がするだけ。

    後者が向いている人に、前者の生き方を勧めても
    疲れ果てて、智子のようにどこかが軋むでしょう。

    私にはどっちなのか。
    愛する人にとってはどっちなのか。

    自分に合う方のペースで、まじめに生きて
    自分達が幸せを感じていればいい。

    そのほうが結局、他人にも迷惑をかけない
    ことに、最近やっと気が付きました。

    最後がもしひとりぼっちになっても…
    少なくとも今、愛する人に、最低限の世の中との
    関わりへ、笑顔で送り出せるなら…。

    それはそれでいいと、思うようになって。
    そしたらまた、彼の本が読みたくなったのです。

    ふと、縁側のひなたで手のひらに光を掬って
    遊んだことを思い出して、手にしたら
    今の気持ちにぴったりな本で、笑ってしまいました。

    音楽も消して、2日ほどで読んで。

    はっきりとは書かれていませんが
    私はこのふたり、ちゃんと仕事はやれるように
    なっていくと思います。

    在宅で、か…フリーで会社を起こすのかは
    わかりませんが。そんな気がしています。

    ただ、もっと出来るでしょって言われても
    自分達がここまでと決めたところまでの仕事
    のペースでしょうけど。

    大人の責任回避をするような人なら
    智子と哲ちゃんの前妻のような喧嘩はできません。

    状況は変わる。
    思いも変わる。

    そのことはいいことで、同時に怖い。
    その良さと怖さを。

    希望と別離を…引き受けていくことが
    生きていくってことなんだと思います。

  • 疲れた人の話。

    仕事に追われて、好きで始めた仕事に苦しめられ、パニック障害に陥る。
    仕事を辞めて、一緒に働いてた哲ちゃんと田舎に引っ越した。
    不登校の中学生、小澤さんに教えたり、小澤さんが拾ってきた猫と遊んだりして過ごす。
    ある日、姉が家出してきて、姉が戻るとすぐ、田舎の嫌味な病気の父親は遂に死去。
    これからどう過ごそう。父親の残した遺産が尽きるまで、仕事をせずに生きようか。


    今の日本じゃ、誰が陥っても仕方ないパニック障害。
    以前働いてた会社で、研修もロクになく、仕事量だけ膨大で、正直続けるのは無理。と思った矢先、不当解雇を受けました。

    他にも仕事を転々としましたが、自分が病気になるために働いてるわけじゃないので、無理と思ったら思い切って別の仕事は賛成です。
    こういう人が増えたら、社会は成り立たないのか、労働基準法に則った社会になるのか、どっちだろうと思いました。

    パニック障害に陥る人や、仕事をすぐ辞める人が悪いように言われるけれど、元は日本の労働基準法違反のせいだと言いたいです。
    それでも働いてる人は居るって言ったって、過去の人間がそうやってきたことを押し付けられてるだけに過ぎないと思います。

    我慢ばかりじゃ、いい世の中にはならない。

  • 2014.9.24
    ほっこり。しあわせのかたちって人それぞれだけど、この本の哲ちゃんと智子はとてもしあわせに思えた。

  • 14/8/12

    仕事でパンクしてしまった主人公。温かく支えてくれる恋人や姉がいて、この人たちのお陰で寛解に向かえるんだなぁ、やっぱり環境って大事だなぁと。
    弱いところを見せられる人は大事にしないといけない。

    でもふわーっと終わってしまったのでもう少しパンチが欲しかったナー。

  • 14/06/28

    全体に漂う閉塞感。平凡な生活の美しさ。好みです。
    静かな強弱のない小説だと気を抜いて読んでいると、ずぶりとやられます。世の中はきれいなことばかりではないと。でもそれは見方を変えればきれいにもなると。どちらが正しいのか誰にもわからないと。


    P150-
    薫さんとはこんなことも話した。
    「アンボーン・カーフってなんですか?」
    「本当にいい子牛の革は、子牛が生まれる前に取るの。母牛の腹を裂いて、子牛を引きずり出すわけ。もちろん子牛は立てないし、息もできないわよ。生まれる時期がまだ来てないんだから。むりやり引きずり出して、すぐに殺して、革を剥ぎ取るの」

  • 相変わらずの静かな語り口。まったりできますよ。

  • ゆったりとした再生の物語。疲れたら、少し立ち止まって考えたらいい。そんな気持ちにさせてくれるお話。橋本作品に出てくる男性はなぜみんな料理上手なのか…。猫を拾うエピソードはなんか既視感が…。『猫泥棒と木曜日のキッチン』っぽいかも。2011/468

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