ラガド 煉獄の教室

著者 :
  • 光文社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926984

感想・レビュー・書評

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  • 最後がいまいちな感じだけど、でも流れとかアイデアは面白いと思う。一人一人の視点とか、図とか。

  • 劇作家の台本のような、神の視点での物語の推移が印象的。下段にちょっとしたスペースがあり、該当生徒とそれに準ずる座席表や事件当時の動きが示されている。この表のおかげでたくさんの生徒それぞれに区別をつけなくてよくなっている。なぜなら、下段に図示されているからだ。これは小説において如何なものか。少なくとも芸術的ではない。説明における作業感が強くなる。内容は度重なる事件真相のどんでん返しにはハラハラするが、オチが…。駄作だと思う。

  • 関係者達がいずれも記憶の混乱を生じており、一人が思い出しては事実の軌道修正する…といった構成です。面白い試みだと思いましたが、推理する材料が揃わないので、推理小説ではなくサスペンス感覚で、何度も逆転が繰り返されるスピーディーな展開を楽しむ作品だと思います。
    超進学校なのにおつむが悪い生徒が多いことや、理事長や校長があまりにも無能だったことなど、かなりリアリティーに欠ける部分があったのは残念でした。

  • 第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作という帯にひかれ買った作品。学校で起きた無差別殺人事件をあつかった小説はバトルロワイヤル、悪の教典と続いてきたが、本作もまたユニークな手法で楽しませてくれた。バトルロワイヤルや悪の教典を読んだ後の苦い感じは残らなかった。それはこの作品のテーマを殺人の謎解きそのものというよりも情報操作はそこまでできるのかといったところに置いて話をつくりあげている故だと思う。従って読み込んでいってもなかなか話の落ちは見えてこないいい本でした。装丁も薄っぺらいのでなかなか手にしづらいとは思いますが、雨の週末にでも。

  • ある生徒の保護者が中学校の教室に侵入し生徒を殺傷した事件の真相を、事件当日の教室を再現しながら突き止めるサスペンス。

    文章の下に再現された教室の図があったのでわかりやすく読めました。二転三転、四転五転していく様は面白かったです。最後ちょっと不完全燃焼感が残りましたが。

  • いかにもな表紙を見て購入した一冊。
    すらすらと読めるし、謎解きにも図解がついていて解かりやすかった。ちょっと大掛かりな話になったと思うが、こういうのも面白い。

  • 名門私立中学で起こった無差別殺傷事件。
    犯人は事件の2ヶ月前に自殺したクラスメートの父親だった。
    彼は事件当時の記憶を失っていた。
    なんか荒っぽくて突っ込みどころもいっぱいなんだけど生徒がまるで記号のごとく数字を振り当てられ図を多用してパズルを解くような書き方は視覚的で斬新でした。
    物語が二転三転してスピード感たっぷりに畳み掛けていく展開はパワーを感じさせてくれました。
    ぐいぐい読ませてくれたんですがでも読み終わってみると結末は何か弱い。
    うーーんそうなん?ちょっとリアリティからかけ離れ過ぎたのも興ざめの原因かな。

  • 日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
    昨年は結城 充考 / プラ・バロックだったですね。
    今回もオビのコメントは超豪華w。

    確かにグイグイ引込まれるストーリーと
    トリッキーな展開は面白いです。ドンドン
    大袈裟な方向に話しが転がっていく事自体は
    アリなんですが、その大袈裟な方向というか...
    そもそもの「ラガド」なる組織の存在が
    受け入れられない以上、そこに対しての
    面白みが半減してしまいます。

    ページ下部に随所に記載される事件の再現
    展開図は結構後半(特に図92!!!)に来てその
    視覚効果による恐怖感はあったように思います。
    この図92の為に91個の伏線があったように思いますw。

    結末の拍子抜け感はなんとなく読みながら
    感じてしまってましたが...やはりw。という
    尻すぼみなエンディングですが、着地をミスった
    だけでそれ以外は結構面白く読めたっス。

  • “生徒たちはまだ動かない。
    生徒18番(女)がまっさきに行動をおこした。日垣にちかづいていったのだ。日垣を静止するために。
    血のついた包丁をかまえている、しかも確実に正気をうしなっているであろう日垣にむかっていくとは、大人でも困難な勇気ある行為だが、事実である。生徒たちの多くが見ている。
    日垣はこれに呼応するかのように、生徒18番に接近した。
    生徒18番は日垣になにか話しかけようとしたが、日垣はこれに答えず、18番に刺しかかった。18番がとっさによけようとしたため、包丁はその左腕を傷つけた。
    18番は叫んだ。「みんな逃げて!」”

    11月4日午前8時30分、とある私立中学校に一人の男が侵入し、女子生徒を一人殺した。
    本来なら、その男が殺人罪で捕まるだけ。
    でも、この話は違う。そこから、物語は始まっていく。
    次々と新たな視点、切り口から、犯人が変わり、目的が変わり、真相が変わる。
    そして、彼らがたどり着いた、この事件の最後の本当の真相とは。
    さくさく読めて、切り口がころころ変わるのが楽しい。
    最後の展開には鳥肌が立った。

    “「大丈夫。うまくいくわ」島津聡子はつぶやいた。
    「大丈夫だ」“バベル”が言った。
    「大丈夫さ」ブルース・リーも言った。
    「大丈夫大丈夫」高橋が笑いながら、瀬尾伸彦の背中をたたいた。

    生徒33番(男)と、生徒34番(男)の通話。
    「あのとき、藤村が『わたしをかわりに殺して』って言ったのは、本当なのか?」
    「カッコつけすぎだよな。よく知らねえけど」
    「みんなそう言ってるだろ」
    「おまえはどうなんだよ?」
    「なんでそんなこと聞くんだよ。おまえはどうなんだよ?」”

  • 東京都内の中学校で生徒2人が死傷した、無差別殺傷事件。容疑者は2カ月前に自殺した女生徒の父親だった。学校、生徒、警察など、様々な思惑や不穏な動きが絡み合い、真相を複雑にしていく。犯行状況時の生徒たちの動きを、93枚の見取り図で追った実験的小説。

    教室内の生徒に番号が振られていて、各人の動きが解説され、読みやすいです。
    イジメや、不登校などの問題にもう少し取り組むのかと思われましたが、意外な成り行きに苦笑です。

著者プロフィール

1960年埼玉県出身。北大教養部理Ⅲ系中退、一橋大学経済学部卒。2010年『ラガド煉獄の教室』で第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。著書に『人間性剥奪』『ブラッグ』『ハンザキ』『困った作家たち』など。ショートショートから長篇まで、幅広く執筆している。twitterで「両角長彦の140字小説」発信中。

「2020年 『ある実験 一人選べと先生が言った』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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