- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334925086
感想・レビュー・書評
-
自分の本棚から取り出して再読。まったく、かけらも記憶になくて、びっくりした。
だいたい読んでたら思い出すのに…。
パニック障害で仕事を辞めた智子と、過去に離婚して傷ついてるらしい哲ちゃんの、温かく、ゆったりとした田舎ぐらし。
パニック障害を誰にも言わないのは何故なのかよく分からないけど。
二人が再生して、また社会の一員となれた方がよいと思う私は、こんな人たちを追い詰めるタイプなのかな?
今はこれでよいし、人生逃げも大事だけど、いつか薫さんの仕事を引き受けて欲しい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感想
自分たちを大事にする。社会の一員でいるとそんな当たり前のことも忘れてしまう。たまには息抜きをする。もしがんばれるなら。また歩けば良い。 -
智子は、仕事を辞めることにした。評価の高いグラフィックデザイナーだったが超多忙の生活を送るうちに、パニック障害になってしまったのだ。一緒に暮らす哲ちゃんも賛成してくれた。職場で知り合った哲ちゃんはひと足先に仕事を辞め、主夫として家事をこなしている。哲ちゃんは智子が最初にパニック障害で倒れたときも病院に付き添ってくれた、料理の上手なパートナーだ。
ふたりで都心から離れ、家賃の安いところで、しばらく定職を持たずに生活することにした。
ひょんなことから不登校の女子中学生、小澤さんの家庭教師を始めることになった。そして、小澤さんがひろってきた捨て猫のマメ。3人と1匹の生活はつつましくも穏やかに続く。やがて薬を手放せなかった日々がだんだんと遠いものとなっていった。
そんなある日、哲ちゃんの元妻から電話があって……。 -
仕事に追われて精神疾患を患った女性の再生の話。橋本氏らしい文体だと思うけど、今の気分には合わないテーマだったかもしれない。
-
2017.8.23読了 103冊目
-
まるで今の私のような…と思う小説でした。本の内容は他のレビュアー様がお書きになってるのでここでは重複しませんが…。
大学卒業から就職。10年の勤務を経て退職…その後の時間は、これだけは頑張ろうと思うことだけ必死にやってきて、結果を出して一区切り。
今春、思うところがあって通っていた大学を辞めました。今の私は少しの貯金と、自分だけ、にようやくなれて。小説の中のようにこじれていた親との関係も、たった一本の電話で終息しました。
頑張ったな…と思います。ここ数ヶ月の私は、仕事を持って外に出てる人からすればかなりお気楽で身勝手でのんきですが。
本人は、そんなに甘くもなく。単に急速に弱くなっていく身体に驚いて生き方の物差しが変わってしまっただけなのです。ここに至るまでの時間…異常なくらいに気を張って生きていたので。此処から先は…この小説のように静かに暮らせれば。世の中の枠とか、そういうものも大事ですが、枠に守られる代わりに失うものや耐えるものも当然あって。そういう戦いからは、身を引く時かなと思っていたらこの本に出会いました。
このお話の智子と哲ちゃんは、都会の中で、仕事はできるのにすり減って、二人だけの世界で生きています。
実際、お金を頂く方途としての仕事と、それができなくなった時のためのお金があれば二人だけでゆるく世界とつながっても、やっていける。ただ、大人としての生活を回す知恵や、お金を得るために、ちゃんと働ける、他人と関わる力もほどよく持っていたほうがいい。
都会に残った人たちと、智子たちの中間ぐらいが、一般的な理想でしょう。
橋本さんの小説は、一度嵌って読み、つらくなって、もういいやと、しばらく手にしませんでした。
…人間には二つの生き方があって…。
一つは、華やかでエネルギッシュ。人といっぱい関わって賞賛やお金を得て、正道を歩いて生きる道。
もう一つは、静かで自分と、自分の好きな人とだけで…たくさんのお金や贅沢や、人間関係のしがらみには、恵まれず守られないけれど…。ささやかに穏やかに生きる道と。
たいていのひとは前者を選び、目指すでしょう。でもどっちを選んでも、本当に残るのは愛してくれたひとと、自分だけ。前者が向いている人に、後者の生き方を勧めても退屈だし、怠惰な気がするだけ。後者が向いている人に、前者の生き方を勧めても疲れ果てて、智子のようにどこかが軋むでしょう。
私にはどっちなのか。
愛する人にとってはどっちなのか。
自分に合う方のペースで、まじめに生きて、自分達が幸せを感じていればいい。そのほうが結局、他人にも迷惑をかけないことに、最近やっと気が付きました。
最後がもしひとりぼっちになっても…少なくとも今、愛する人に、最低限の世の中との関わりへ、笑顔で送り出せるなら…。それはそれでいいと、思うようになって。そしたらまた、彼の本が読みたくなったのです。
ふと、縁側のひなたで手のひらに光を掬って遊んだことを思い出して、手にしたら今の気持ちにぴったりな本で、笑ってしまいました。
音楽も消して、2日ほどで読んで。
はっきりとは書かれていませんが、私はこのふたり、ちゃんと仕事はやれるようになっていくと思います。在宅で、か…フリーで会社を起こすのかはわかりませんが。そんな気がしています。
ただ、もっと出来るでしょって言われても、自分達がここまでと決めたところまでの仕事のペースでしょうけど。大人の責任回避をするような人なら、智子と哲ちゃんの前妻のような喧嘩はできません。
状況は変わる。
思いも変わる。
そのことはいいことで、同時に怖い。
その良さと怖さを。
希望と別離を…引き受けていくことが生きていくってことなんだと思います。 -
2014.9.24
ほっこり。しあわせのかたちって人それぞれだけど、この本の哲ちゃんと智子はとてもしあわせに思えた。 -
14/8/12
仕事でパンクしてしまった主人公。温かく支えてくれる恋人や姉がいて、この人たちのお陰で寛解に向かえるんだなぁ、やっぱり環境って大事だなぁと。
弱いところを見せられる人は大事にしないといけない。
でもふわーっと終わってしまったのでもう少しパンチが欲しかったナー。