- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334925505
感想・レビュー・書評
-
『私のマトカ』に引き続き、小泉今日子さんが書評集で取り上げていらした食べ物エッセイを。
私は、筒井さんのお名前もお仕事も知らずに手に取り一息に読んだ。読んでから、略歴を拝見する。お名前は知らなくても、筒井さんの書かれた脚本の作品は、いろいろ知っていた。
で、思う。かっちりした文章だなと。
プリミティブなものがお好きとおっしゃるわりに、召し上がったお献立は、和食中心のきちんとしたご飯。
向田邦子さんをもっと理知的にして、沢村貞子さんから、ちゃきっとしたところを薄めたら、すこぅし似てらっしゃるかもしれない。女の一人暮らしではあるけれど、諸事淡々としてまるで男性のような観察眼をお持ちな気がする。
食べ物のあじがじわりとにじむエッセイとは、あまり思わなかったが、不思議なことに、なぜか途中で読み止めてしまおうとは思わない。
いい感じのかますの干物と白いご飯みたいだった。
読ませてしまう本なのだ。
ものすごく楽しそうとか、ものすごく美味しそうではなく、神経が鋭く、難しそうな方だと、何処かで感じるのに。
この方のエッセイを読むと、何故か池波正太郎さん
とか向田邦子さんなど、昭和の食道楽たちの本を
開いたり、お料理ではなく、煮炊きをしたくなる。
まことに不思議な本だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
向田邦子のような雰囲気
-
表題の「おいしい庭」は、序文で、都市生活者の著者が都市に居て美味しいものを食べる為に手間のかかった有機野菜を買うことについて、庭を持たない自分は、そうして誰かのおいしい庭で育った野菜を購入していることについて触れている行があって、そこから。
前作「舌の記憶」が、まるでドラマから抜け出たような(大女優の伯母、俳優で酒呑みの伯父、万事に控えめでしっかりした母、母と伯母の母である江戸っこの祖母)で脚本家の著者の子供の頃の話だったとすれば、今回は大人になった著者の舌が「今」「日々」感じていること。
食を大切にしてるんだなーと感じられる一冊。 -
筒井さんらしい、食べ物エッセイ。
ひと月ごとに文章が区切られていて
その月のある週の夕飯の献立も掲載されているという、
食べ物好きにはたまらない1冊。
内容は、前回読んだ「舌の記憶」とかぶっている部分が多くて
変わった家族構成の、代々続く江戸っ子だったこと、
味がぼんやりしたものやジビエを好むこと、
夕食には手を抜かないこと、
などをベースに、思い出の食や、季節の出来事を書いてある。
とても丁寧に生活に臨んでいる様子が描かれていて
読んでいると、
知らない間にその空気に囲まれているような世界。
「毎回おいしいものを食べたいとは言わないけれど、
1食として不味いものは食べたくない」
という文章がかなり印象的。
自分の食卓にも、たくさんの旬を取り入れて、
食べる時間を大切にしたいとじんわり感じた。 -
2/17 「舌の記憶」とエピソードがかぶりすぎな感は否めないがそれでもおもしろかった。この人の食べ物の話はほんっとにおいしそう。レシピも参考にさせていただいて。にんじんの明太子いためさっそく作ってみた。うまかった。
-
TVドラマ、小泉今日子・柄本明主演「センセイの鞄」の脚本家の食べ物エッセー。著者の小説「食べる女」にはたくさんの食べものが登場してたけれど食欲そそられなかった。食の嗜好って個人によって違う。「食べる女」よりも著者の日常の食の方が好ましいけれど、血のしたたるジビエが大好きと言う著者と私の食の好みは違う。でも糠味噌漬けは再開しよう!と思わせる文章はいい。