その向こう側

著者 : 野中柊
  • 光文社 (2007年8月発売)
3.23
  • (8)
  • (17)
  • (60)
  • (9)
  • (1)
  • 本棚登録 :158
  • レビュー :36
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334925666

その向こう側の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • すきだなあ、野中さん。

  • 2014.5.20

  • 登場人物が全員、非の打ち所のない性格をしているから
    若干の違和感を感じたりはするかも

    日常が理想的すぎるぐらい美しく描かれてるのは
    この人の作品の特徴なんだろうなぁと

    人と人との関係の一線は危うい
    たとえ身近な者同士であってもそれは多かれ少なかれあって

    嫉妬心の描写が上手いと思った
    人の心理ってほんと複雑

  • 2007年の本だからか、古さを感じる。名前のない関係性は不確かなものだと思った。私が主人公と同じ立場だったら、同じように恋してしまったのだろうか。

  •  すごくすきな空気感を持ったおはなし! ばななさんと、江國さんを足して2で割ったような。(と表現したら失礼?)
     鈴子のその後も読みたいなぁ…。ないけど。
     図書館で借りた本。文庫が出ているようなので、文庫欲しい!

  • 思った展開じゃなかった…かな。
    Library

  • 2013 12/17

  • 書いてある内容がとっても女性には憧れる雰囲気。

    横浜の素敵な洋館での1人暮らし(といってもシェアみたいな感じだけど)
    そして、自分を理解してくれてる優しい彼。
    これは主人公(大学生)の立場だけど、
    彼女の母親にも憧れる。
    母1人で育ててきたけど、ずっと優しくしてくれてた男性がいて、
    その人と18年越しの恋の末に結婚する事になる。

    その18年の間には彼にも家族がいたから、なんとも言えないけど、
    そんなに長い間人を愛して信じて待つ事が出来るなんて・・・

    素敵な男性ではあるんだけけれど、誰にでも優しいから困ったものだけど。

    横浜の風が爽やかに流れてくるように、一気に読めてしまう本でした

  • 色々考えさせられてしまった。
    敏史さんは、やっぱり鈴子の初恋なんだと思う。
    だから切なくなったり、モヤモヤしたりする。

    誰もが皆しあわせになることは、難しい。
    そう気付いて、一気に大人になっていく感じがした。

    誰にも話せないことで悩んでいて、何処に帰ればいいか分からなくて。
    無言で甘えてしまえる存在が、そんな時大きいよなぁって感じた。
    孝之は本当に素直でいい男の子だと思う。
    鈴子と孝之のやり取りを読んでると、
    真っ直ぐ、素直、そんな風な恋がしたくなる。

  • 「聞こえたよ。ちゃんと聞こえてるよ」
    鈴子の言葉は声にならないものも、聞こえているよ―そんなふうに言われたような気がして、胸の奥が温かくなった。孝之、そのままでいて。その言葉も、もしかしたら、彼には伝わっていたのかもしれない。
     でも、伝わったとしても、孝之はこれから変わってゆくのだろう。大学を卒業して、社会に出て。新しい環境に馴染むためにも、今のままでいられるはずがない。そして、そのときには、私も彼をちゃんと受け入れられるようでありたい。大らかに、優しく。彼の掌のような存在感を、私も彼に対して持ち得たい。


    自分もたいせつ。他人もたいせつ。けれども、この世界はかならずしも美しく調和が取れているわけではなく、自分の望みをかなえた結果、誰かをこっぴどく傷つけてしまうこともある。もしくは、誰かを思いやったばかりに、自分がつらい目に遭うことだってある。たとえ、そこに悪意などなかったとしても、誰もかれも皆、幸せになるのは、とても難しい。たった二十二年生きてきただけで、そのくらいのことは、私にもわかる。そう。世の中には理不尽なことが多い。


    思えば、私が好きな大人たちは、<正しさ>という、ちっぽけな枠組みの中で生きてはいない。敏史さんも、母も、おそらくは真希子さんも。
     はみ出してしまう―なぜ?その生命力ゆえに?
     正しくはなくとも、彼らは強い。そして、彼ら特有の優しさも持ち合わせている。誰かを傷つけ、その誰かが目には見えない血を流しながら去っていく可能性を踏まえつつ、彼らは彼らであり続ける。


    「草原の輝き 花の栄光」と。
    ワーズワースの詩の一節だ。いつだったか、大学の授業で、テキストに掲載されていたそれを原文で読んだことがあった。その言葉の美しさに心動かされた。なのに、私は忘れている。このあとは、なんと続くんだっけ?

     彼女は英語で詩を諳んじた。その発音は硬質で、子音が耳に心地よかった。そして、
    「過ぎ去った時間は還らずとも嘆くなかれ 身のうちに残された力を見出すべし」
    私はこう解釈しているんだけど、と言ったあとで、微笑んだ。
    「あるとき、この詩がわかったの。頭で理解するなんてことじゃなくて、からだに優しく滲み入るみたいな感じだった。それは、つまり、私がもう若くはないんだって悟った瞬間だったんでしょうね。でも、と同時に、やっと、ほんとうに自分の人生がはじまったきがしたのよ」
    私は言葉もなく、ただ真希子さんを見つめた。彼女の言わんとすることは今の私には到底わからないのかもしれないが、忘れずにいたい、と思った。いつか、私にもその心意気が必要となる日が来る、きっと。

全36件中 1 - 10件を表示

その向こう側のその他の作品

野中柊の作品

ツイートする