声を聴かせて

  • 光文社
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本棚登録 : 144
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926274

感想・レビュー・書評

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  • 書店で見かけて、母と子の心温まる良い話だと思っていたのですが……図書館で借りて読んでみたら、わりと重い内容で正直キツかったです。私は出産も育児も未経験ですが、育児に対する不安を色々と煽られました…;(2008.11.03読了)

  • いや〜………。
    キツかったな。
    表題の「声を聴かせて」と「ちいさな甲羅」という2つのお話が入っているのですが、どちらも人ごととは思えなくて辛かった……。
    保育園・幼稚園に通う子供を持つ母親、という、自分に似た境遇の人が主人公なので。
    特に「ちいさな甲羅」。
    幼稚園に通う息子を持つ母親(栄子)の話なのだけど、その母親の息子への関わり方や、同じ幼稚園に通わせる母親たちへの関わり方なんかが、すごくリアルで怖かった。
    冒頭から、リーダー格の母親からメールが送られてきて、それに返信する際の逡巡が書かれてるんだけど、その気持ちがとてもよくわかって。
    栄子はちょっと「いきすぎだよ〜」と思うところもあって、自分はここまではならないだろう、とも思うんだけど、ちょっと間違えば自分も栄子のようになってしまうかもしれない……と思えてしまうのが怖い。
    怖くて怖くて目が離せなくなって、最後の最後で「そうだ、それでいいんだよ」と涙。
    「深夜に何をやってるんだ私は」と自分ツッコミするくらいのめり込んでしまいました。
    できれば、栄子の妹、亜美子(だったっけ?)のように、間違っていることは間違っていると、どんな状況でもハッキリ言える人間でありたいけど。
    朝比奈あすかさんは初めて読んだ作家さんでしたが、他の作品も読みたくなりました。

  • 「声を聴かせて」「小さな甲羅」の2編収録。

    どちらも子育ての母親の不安定な気持ちをリアルに描いている。

  • これは凄い。優しげな見映えでとても壮絶な小説。
    初めての出産をおえたばかりの娘、と、その母。娘には弟がいたのだけれど幼い頃に事故で亡くなっていた。
    愛児をうしなった喪失感、母を見捨てた罪悪感、いじめに耐える孤独感。それら負の感情と長いあいだ静かに向き合ってきた親娘。寄り添って暮らしていたふたりだけれど、心の底に巣くった闇とは孤独に闘うしかなかったあの頃。
    それらがすべて過去となった今、親娘は互いが暗い絶望の底からある出来事によって救われたことを知る…

    (200808)

  • 男の自分が何か書く資格があるのか・・・?「声を聴かせて」の「ただあなたは存在してくれるだけでよかった。」というフレーズが重かったですね。子を持つ母の真情、なのかもしれないです。「小さな甲羅」のお母さんも、息子の存在やそれに関わる人間関係でへとへとになってしまうけれど、最後の最後、劇で子どもの名前を呼ぶシーンからすると、きっと同じ気持ちなのではないでしょうか。作中にありましたが、子どものころのふとしたワンシーンが、断片的に記憶に残っている、ということがありますよね。そしてそういうのが、人格形成に大きな影響を与えるから、子ども時代、というのは怖いというか、難しいものです。

  • 「母」と「子供」をテーマにした中篇2篇は、前作同様痛さや苦さがつきまとうものの、自分の心の弱さと正面から対峙する力強さが感じられた。
    両作品に登場する若い母親も前作の「憂鬱なハスビーン」の主人公と同じ世代だろうか、自分に厳しくとことん生真面目なその姿は時に痛々しく感じられる。自分も同世代だから、もうものすごくその気持ちはわかるんである。
    特に二作目「ちいさな甲羅」の栄子。幼稚園ママの付き合いに振り回される彼女が、「人間関係に強くありたかった。」と思うくだりには共感した。我が子への接し方も、人によっては「何か履き違えてないか」と思うかもしれない。そんなことはわかっているけど、わかっていながらもどんどん追い詰められていく彼女の姿がまるで自分のようで辛かった。
    二篇ともぴんと張り詰めた作品世界で、読んでいて息苦しくなる。どうしようもないやるせなさで。でも、その「息苦しさ」が決してマイナスではなく、むしろ彼女の魅力なんじゃないかと思えてくる。ノンフィクションライターとして出発した朝比奈さんだが、そんな彼女だからこそのリアルな心理描写。ちりちりと胸の痛みを感じながらも一気に読み終え、私も自分の「母」としての弱さを認めつつ前に進めたら…と思った。

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著者プロフィール

朝比奈あすか

一九七六年生まれ。二〇〇〇年、大伯母の戦争経験を記録したノンフィクション『光さす故郷へ』を発表。06年「憂鬱なハスビーン」で群像新人文学賞を受賞。著書に『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『天使はここに』『自画像』『人間タワー』『人生のピース』『君たちは今が世界』などがある。

「2019年 『さよなら獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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