身の上話

著者 :
  • 光文社
3.44
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本棚登録 : 957
感想 : 230
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926717

作品紹介・あらすじ

この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • ドラマ化させるのを知って、読んでみたかった。宝くじが高額当選といえば、「幸福は持続しません」の言葉通り、まー良いことは起こらないんだな~と見当はついていたが、次々に起こるサスペンスにここまで展開するとは予想だにしなかった。日頃手にしない大金を持つとミチルの様に挙動不審な態度になるだろうと想像した。夢のような宝くじも夢のままが一番幸せなのかなとも思った。第3者口調の旦那さんが、男性登場時、この人なのか?と最後までやきもきさせられたのが ある意味グイグイ引き込まれ楽しめたかな。

  • ひとりの男性が自分の妻の過去を延々と語る手法。
    いったい誰が語っているのか解らないまま最終章へ。
    最後はまさかの展開。だから語ってたのか~!!という驚きと納得となんだこの展開という肩透かしと色々な感情になる。
    文字数異常に多いけど、勢いと無駄のなさに一気に読める。
    しかし語られるミチルのなんと無責任で考えのないことか。イラッとする。少し進むとこんどは豊増の無責任さにイラッとする。読み終えてみると全編一貫して冷静でこわいほどの竹井がいちばんまともに思えてくるから不思議。
    しかし、ころころと人がいっぱい死んだなぁ~

  • 突然ですが、雪だるまはどうやってつくるか知っていますか?
    あれは、頭と胴体を別々に小さな雪玉から徐々に大きくしていって、
    大きいほうに小さいほうをのっけるのは容易に想像できるでしょう。
    この話は、最初そんな雪玉を作るという、ふとした思い付きからスタートします。
    ただその雪玉の素材は不幸と責任転嫁。徐々に大きくなり、最後はコントロールできないくらいまで大きくなるこの黒い雪玉と、隣で少し小さな雪玉を別の人が作っていたことに気づく。そして黒い雪だるまは形作られます。
    そして魂のこもっていない抜け殻なのです。
    あの子供のときに作った雪だるまの目や鼻が実は墨じゃなく虚空だったらと思うだけでぞっとします。この本を読んでも読書後は全く何も無い虚無だけが残されることでしょう。
    みな雪だるまは最後は水になると知っています。でも溶けていく雪だるまは実は醜いものなのです。人生の崩れ方、壊れ方を緻密な構成と独白という独特の表現で書き上げた筆者に感嘆。ただ、繰り返しになるが最後の虚無感だけはいかんともしがたく★4つ。

  • 先日、佐藤正午さんの「身の上話」を読みました。

    最初は、主人公で書店員のミチルが、彼氏がいつつも、出版社の人と不倫をしていて、恋愛に関するトラブルの話なのかと思いきや、次から次へと、意外な展開が起こっていく、ジェットコースター・ミステリー小説で、おもしろかったです。

    で、この小説は、ドラマ化されてるんですが、ドラマ化されるのも納得です(ちなみに、ドラマ版は、映画「落下する夕方」を監督した、会津直枝さんが、演出・脚本・プロデュースを、1人で手掛けてるみたいです)。

    ただ、終わり方に関しては、もうちょっとスッキリした終わり方だったらよかったのになあと思ったりしました。

    例えば、ミチルが、晴れて無罪放免になるとか、竹井輝夫の動機や人物像が、もっとハッキリするとか。

    あと思ったのが、ミチルが東京に出てこなければ、もしくは、東京に出てきても、竹井輝夫に会わなければ、事件はなにも起きなかっただろうなあと(こんなことを言ってしまっては、物語が進んでいかないので、元も子もないんですが・・・)。

  • 初めましての作家さん。説明が長くて若干面倒だな、と思ったところもあるけれど、展開が気になって、さくさくと読み進められました。結局のところ、宝くじでどうこうという話ではないよね、とは思うけれど、宝くじ、やっぱり怖い。
    2016/10/24読了

  • フォロワーさんのレビューで原作があるのを知り、いつか読みたいと思っているうちにタイミング悪く、ドラマを観終えてから、読み始めたので、その分面白味はやや欠けてしまったのが残念。
    風まかせのミチル、どうも他人には思えないところがあって、ハラハラするばかり。
    ドラマでは、妻の行動をナレーションする夫の口調が、時間の経過をありありと伝えてくれた気がしたのだけど、小説では、同じ口調が続くのにやや抵抗ありだった。
    幸福は持続しない・・・お金だけでは。
    ささやかなことでも、幸福だと感じられること、当たり前の日常こそが、気づかないけれど、不幸が舞いこまなかったと言う偶然の集まりなのかな?

  • ドラマを5話くらいから見たのでよく解らなくて原作を読みました。

    最後に夫が何故ミチルの身の上話をしているのかがわかります。
    小説は分かりやすいし読みやすい一方で同じ説明を何度もするのでクドイ印象があります。連載小説だから仕方ないかな?

    帯にかかれた評判の良さで期待しすぎました。

  • 【あなたに知っておいてほしいのは、人間にとって秘密を守るのはむずかしいということです。たとえひとりでも、あなたがだれかに当せんしたことを話したのなら、そこから少しずつうわさが広まっていくのは避けられないと考えたほうがよいでしょう。不倫相手と逃避行の後、宝くじが高額当選、巻き込まれ、流され続ける女が出合う災厄と恐怖とは。】
    淡々と物語が流れてくのだけど、何か起こるんじゃないか何か起こるんじゃないかと期待感から、一気に読んでしまった。
    久しぶりに全作品読んでみたいと思う作家さん見つけた。

  • 第三者視点で主人公に起った物語が語られる…と言う形式で最初はちょっと読みにくい印象だったが、慣れるとスーッと入ってくるようになった。身の丈以上のモノを手に入れてしまい、何を信用していいのか分からない主人公が殺人事件に巻き込まれて壊れていく…この部分までは、一体この物語を何処に落とすのか面白かったんだけど、後半で物語の語り部が登場したあたりからは蛇足だったんじゃないか…と感じてしまう。面白い物語だったけど最後に盛り過ぎちゃったところが残念です。

  • この本読んで年越しちゃうなんて我ながらどうかしてる。けど、ついこないだ買ったばかりの年末ジャンボが外れてて本当によかったと思う。きっとこれからも宝くじ買っちゃうけど、一等当たれと願うことはなくなるだろ。本よりもっと鳥肌立つかもだけど映像で見たい、ドラマ楽しみ。

  • 最初はミチルさんがどんどん転落してどうしようもなくなりそうで怖くて、読み進めるのが怖かった。
    語りが知らない男性だし、なんとかなった後ミチルさんは
    亡くなってしまってるのか?と思いながら読み進めたら
    2度もドッキリさせられるなんて。
    竹井くんの好きの形が違ったらよかったのかな。

  • 面白くなりそうだったのにしりすぼみ

  • 面白かった。何処にでも居る普通の女性が主人公。宝くじで2億円が当たって少しづつ人間関係が歪んでいく。語り口調なので当事者の本音や本心は分からない分、こちらも距離を置いて眺められる。最後はやっとこれで地に足が付けられるとホッとした。時間を忘れて読めた一冊。

  • 淡々と語られている身の上話。語り口は淡々としているけど、内容は全く淡々とはしておらず。楽しかったです。

  • 愉快痛感とはこのことか。徐々に変な方向に進み、最初の想像と全く違う話に展開。目立たないけど、面白い作品が多い作者です。評価を見ると賛否両論分かれるみたいですが、大好きな作品でした。

  • どんでん返しに次ぐどんでん返し。そして最後の数ページにも究極のどんでん返しが待っていた。さすがストーリーテラーの達人!

  • いやはやまいった。
    373ページを4時間弱で読了。
    まったく羨ましい才能だ。

    伝聞体の出だしからどんな話が出るのかと思っていたら、初手から予想外の方向に進み出しあれよあれよと言う間に終盤を迎え、その展開にさらに驚かされるだった。

    楽しいな。
    これが読書だ。

  • 月の満ち欠けがおもしろかったので。こちらの内容は、おーこわって感じのものなんだけど、話の組み立て方が好き。きゅるきゅるきゅるって音をたてて場面が変わるような。わー死んじゃうよー!もう死んでます!みたいな。あなた誰って思いながら読み進めてて、すごく終わる間際に結構大事な人が登場するところとか。

  • あなたに知っておいてほしいのは、人間にとって秘密を守るのはむずかしいということです。たとえひとりでも、あなたがだれかに当せんしたことを話したのな ら、そこから少しずつうわさが広まっていくのは避けられないと考えたほうがよいでしょう。(『【その日】から読む本』第二部・第4章)
    不倫相手と逃避行の後、宝くじが高額当選。巻き込まれ、流され続ける女が出合う災厄と恐怖とは。

  • 佐藤作品は永遠の1/2以来。今回の騒動(?)を機に地元の図書館のオススメコーナーにあったので読んでみた。

    のだが…

    まぁ純粋に(=現実にはあり得ない)フィクションと考えれば悪い読み物ではない。

    しかし…

    香月の知らないミチルの経緯まで、間接話法で彼に語らせる構成にはかなり無理があり、実際読みズラかった(そうしなければならない理由は終盤になって判るのだが…)。

    前半の重要なモチーフだった宝くじ二億円当選が後半は完全に置いてけぼり…。
    「【その日】から読む本」の教訓を枕にして、ミチルの感嘆、動揺、困惑、猜疑などの葛藤を描くだけでも十分に楽しめたはず…

    果たして若い女が男の頭をフライパンで殴打したくらいで殺すことができるのだろうか…!?

    いくら幼なじみとは言え、ミチルが竹井の家に居候するのはどうみても無理があるし、それを全く咎めない高倉もおかしい。

    竹井の不気味さは(高倉のそれと比べると)全然描写しきれていない。
    ※ちなみに(読解力の低い)私は、将来のミチルの夫が竹井だと思った位に彼を善人とみなしていた。

    タテブーと豊増の死(or失踪)が何の言及もなく終わったのが糞詰まりだし、もしも竹井と高倉の仕業ならそこはしっかり描写すべきだ。

    高倉の自殺にはもっと伏線があっても良い。
    ※高倉と久太郎の間には(二人で会話された以上の)深い怨恨があったとか、高倉と豊増は男女関係があったとか…

    終盤のどんでん返しも強引過ぎたし、竹井にも明らかな弱点があるのに、それを差し置いて香月を揺すりに来たのも理解出来ない。
    ※もしミチルを純粋に愛していた(奪還にきた)のだとしても、もっと違う方法があったかと…

    それに現実的に考えれば、同時期に失踪した三人と共通して関係するミチルが、刑事の目から外される訳がない。
    ※当然見張られている過程で、竹井と高倉も重要視されるはずなので、後半の物語展開は絶対にあり得ない。

    つまり…

    素直にミチルの物語としなかった(香月の物語に発展させてしまった)のがどうしても解せない。
    ふとしたきっかけで大金を手にした市井の人間が、ちょっとしたボタンの掛け違いによって様々な悲劇や愛憎劇に巻き込まれていく様をリアルに描いただけの方がスッキリ&スマートだった気がする。

    作者もモチーフも良かっただけに、それが非常に残念。

  • 宝くじが当たることは必ずしも幸せとは限らない。

  • ラストまで読んで、うわあ、そういうことかと驚いてしまった。個人的には後輩の男性が怖くて好きです。

  • 毎日 お風呂タイムに少しづつ読んでやっと読み終えました。 この本の内容を全く知らずに借りたので、身の上話ってゆう題名だし、何かごたごたがあって、不倫相手と駆け落ちとかするのかな?と軽く読み始めたら、宝くじに当選してから、どんどん 物事が悪い方にすすむストーリー。 宝くじなんか当たったことがないから共感するような内容ではなかったけれと、ミチルを自分に照らし合わせて読むことで、もし自分が大金を手にしたらどうするか? みたいなことも考えて読めた笑。

    最後は、結婚できたミチル。 その結婚が本当に望んだものではなかったとしても、お互い最悪な条件が揃っての出会いは、運命だったのかなー。

    ミチルは、当選してから、開き直って 海外にでもいけば良かったのに。
    最後の締め方が雑だった。 最後の4ページくらい説明文がざーっと並んで 読むのがだるかった。
    ミチルが結婚してからも秘めている気持ちとか書いてほしかった。

    • Hoidonさん
      こんばんは!
      このたびは星の数が一緒だったので、改めて親近感を感じ、コメントした次第です。
      サラバw!
      こんばんは!
      このたびは星の数が一緒だったので、改めて親近感を感じ、コメントした次第です。
      サラバw!
      2017/08/03
  • 語りの先が気になって、ドキドキした。結局最後をちらっと見て読み返した。

  • 誰かのおすすめで読み始め。

    語り手の"私"はいったい誰なんだろうーとそこを
    楽しみにしながら読み進め。
    警察の人なのかしら、とか。

    この作者の本は初めてで、
    文章に無駄がなくて丁寧で、上手!
    そこにぴったりくる言葉がちょうどいつも来ている、
    と感じた。大物なんだろうなぁ。

    主人公が宝くじを当てて、当選金を受け取る前後の
    感情の機微っていうの? 細やかで、
    なんだか当たったのを疑似体験しちゃった。ワクワク
    そういう話では割とないのであるが… 不幸まっさかさまな。

    人を信じるかどうかや、だまされるかどうかや、
    お金で人がちょっと変わっちゃうよ、っていう
    テーマがあるね。

    でもやっぱ宝くじ当てたいなぁ。秘密にするのは難しい、けれども。

  • 身の上話を聞いた人の視線で進む物語。
    第三者目線では「あのときあーすればよかったのに」なポイントが数多く出てきますが、それを第四者目線で読む不思議な物語。
    このような物語の結末がどこ進むのか?が気になり、どんどん読んでしまいました。最後はなるほどと思いました。
    また、宝くじ当選者の孤独と憂鬱、疑心暗鬼という内容は初めてだったので新鮮でした。
    ドラマでは「書店員」と強調してるけどあんまり関係なかった。

  • ラストが、、

    なんとなく不幸な方に流れていく
    気付いたらもうその流れには逆らえない

  • 宝くじで2億円当選してから始まる話。
    偶然なのか必然なのか…。
    一気に読んだ作品。面白かった。

  • うなされる小説だった。
    結末はいい感じ。

  • 読むのに疲れた

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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