- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927578
感想・レビュー・書評
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左翼運動家であった警官・二条と、親友で現役の左翼運動家・我妻が取調室で対決します。我妻は、二条の元恋人・和歌子を殺したことは認めるものの、動機については一切何も語りません。事件の供述にも多くの嘘が入り混じるのですが、二条は捜査経験が少ないうえに、「和歌子を奪った親友」という私情が邪魔をし、我妻の嘘を見破れず翻弄されてしまいます。見るに堪えかねたベテランの上司が矛盾をロジカルに指摘し、崩します。
新証拠を突き出す度に別の動機が語られるの繰り返しで、最後は、これまで提示されたデータと伏線から論理的に推理し、動機を特定します。蓋然性の高い真相でやや不満ではありますが、「新しいタイプの警察小説」なので価値のある作品だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前は左翼革命組織の一員だった新米警部補、二条実房の元に、組織時代の友人我妻が恋人を殺したと自首してくる。その被害者はかつては二条の恋人であった。
自首して素直に自供しているように見えるが、なぜ殺したのか動機に納得がいかない二条は、その嘘を突き崩そうとする。二重三重に隠されたその動機とは…
対立する左翼組織に属する恋人どうしと、警官となった元カレという三人が被害者、犯人、捜査官として対峙する。序盤はちょっとクセのある文体と、純然たるホワイダニットの細かい捜査や取調室の攻防でなかなか読み進めなかったが、ラストのカタストロフには驚いた。 -
時代背景的に当初はイマイチのめり込めなかったものの、それを乗り越えればストーリー的にも、ミステリー的にも面白かったです。
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天帝の準レギュラー二条警視正がまだ新人の頃の物語。
極左過激派が活発に活動する時代が舞台。極左活動家であるかつての友人が、二条のもとに、恋人を殺したと自首してくる。その恋人とは、二条のかつての恋人でもあった。時間制限がある中で、彼の殺人の動機を探るべく二条たちは奔走するが、その動機は二重三重に隠されている。そして、二条は自分自身が、秘密の鍵を握ることに気づいていく。
これまで、フーダニットにこだわってきた作者が挑む、伏線と論理を巧みに使った上質のホワイダニット。そして、取調室の心理的攻防を丁寧に描いたスリリングな警察小説でもある。
物語と文章の美しさは相変わらず。まだ若い二条さんの信念・心情を茶化すことなく描き、またパズルよりも物語性を重視したまほろ作品の中でも異色の作品。こんな作品も書けるのかと思うと、まほろの今後の可能性にますます期待してしまう。傑作。 -
読みにくかった…
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おもしろい。これはおもしろい。
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いきなり警察の隠語が会話の中にでてきて戸惑いがあった。しかし、読んでいくうちに自然と違和感無く、また展開での主人公とその友人(犯罪者)の取り調べのやり取りに面白さがわく。最後の驚くような結末には、意外性と唸る面白さの二面性があった。
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普通の世界?と思ったけど,相変わらずのまほろ世界.とはいえ,そんなに色濃くはないかも.
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まほろらしくない、端正な警察小説ですが、しかし終盤に至る物語はまほろらしい。