本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784334926779
みんなの感想まとめ
人と人との優しい交流を描いた短編集で、カナダの美しい風景が背景に広がります。作品には、バンフやバンクーバー、ロッキー山脈など、実際に訪れた場所が登場し、読者に懐かしい思い出を呼び起こします。各エピソー...
感想・レビュー・書評
-
中学生の国語のテストに「カナダ通り」が使われていました。その文章を読んでもっと読んでみたくなり、この本を知りました。
人と人の優しい話。
どれもカナダ(の地域)が出てきます。
カナダに行ったときのことを思い出します。
バンフ、バンクーバー、ロッキー山脈、カルガリー、ナイアガラの滝、プリンスエドワード島などなど行った場所がたくさん出てきました。
著者はどうしてカナダの話を書こうとされたのか、そのきっかけが気になります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009年ナンバー1の一冊だ。よくある、きれい過ぎるなどの見方もあるだろう。私にとっては、心にじんとくる。カナダに行きたくなる。優しくなれる。そんな本だった。十篇それぞれにコメントしちゃおう。
1.カナダ通り
さしたる取り柄がない由里絵が高校三年間でやり遂げようと決めたことがある。それは学校まで毎日歩いて通うこと。片道1時間35分の道のりだ。ある日間違えて偶然とおりかかった商店街、そこではみんなが気持ちよく声をかけてくる。「おはよう」。こちらでも「おはよう」。街灯にはためくカナダの国旗をみつけた彼女は、この商店街を「カナダ通り」と呼ぶことにした。カナダ通りでの人々との温かいふれあいがあり、由里絵は三年間無遅刻無欠席で通い遂げる。そして、沙織さんとの運命の出会いもあった。さりげないけれどキラキラしている物語。
2.夜間飛行
都内で小さな町工場を営む笹井周一と妻温子。納期に間に合わせるための夜間の機械稼動の騒音を気にして雨が降ればと願うような環境だ。息子の意見に逆らえず身の丈以上の拡張をして結局工場を手放てしまった亡くなった父親の昔の職人仲間や、中学時代の悪友で今はパチプロの幼なじみが遊びにきたりする。一個数十銭のネジをつくり続ける周一夫婦。二人の経営は堅実だ。子供たちはちょっと物足りなかったりする。でも周一夫婦には夢があった。予報どおり雨が降り夜作業場で働きながら、永年の夢であるカナダのへ旅を語り合う周一と温子。「ちょっとたてよ」「」何よ」「久しぶりにキスしようぜ」そんなことも言い合いながら。読んでるほうが照れてしまうが、いいなぁと思えるシーンだった。
3.オーロラ爆発
彩子と娘のメグミは短期のオーロラ観賞ツアーでカナダ極北にきている。ぎくしゃくした会話。二人の間に何があったのか。祖母から思わず漏れた、呪われた家族ということばを機に、先祖の声を聞くことができるとの言い伝えもあるオーロラを観にやってきたのだ。ツアーの合い間に町を探索する二人。日本ではなかった親子の触合いがあり距離が少しずつ縮まっていく。オーロラのほうは今ひとつ。二日目最終日も天気は冴えない。外気温零下24度のなか、帰りの時間に間に合うぎりぎりまで粘る二人。ガイドからは最後の声がかかった。大空に背を向けバスに向かう彩子とメグミ。果たして、先祖の声は聞くことができるのか。母子のすれ違いを娘の心情から描いて絆の再生へと導くすてきな物語だ。
4.バンクーバーの雪だるま
ウクレレを介して出会った二人。坂崎広介と長井友。恋愛を成就させるためには大きな障壁があった。男の世界一のギター職人という夢に伴うカナダ行きという二人を隔てる果てしない距離と友の両親の事情からくる結婚への反対だ。広介が夢を叶えるべくカナダへ居を構えてから七年後、友は飛行機に乗った。病に臥す両親をおいて一緒になることはできないことは既に伝えてあったが、一人で待つことは全然苦じゃない、いつまでも待つからと、まっすぐに伝える広介。それは、バンクーバーという町の力・魅力だという。なんでもやりたいことが素直にできる町、好きな人と一緒にいることが楽しい町がここなのだと。バンクーバーに行きたくなること請け合いだ。さて二人の行く末は、思い出の雪だるまだけが知っているのかな。
5.天国にもない島
胸を焦がすほどの、既婚者との熱い恋に破れたエミ。南の島行きから変更して、お父さんでなくなった父親のところへ向かう。場所はカナダのソルト・スプリング・アイランド。土地のenergyが高い地で、誰でもエナジー・チャージができるところだという。12年ぶりにあう父は昔の調子のまま。何かを決めるのに堂々巡りし結論を出すところが。家に行く前に町を案内され、変わった人たちを紹介される。フランスの大きなアパートの御曹司だが籠職人になっているラオネル、生肉しか食べないスタッなど。エミの心は徐々にほぐれていく。今となっては嫌悪感も薄れたという父親の奥さん幸さんと娘(妹)のサラが一緒住んでいる家へ到着。オーガニックな料理を堪能し風呂上りに満天の星空が見えるテラスに出た。ここで深い寂寥感に囚われたエミ、大丈夫かと寄り添った父に「どうしてお父さんは私をすてたの」と言葉を投げつけしまう。弁解は一切せずに娘のことを受け入れる父親。「悪いのはオレだとわかっていても、そうしたかったんだ」開き直るではなく率直に自分の気持ちを吐露する。さらにせめたてる娘に対し「ごめんな」と繰り返し抱き寄せる父親。この場面、心に残る。
6.全日本スキップ同好協会
退職後に夢のゴルフコースでプレイしようと約束しあった6人の同級生。結局夢の地カナダ、パンフ・スプリング・ホテルのコースに集ったのは4人。一人は自ら命を絶ち、一人は刑に服していて参加できなかった。プレイを終えコース併設のオープンカフェで今日の出来を語り合う。日本にいるときはその日の自慢話に花が咲くが、この日は違った。みな失敗話を楽しそうに話している。何がそうさせるのか。外国の地の開放感か、人生の先が見えた余裕のなせる業か。談笑は続く。自殺した兼義の動機や罪を犯してしまったシゲの事件の話など。二人には度胸があった。あったからこそああしたのだと。それに比べて俺たちはと、二人に敬意を表して乾杯をする四人。ゴルフの楽しみを見つけた四人は、さらに楽しさを増幅しようとする。長嶋がスキップしてダイヤモンドを回ったのになぞらえて、唐突にスキップしようという誰かの提案に一旦は戸惑う三人だったがその場でスキップを始めた。人生は何もしなくていい、笑って過ごしていつかは死ぬだけ、そんな人生肯定観を伝道するスキップ同好協会に拍手。
7.ラッキーハンド
バンクーバー発トロント行きのカナディアン号で旅をしている昌治と郁恵。定年退職を機に、そして「最後の願い」ということで夫が妻を誘った旅である。旅行のパンフレットをさし出した時に妻からも話があるといって切り出されたのは「離婚」のことだったのだ。旅を続けるうちにこれまでとは違う夫の言動に驚く妻郁恵。カナダについてすぐに買ってきた高価なギターのこと、子供の頃からの夢ということで買って来たという。「車窓から見える夕焼けがきれいだ。一緒に見に行こう」こんなことを言う夫は記憶にない。食堂車では同席したいろいろな人と饒舌に会話をする。旅行最終日、夫が個室に白人の若者を連れてきた。高価なラリビーのギターを弾かせてくれないかということらしい。部屋いっぱいに満ちる豊かな音色。途中やおら演奏が止まる。二人の眼前に両手を広げる若者シッド。彼には指が六本あった。郁恵は「ラッキーハンド」、そうつぶやいた。シドが帰ったあと「あなた人が変わったみたい」「この旅でいいところがいくつも見えてきた」と伝える郁恵。「そう思ってくれるのはうれいしい」そう言って、もうひとつ付け加えた。「今までほんとうにありがとう」。ゆったり流れる時間のなかに交わされる二人の会話にジンと来た。
8.二十五年目の愛してる
登美子は夫康夫にあることを言うために「赤毛のアン」の舞台となった、カナダ、プリンス・エドワード島に誘ってやってきた。夫は定年まで六年を残しこつこつと勤め上げてきた会社をリストラされてしまったのだ。話を聞いて、絶句、呆然としてしまう。面白みがないかもしれないが誠実さは誰にも負けないのに、そんなふうに思う登美子。「なんだったんだろうな、俺の33年間」しょんぼりした夫がぽつりとこうこぼしたのを聞いて妻は感謝の年が体の底からこみ上げてくるのを感じた。そして言おうと決意するのだった。こつこつとパートで貯めたお金あてることにした。このことが、何をさしおいても今一番重要なことだと感じたからだ。島をマウンテンバイクで回る二人。島の景色や空気が爽快感を高め会話を弾ませる。途中ひょんなことから転んでしまった登美子。大丈夫かと差し出された夫の手。今まで一度もなかったことだ。おずおずと握り返す。すると何かが通じ合い登美子の中に熱いものがこみ上げてきた。もっと、しっかりしろよとも思わないでもなかったが・・・なんかととってもいい感じ。素敵な夫婦だなと思った。
9.透明約束
外で桜が散り始めている頃。普段は余命いくばくもない信夫と付き添っている妻雅子の二人しかいない静かなホスピスの病室だが、この日は違った。子供たち三人もきていた。こういうことははっきりしておいたほうがいいということで遺産相続の話をするために。それぞれの言い分で主張をしあう三人。言い争いは一時間も続く。「にぎやかでいい」とはいうものの疲労の色を隠せない信夫。そんな時夫はふと思い出したといってつぶやいた。「透明約束」。それは、十二年前の退職記念で自分へのご褒美の意味合いもあるロブスターを食べるという贅沢な目的で行ったカナダ、ルーネンバーグで交わしたものだった。世界遺産でもあるというこの港町には、ルーネンバーグ・バンプという漁師の妻たちが夫の帰りを待つ部屋がどの家にもあった。部屋のいろはそれぞれ違う。夫たちがいち早く識別できるためにか。夫婦の深い愛情に満ちた町なんだと、そんな会話を交わす二人だった。そんなストレートな愛情表現の象徴に溢れた町で信夫は思いついた願望を妻に伝えた。「死ぬ時は、最後に裸で抱き合って、死にたい」と。「うん、わかった。裸になってだいてあげる」。透明な空気の中、交わした約束ゆえ『透明約束』と命名された。その約束を果たす時がきた。「席をはずして」と子供たちに告げる雅子。勘違いした子供たちは何かといぶかしがる。雅子は構わず、服を脱ぎ始めた。いくら年をとってもピュアな愛ってあるのだなと感じた一編。
10.極夜
不思議な喫茶店「白夜」。そこでは、だれもが、素直に、落ち着いて話ができる雰囲気があった。塚田俊雄もお世話になったひとり。感情的になったりイライラしてうまく話ができないよう時でもここでならちゃんと話ができた。店のマスターは「アーマイ」という口癖から勝手にアーマイさんと名づけた50-60歳のおじさん。「アーマイ」とはよくわからないという意で、カナダ極北に住むイヌイット人が使う言葉だという。大自然の驚異にさらされる地では曖昧なことが命取りになりうるためいい加減なことはいわないという文化からきている。事情あって俊雄他の町へ引っ越してしまうがアーマイさんと交わした約束があった。数十年ぶりに町にきた俊雄。日々の仕事に疲れ切っていた。あの時の約束は生きているのか。不安と期待がうごめく中喫茶店の扉をあける。 -
優しく、心温まる短編集。好きなのは、「極夜」かな〜。ただ綺麗すぎて、全体的にちょっと物足りない感じもしました。
-
人生の色々な場面、その中での人々の距離感、その多様な場面に浮かぶ景色を静かに書かれている短編集。それぞれに連動はしていないものの、空気感は連なっている。各シーンに登場する各登場人物の思惑、行動が緩やかに収束していくストーリーは、心にしみます。
-
短編集。どれもカナダにかんけいしている話。
ほっこりした気持ちになった。 -
作者カナダ好きだなぁー、みたいな(笑)一番最初の話が一番好き。
-
カナダを題材に取り入れた、短編10作品。
はじめて読む作家さんの本で、なんの予備知識もなかったのですが、ほかの本も読んでみたいと思うような1冊でした。
それぞれ、さわやかで、気持ちのいいストーリーでした。
ちょっと心が疲れたときに読んだりしたら、少しだけ、気持ちがさっぱりしそうです。
久々に「旅行」に行ってみたくもなります。 -
10篇のお話。
一番最初の『カナダ通り』が心に残った。
主人公の心に灯った気持ちが、何より美しい。
(終わり方がややドラマチックすぎやしないかい、とは思ったけれど。)
題材は、カナダ。 -
カナダに所縁のある題材を基にした10の短編集。それぞれが優しい気持にさせてくれ、思わず泣けてしまう。
-
短編小説集でした。
どのお話もとても良かったと思います。
表題作もお勧めですが、『カナダ通り』『極夜』が特に好きです。
大人の青春をしみじみと描いてくれた本だなと思いました。 -
高校3年間往復3時間以上かけて歩いて登校する「カナダ通り」
妻と2人である夢を見ながらねじ工場を営む「夜間飛行」
仕事のため別居中の母子がオーロラツアーに参加する「オーロラ爆発」
病気の両親のためギター職人の彼と婚約解消を決める「バンクーバーの雪だるま」
失恋を癒すために父の新しい家族のもとを訪れる「天国にもない島」
高校の同級生で定年後にカナダまでゴルフに行く「全日本スキップ同好協会」
熟年離婚を前提とした夫婦が最後の旅行をする「ラッキーハンド」
リストラされた夫に愛を告げるためだけに旅に出る「二十五年目の愛してる」
相続争いをする子供たちの目の前で夫の願いを叶える「透明約束」
小学生の頃通っていた喫茶店を訪れる「極夜」
装丁:鈴木大輔(ソウルデザイン) 装画:ヒロミチイト
カナダをテーマにした短編集。
カナダに対するイメージが明確な人ってあまりいないと思うんですが
オーロラや赤毛のアンの舞台、有名なギター会社のラリビーなどなど
いろいろ面白そうな特徴が題材になっています。
ただだいたいの話しがカナダの自然に触れて素直になる、
という流れなのでちょっと飽きるかも。
「バンクーバーの雪だるま」は小手毬るいがこういう話書いてなかったっけ。
この本の中では「極夜」がずば抜けていいと思います。
アーマイさんの作った乗り物が見てみたい。
北極点が3つもあるって知っていましたか?
北緯90度の地図上の北極点と、地軸北極点、地磁気北極点が
それぞれ違うそうです。
人間の尺度って当てにならない。 -
カナダカナダ。
全日本スキップ同好会が飛び抜けてよかった。 -
カナダ好き好き。
-
バンクーバーオリンピック間近。この本は表題からはわかりませんが、カナダもの短編集です。「バンクーバーの雪だるま」という話もいいですが、一番気に入ったのは「夜間飛行」。ネジづくりの小さな町工場を経営しながら倹しく暮らす夫婦の長年の夢がカナダ旅行。
納期に追われる地味な毎日の繰り返しでもこの夫婦は幸せそう。年をとる前から、ささやかでも二人で希望を共有することは忘れがちですがきっと大切なんだろうなぁ。
この本は内容を知らずに川上健一の新刊というだけで図書館で借りて読み始めました。そのとき丁度、親友の一人が、かつての留学先のカナダへ愛娘と旅行中と知り、時の巡り合わせの不思議を感じました。
「夜間飛行」というと私の場合、真っ先に思い浮かぶのは、その昔FMラジオの深夜放送で流れてきたジェットストリームの城達也の素敵な声です。オープニングのちょっと気取ったナレーション「遠い地平線が消えて深々とした夜の闇に心を休めるとき…」は30年経った今も諳んじることができます。
あのときボクは若かった~♪ -
ごく普通の人たちのちょっとした事件だったり決意だったり。
じんわりほんわかショートストーリー。
どれもカナダがなんらかの形で出てくるのはなぜだろう。
旅に出たくなった。
短編集にありがちなハズレはなかった。
「オーロラ爆発」と「全日本スキップ同好協会」がお気に入り。
スキップ・・そういやしてないなー。
【図書館・初読・2/9読了】 -
いい話すぎるけど押し付けるほどでもない。カナダに行ってみたくなる。
-
全編カナダについて書かれている。度合いは様々。
結構、ホロリと来そうになったものもありました。
はじめて読む作家さんだったけど、結構読みやすくてよかったです。
2009.11.24~11.26読了 -
ナインがとても面白かったので、二冊目の川上健一さんです。こちらは短編です。これも良かったなぁ!ちょっと元気がもらえたり、いろいろあるけど明日も頑張ろうって思ったり、あせることないよってにっこり笑ってくれるようなお話でした。心が温かくなる本です。
-
自分に誓った約束、果たせなかった約束・・・・夫婦、仲間、恋人など約束にまつわるエピソードを綴った短編集。私はスキップ同盟の話が好きです。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
川上健一の作品
本棚登録 :
感想 :
