リアル・シンデレラ

  • 光文社
3.85
  • (82)
  • (135)
  • (77)
  • (17)
  • (6)
本棚登録 : 698
感想 : 142
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927028

作品紹介・あらすじ

童話「シンデレラ」について調べていたライターが紹介された女性、倉島泉。長野県諏訪温泉郷の小さな旅館の子として生まれた彼女は、母親に冷遇され、妹の陰で育ったが、町には信州屈指の名家、片桐様の別荘があり、ふとした縁で、松本城下の本宅に下宿することになる。そこで当主の一人息子との縁談がもちあがり…。多くの証言から浮かび上がってきた彼女の人生とは?不況日本に暮らす現代人にこそ知ってほしい、新たなるドキュメント・フィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シンデレラストーリー
    なんて人は言うけれど、

    当人が清い心を持って
    るかなんて関係ない。

    たまたま幸運が巡って
    華やかな立場に立った
    経緯を、

    やや大袈裟に言い表す
    慣用句としてそう言う
    のだ。

    対して、この物語こそ
    紛れもなくシンデレラ
    ストーリーである。

    主人公の泉は不遇の身
    でありながら、

    月のように清かな心を
    失わない。

    虐げられても孤独でも、

    他人の幸福を喜びとし
    つつましく生きる。

    たしかにシンデレラだ。

    彼女の前にも魔法使い
    が現れる。

    そして硝子の靴ならぬ
    あるモノを授けるのだ。

    ─とても清らかなもの
    尊いものに触れた気が
    して、

    哀しい話ではないのに
    涙が溢れ出ました。

    • yyさん
      コルベットさん、
      「哀しい話ではないのに涙が出ました」のところにグッときました。
      涙には、心のデトックス効果があるとか。
      流しましょう...
      コルベットさん、
      「哀しい話ではないのに涙が出ました」のところにグッときました。
      涙には、心のデトックス効果があるとか。
      流しましょう、涙
      2024/06/02
    • コルベットさん
      yyさん、はい!デトックス効果があるならもう喜んで♪涙腺ゆるゆるの私は、本を読んでブワッと泣く(´;ω;`)、今後、ストレス発散方法はこれに...
      yyさん、はい!デトックス効果があるならもう喜んで♪涙腺ゆるゆるの私は、本を読んでブワッと泣く(´;ω;`)、今後、ストレス発散方法はこれにします(๑•̀ㅂ•́)و✧
      2024/06/02
  • 倉島泉(せん)について、身近な人に筆者が取材したものをまとめた長編ノンフィクション。テーマは「豊かさと幸福」ポール・デルヴォーのシュールな表紙絵に目を奪われた。

    プロローグからなかなかユニークだ。
    シンデレラは果たして幸せだったのか? 
    子どもの頃に「シンデレラ」を読んでも私は全く違和感を持たなかった。恵まれていたからなのか、深く考える習慣がなかったからか…

    「むかしむかしあるところに、倉島泉という娘が住んでいました… 」諏訪を舞台に父・柾吉の語りで始まる物語。「不吉な子」と母、登代に疎まれ綺麗な妹、深芳(みよし)と比較される泉は、さしずめ"灰かぶり姫"のよう。

    〈照恍寺の先生〉と〈お姉さん先生〉の話。
    成績の良い深芳に比べ、泉は勉強が苦手で鈍だけどいじけたところがない。
    泉の誕生日に登代の兄、洋平が亡くなった。娘に向かって「死に神!」と叫ぶ登代は本当に母親なのか?あるいは父親が違う?

    泉を可愛がっていた洋平が亡くなると、旅館「たから」の板長を宮尾碩夫(せきお)が継ぐ。7年経って洋平の妻だった真佐子と結婚。 泉は片桐夫妻の援助で松本の松商学園に進学し、深芳は一年後、岡谷東高校へ進学する。

    「深芳ちゃんの事件」を泉の友人の玲香が語る。泉を訪ねてやってきた深芳に主人の貴彦が関心を示すと、奥様の華子は直ちに深芳を出入り禁止にしてしまう。このあたりから物語の湿度が徐々に上がっていくのを感じた。婚約が決まった深芳は片桐夫妻の息子の潤一と駆け落ちして結婚に至るが長続きはしない。

    泉と深芳を軸に人物相関図が広がりを見せてゆく。まさか泉が深芳と婚約していた横内亨と結婚するとは思わなかった。「相手が自分で申し訳ない」と夫に謝る泉が哀しい。逆に母、登代が過去の"あやまち"を筆者に語る場面はやけに鮮明で不思議な気持ちにさせられた。

    柾吉との祝言を前に、
    これがわたしの人生の双六のアガリ
    なんだ…と淋しさに襲われた登代は
    "恋に堕ちる"ということに恋をした。
      それは"舞踏会"そのものだった!
    最初で最後のロマンチックな思い出の
    はずが、消せない傷を身体に残す。
    ひゃひゃと嗤う男の声を泉を見るたび思い出してしまう。まるで呪いのように!

    諏訪の「たから」にやって来た小西奈美と泉の夫の亨が恋に堕ちる。離婚して奈美が新米美人女将になるまでのあらましが語られていく。

    諏訪の春は御柱祭。

    夏の諏訪湖を自転車で周遊する。

    恋愛感、結婚感が今とは違った。

    昔の恋愛は自分が結婚して責任とれない人に告白してはいけない。
    結婚できないのに深い関係になるのは無責任。肉体的接触を避け清いままの別離が誠実であり純愛なのだ。

    登代の過去に関わりがあった戸谷。奈美に関わりがあった小口へと物語は繋がりを見せてゆく。奈美の頼みで探偵をする小口の語りから、泉という女性の本当の姿が見えてくる終盤が良かった。

    小さな温かいことが一つ二つ起こる日常が積み重なり過ぎて行くことが幸福!
    もし、小さな小さな発見やよろこびや夢やうれしさや期待を裏切られたなら…
    秘密基地に逃げ込む泉に「生きている人は皆、死に向かって生きている。人の靴を履かずあなたの靴で歩きなさい。大人になったら、生きているのは本当に短い間だと理解できる」と諏訪大社の神(?)は教える。そして三つの願い事をする泉の場面で涙した。
    「妹が丈夫になりますように」
    「大きくなったらお母さんとお父さんと 
     離れて暮らせますように」
    三つ目はたぶん「シンデレラに… 」

    諏訪の湖(うみ)の波の音がした。
    泉がやるせない!

    けれど、三つ目のお願いは違った。
    泉はやはり泉だったのだと知り、また涙が止まらなくなった。

    • コルベットさん
      ナオさん、こんばんは♪そうそう、これ三つ目の願い事がポイントなんですよね。シンデレラたる所以と言いますか。一つ目、二つ目も十分やるせなくて泣...
      ナオさん、こんばんは♪そうそう、これ三つ目の願い事がポイントなんですよね。シンデレラたる所以と言いますか。一つ目、二つ目も十分やるせなくて泣けますが(´;ω;`)
      2024/07/02
    • ナオさん
      コルベットさん、こんばんは
      姫野カオルコさん、お初でしたが前半苦戦してしまいました。そうです。三つ目のお願いに泣けて泣けて! 暫く他の本に手...
      コルベットさん、こんばんは
      姫野カオルコさん、お初でしたが前半苦戦してしまいました。そうです。三つ目のお願いに泣けて泣けて! 暫く他の本に手が出せそうにありません。
      2024/07/02
  • 泉という女性について取材し一冊の本にまとめたという形になっている小説。話の結末がどこに向かうのか全く想像もつかないまま読み進めました。かわいそうな泉の最後を知りたくてそれはもう夢中で。そして悲しい結末。自分の気持ちを押し込めて人のために尽くし続けるひと。人によってはその姿は美しく見えなかったけれど人の本質を見る力のある人にはとても美しく見える。子供の頃にたぶん自分で決めたであろう、というかそう生きることしか選択肢がなかった泉を思うと涙がでます。

    他人のために自分のちからを惜しまず使う人を誰かの小説で読んだな・・・・。と、三浦綾子さんを思い出しました。姫野さんもどうやらクリスチャンのようですので納得です。

  • 問題のラスト。

    泉は、死んだことになっているが、小口同様、私も泉が死んだなんて、信じない。

    貂に似たムードの神様が、≪死はすぐそこあるゆえ、あわて死にするべからず≫と言ったのだ。泉が自ら死を選ばない。

    貂の神様は言う

    ≪あなた、あなたの靴で、生きてるあいだ歩きなさい≫

    泉はどこかで、生きている。

    自らが小口を愛していること、小口もまた自分を愛していることを予感した以上、そこにはいられないから、諏訪を去る。結婚が決まった小口と、その婚約者に、幸せになってほしい、自分が邪魔をしてはいけない。

    矢作、洋平、照洸寺のお姉さん、南条玲香、など、泉の美しさ・魅力を見抜く目を持った人が途切れなく現れるのが、読み進める私にとって救いであった。

    読者の私が歯がゆく感じる。あまりにも、泉ばかりが損をしているじゃないか、とすら。

    しかし、多くを欲しがらない泉にとっては、きっとそれで十分なのだろう。

  • 倉島泉という聖人ような人物(架空)を取材した体で構成した物語。

    泉の生き方にはとても共感できる。
    むしろ泉の母親も妹も元夫の再婚相手も、いるいる、こういう女を武器にするのが当たり前な女ってヤダなーと思っちゃうし、
    泉には裏なんかたぶんないよ…と人の言葉は額面通りにしか受け止めない自分は思うんだけど、それは人が良すぎるか。

    ラスト前、泉の小さい頃のエピソードがネタバレ的に昔語りされるが、その内容にもひっかかる。
    あまり愛されなかった幼い頃の記憶を封印する的なエピソードで
    泉に共感できない読者に、やっぱりね、って思ってもらうには必要なエピソードなのかな。
    でも、泉の生き方、かっこいいよーって思う私には結局否定されちゃうの?というちょっぴり残念なエピソードな感じがした。もっとも、泉を全肯定しちゃうと、全然本当の幸せって?シンデレラって?というテーマからは外れてしまうけど。なのでラストについても、正直よくわからなかったデス。

  • 心、洗われました。私も居酒屋の雰囲気になじみまくって、独り飲みしている、泉さんのようになりたいなあ…

  • 初姫野です。食わず嫌いでした。ほんとうによかった。
    私自身が母親なせいか、子供が苦しい思いをするのが、一番泣けますなぁ。

    イタチの神様は、泉の置かれた辛すぎる現実を逃避するために、泉自身の頭で作り出しちゃったかなぁとか想像しちゃいました。ほんと泣けるわ。

    私の職場での現状とかぶり(何かと軽んじられる的な)、私自身が周囲がどう思われているか、ちょっと発見できた気もするし...
    まぁ、泉のように周囲の人の幸せを自分の幸せとするには及ばず、お客の方ばかり向いていたことに気づかされ...まぁそういう本ではないのでしょうが...

    3つの願い事がとにかく泣けた。とにかくよかった。

    • jyunko6822さん
      はじままして!
      初姫野はいかがでしたか。いろいろ読んでみていただきたいです。
      はじままして!
      初姫野はいかがでしたか。いろいろ読んでみていただきたいです。
      2012/09/15
  • 私の姫野カオルコ史上いちばん感動したかも。
    (思えば10代で「変奏曲」に出会い、その衝撃は計り知れないものがあったっけ。その後時を隔てて「ひと呼んでミツコ」を通じて再会し、久々に著者の作品に触れる。)
    確かに「小さいおうち」は総合的に上出来で、
    このときどちらも直木賞候補で、結果的に「小さい~」が受賞したのも納得。
    しかしながらこちらの作品のほうが強い印象で残った。
    読了して、泉に涙してしまうのはわたしだけなんだろうか。
    賞を獲るのと、感動するのとはやはり別であることを改めて感じさせる、対照的な作品。


    周囲の人間から泉という人間がどんな人物だったか、
    これもまた描かれていくタイプの物語だけど、
    最後の最後まで、このあとどうやって終わるんだろうと
    読み進められた。
    もっとも登場人物が多くて、しんどい人にはしんどいかも。
    簡単な系図がついているのは興味深いが、かといって全ての人が結果的につながっているわけではない。あくまで系図。

    捉えようによっては悲しいととる人もいるだろうが、
    ただ悲しいというだけではないと思う。

    本当の悲しみを乗り越えた者にだけ備わる強さみたいなものが、
    周囲の人間にはそれが時としてまぶし過ぎる時があるように、
    泉の人物像や生き方は、容易には受け入れられないであろう。
    それが言うならこの作品の哀愁というか、物悲しさというか。

    こんなに感動したのに、その感動をうまく言葉にできないもどかしさ。

    参考までに書評も紹介:わたしの大好きな藤田香織さんはじめ各方面からのものが著者のサイトにあったのでリンク
    http://himenoshiki.com/himefile/sen.htm

  • 一般的に不幸、かわいそうとされる人生
    周囲の人はそう評価しながらどこか羨ましくて、尊くて、そんな気持ちを抱えていたんだろうなと感じた
    個人的にはおじさんの洋平さんが一番好きなキャラかも
    人の幸福を喜べるというのはほんとにほんとに素敵で大事なことだと思う
    芯のある人になりたい

全142件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×