リアル・シンデレラ

  • 光文社
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本棚登録 : 635
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927028

作品紹介・あらすじ

童話「シンデレラ」について調べていたライターが紹介された女性、倉島泉。長野県諏訪温泉郷の小さな旅館の子として生まれた彼女は、母親に冷遇され、妹の陰で育ったが、町には信州屈指の名家、片桐様の別荘があり、ふとした縁で、松本城下の本宅に下宿することになる。そこで当主の一人息子との縁談がもちあがり…。多くの証言から浮かび上がってきた彼女の人生とは?不況日本に暮らす現代人にこそ知ってほしい、新たなるドキュメント・フィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 泉という女性について取材し一冊の本にまとめたという形になっている小説。話の結末がどこに向かうのか全く想像もつかないまま読み進めました。かわいそうな泉の最後を知りたくてそれはもう夢中で。そして悲しい結末。自分の気持ちを押し込めて人のために尽くし続けるひと。人によってはその姿は美しく見えなかったけれど人の本質を見る力のある人にはとても美しく見える。子供の頃にたぶん自分で決めたであろう、というかそう生きることしか選択肢がなかった泉を思うと涙がでます。

    他人のために自分のちからを惜しまず使う人を誰かの小説で読んだな・・・・。と、三浦綾子さんを思い出しました。姫野さんもどうやらクリスチャンのようですので納得です。

  • 問題のラスト。

    泉は、死んだことになっているが、小口同様、私も泉が死んだなんて、信じない。

    貂に似たムードの神様が、≪死はすぐそこあるゆえ、あわて死にするべからず≫と言ったのだ。泉が自ら死を選ばない。

    貂の神様は言う

    ≪あなた、あなたの靴で、生きてるあいだ歩きなさい≫

    泉はどこかで、生きている。

    自らが小口を愛していること、小口もまた自分を愛していることを予感した以上、そこにはいられないから、諏訪を去る。結婚が決まった小口と、その婚約者に、幸せになってほしい、自分が邪魔をしてはいけない。

    矢作、洋平、照洸寺のお姉さん、南条玲香、など、泉の美しさ・魅力を見抜く目を持った人が途切れなく現れるのが、読み進める私にとって救いであった。

    読者の私が歯がゆく感じる。あまりにも、泉ばかりが損をしているじゃないか、とすら。

    しかし、多くを欲しがらない泉にとっては、きっとそれで十分なのだろう。

  • 倉島泉という聖人ような人物(架空)を取材した体で構成した物語。

    泉の生き方にはとても共感できる。
    むしろ泉の母親も妹も元夫の再婚相手も、いるいる、こういう女を武器にするのが当たり前な女ってヤダなーと思っちゃうし、
    泉には裏なんかたぶんないよ…と人の言葉は額面通りにしか受け止めない自分は思うんだけど、それは人が良すぎるか。

    ラスト前、泉の小さい頃のエピソードがネタバレ的に昔語りされるが、その内容にもひっかかる。
    あまり愛されなかった幼い頃の記憶を封印する的なエピソードで
    泉に共感できない読者に、やっぱりね、って思ってもらうには必要なエピソードなのかな。
    でも、泉の生き方、かっこいいよーって思う私には結局否定されちゃうの?というちょっぴり残念なエピソードな感じがした。もっとも、泉を全肯定しちゃうと、全然本当の幸せって?シンデレラって?というテーマからは外れてしまうけど。なのでラストについても、正直よくわからなかったデス。

  • 心、洗われました。私も居酒屋の雰囲気になじみまくって、独り飲みしている、泉さんのようになりたいなあ…

  • 初姫野です。食わず嫌いでした。ほんとうによかった。
    私自身が母親なせいか、子供が苦しい思いをするのが、一番泣けますなぁ。

    イタチの神様は、泉の置かれた辛すぎる現実を逃避するために、泉自身の頭で作り出しちゃったかなぁとか想像しちゃいました。ほんと泣けるわ。

    私の職場での現状とかぶり(何かと軽んじられる的な)、私自身が周囲がどう思われているか、ちょっと発見できた気もするし...
    まぁ、泉のように周囲の人の幸せを自分の幸せとするには及ばず、お客の方ばかり向いていたことに気づかされ...まぁそういう本ではないのでしょうが...

    3つの願い事がとにかく泣けた。とにかくよかった。

    • jyunko6822さん
      はじままして!
      初姫野はいかがでしたか。いろいろ読んでみていただきたいです。
      はじままして!
      初姫野はいかがでしたか。いろいろ読んでみていただきたいです。
      2012/09/15
  • 私の姫野カオルコ史上いちばん感動したかも。
    (思えば10代で「変奏曲」に出会い、その衝撃は計り知れないものがあったっけ。その後時を隔てて「ひと呼んでミツコ」を通じて再会し、久々に著者の作品に触れる。)
    確かに「小さいおうち」は総合的に上出来で、
    このときどちらも直木賞候補で、結果的に「小さい~」が受賞したのも納得。
    しかしながらこちらの作品のほうが強い印象で残った。
    読了して、泉に涙してしまうのはわたしだけなんだろうか。
    賞を獲るのと、感動するのとはやはり別であることを改めて感じさせる、対照的な作品。


    周囲の人間から泉という人間がどんな人物だったか、
    これもまた描かれていくタイプの物語だけど、
    最後の最後まで、このあとどうやって終わるんだろうと
    読み進められた。
    もっとも登場人物が多くて、しんどい人にはしんどいかも。
    簡単な系図がついているのは興味深いが、かといって全ての人が結果的につながっているわけではない。あくまで系図。

    捉えようによっては悲しいととる人もいるだろうが、
    ただ悲しいというだけではないと思う。

    本当の悲しみを乗り越えた者にだけ備わる強さみたいなものが、
    周囲の人間にはそれが時としてまぶし過ぎる時があるように、
    泉の人物像や生き方は、容易には受け入れられないであろう。
    それが言うならこの作品の哀愁というか、物悲しさというか。

    こんなに感動したのに、その感動をうまく言葉にできないもどかしさ。

    参考までに書評も紹介:わたしの大好きな藤田香織さんはじめ各方面からのものが著者のサイトにあったのでリンク
    http://himenoshiki.com/himefile/sen.htm

  • 幸せってなんだろうと考えさせられる。
    御伽話のシンデレラは、憎い継母や姉に復讐ができて幸せだったのかもしれない。

    大勢の価値観から外れている主人公の「泉」は他者から見ると「不気味」な存在。自分の価値観とかけ離れた人間をそのように表現する人たち。その一方で泉の美しさに気付いている人たちもいる。外見だけではない滲み出る清廉とした美しさが泉にはあったのだろう。
    それは大勢が好む女性らしさとは無縁かもしれないけれど、人間の心根の美しさ。

    姿が消えるというハシバミの粉を振り掛ける姿はいじらしいを通り越して切なくなる。
    小口の「家族にも相性はある」って言葉はどんなに泉を楽にしただろう。3つのお願いの中の2つ目の願いは、今まで泉を不気味な存在として追っていた自分にはほっとするものだった。
    「やっぱり辛かったんだ、そういう感覚はちゃんとある人間だ」と。
    そう思うと泉に起きた出来事に傷ついていないはずがない。自分を犠牲にしても他者の幸せを願う。それが辛くないように3つ目のお願いをしたのだろうか。
    姿を消してしまったのは小口とその妻の幸せを願うからなのかな・・・

  • 凄くいい話なんだけど、消化不良。

    なんというか、これ程勿体無い話も久々ですね。

    全体的にはジワーっと心温まるお話なのに、シンデレラとの関係性が今ひとつ乏しいというか、結末が残念というか…

    泉の内面も外見もちょっと掴みにくい。それが最後に紐解かれると思ったら、ぼんやりしたまま終了という感じ。

    ファンタジーっぽく終わらせて欲しくなかった、と言うのが正直な感想ですね。

    最高に惜しい小説です。

    ただ何かしら訴えてくるものはあるので、一読の価値はあると思います。

    オススメです。

  • 直木賞受賞祝いに積読本になっていた本書を読む、桜庭一樹の作風に似ているように感じた。泉という女性を周りの縁者からインタヴューする形式の物語であるが、一種の童話のようにも感じた。自分の幸せよりも人の幸福を祈る主人公は、とうとう消えていなくなってくれという恋敵の願いを聞き入れて天へ召されてしまったのだろうか。あまりにも一般にいう幸福からかけ離れた女性であり、そんな女性はいないだろうと言うことで、大人の童話だと言えるのかもしれない。映像化されるなら泉役は綾瀬はるかだな、今後も注目したい作家である。なっちゃんチャコちゃんのパック・イン・ミュージックの話題が出てきて懐かしかった。

  • シンデレラ+人魚姫の現代版と言ったところか。
    ただ、シンデレラの幸せとは、結婚して幸せになるということではなく、どんなところにあったのか・・・考えるような作品。身の周りの者が幸せになることが楽しいとでも言うように、様々な出来事に身を任せているように思える。ただ主人公の泉の印象が「不気味」というのがなんとなくわかるのが一番しっくりくる。流れに任せているだけだから捉えどころがないのである。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

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