海路 (テーマ競作小説「死様」)

著者 :
  • 光文社
3.31
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927639

作品紹介・あらすじ

独りで過ごす寂しさを感じながらも、診療所で懸命に働く43歳の看護師。ある日突然、老医師が閉院すると言い出した。そして、その日を前に失踪した。唯一の居場所を失った彼女は、先生を捜す旅に出る…。

感想・レビュー・書評

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  • 沢山の人の生と死に関わってきた医者である月島先生が言った「僕は…何も持たないまま、大切なものがなにもないまま死んでいくことが、怖いんですよ。」って言葉に涙が出た。

  • 私が70代になった時、どんなことを思うのかな。今はまだわからないことがたくさんあると思う。

  • ★3.5

    ー死様ー

    一人で過ごす寂しさを感じながらも、月島診療所という個人病院で、
    看護師として懸命に働く43歳の志木。
    月島は70過ぎの医師で、15年前に離婚し、診療所の二階で一人で暮らしている。
    ひと月程前、突然診療所を閉めると聞かされた。
    予め告げられていたの閉院の前に、突然月島先生はいなくなった。
    志木は、先生が何処に行ったか手掛かりを探し、
    沖縄の離島でやっと再会できた…。

    死様をテーマにした6人の競作の内の1つの作品。
    頁数137で文字のとっても大きな本。
    一時間…あっという間に読み終えた。
    藤岡さんの文章が心地よく大好きです。
    醸し出す雰囲気、行間の空気感大好きです。
    老医師の言葉や志木の言葉ラストのシーンがじんわり染みわたった。
    生きて行くことと死にゆく事の厳しさが胸に刺さりました。
    「大切なものが何もないまま死んでいくことが怖いんですよ」
    老医師の言葉です…しっかり生きていかなきゃって思った。
    少し私には読むのが早かったかなぁ…(*T^T)

  • 前作“いつまでも白い羽根”を読んで感じたものがやっぱりまたこの本にもありました。
    静かな短い物語、(ちょっと疲れた感じの)です。人生って短いな、長いな、・・・、などと思ったことがある人にしかわからないかもしれない、この感じ。藤岡陽子さんの文体や言葉が好みです。たぶん人生観に共感している。明るく爽快、ではないけれど私は好きです。

  • 大切なものを持たぬまま死んでいくこと。自分のやるべきことをやりぬいて死んでいくこと。自分はどんなものを見ながら生き死んでいきたいんだろう。短い作品だけど考えさせられることが多かった。

  • 藤岡ワールド。惚れた。

  • いい話だった

  • 「夕凪」のタイトルで「海神」「波光」の作品と共に「海とジイ」に収録されたもの。
    どの作品にも、海に囲まれた島に住む高齢男性が出てくるので「海とジイ」という題名になったのだと思うが、この題名には違和感を持った。

    「夕凪」は生きるということを考えさせられた。

  • 70歳を過ぎた老医師の月島が来月で診療所を閉院すると告げる。そして、ある日突然姿を消し、沖縄の渡嘉敷島に居ることがわかり、志木看護師が追いかける。月島医師は志木に生きることと死に様を淡々と語る。歳をとると身体の機能に関しては辛いが、心に関してはこれから先どのように生きようか悩みが少なくなることと、大切なものが年々減ってその比重が増すことがいいことだ。十分生きてきた、しかし、何も持たないまま大切なものがないまま死ぬのは怖いと語る。これからの人生、このように自分を見つめる潔さを持てたらと切に思った。

  • 2017/9/4
    今までとは違って、薄めの本で、字も大きく?と不思議な気になってましたが、やっぱりいつもの藤岡さんでした。
    初老の医師と看護師の慎ましいやり取り
    年齢が
    30程離れているとはいえ、慕っていけば2人で暮らしていけるだろうと思われるが、男性は彼女に別の道を勧める。それも、思いやりなんだろうな
    懐の深さを感じる。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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