舟を編む

著者 :
  • 光文社
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感想 : 4195
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927769

作品紹介・あらすじ

玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。
定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。
個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。
しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか

2012年本屋大賞第1位受賞作

感想・レビュー・書評

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  • あ〜いい本だった。
    「神様のカルテ」に引き続き、映画を観てしまったのでなんとなく原作を読む気になれなかった本。
    やっぱり本は、登場人物の心の声を聞けるのがいいところですよね。
    私的には主人公・馬締の同僚・西岡の心の声が一番胸に響きました。出版社の辞書を作る部署で働く西岡の周りには馬締を始め、松本先生、荒木と辞書を作ることに病的なまでに情熱を注いでいる人ばかり。一生懸命になることがカッコ悪いと思っていた西岡にとって、馬締の存在が複雑なものになっていく。「温泉みたいにこんこんと湧く、苦い感情の源をたどると、なんともなさけない結論に行き着く。つまりは嫉妬だ。」なぜ、そこまで辞書に打ち込めるのか?謎でさえあるけれど、もし自分にもそんなに夢中になれるものがあれば、今とは全く違う世界が見えるのだろう。馬締に対する嫉妬に向き合えてから、西岡が馬締をフォローする立ち位置に変わっていく姿が清々しい!
    新しく部署に配属された岸辺もやはり最初は病的な馬締に馴染めなかったけれど、辞書を通して言葉とは、だれかを「傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力」を持っていると気づき仕事に対する向き合い方が変わっていく。
    一冊の辞書を作り上げるまでの十数年もの年月の物語。あ〜、やっぱり読んで良かった!

  • 言葉を愛するすべての人に、読んでもらいたい一冊です。

    目をつぶって辞書を開き、その頁で見つけたお気に入りの言葉を
    ノートに書きつけるのが大好きだった、幼いころの私。
    若かりし頃は、初めてのバイト料をもらったボーイフレンドに、
    「プレゼントは何がいい?」と聞かれ、迷わず「広辞苑♪」と答えたけれど
    今ならぜったい、馬締たちが編んだ「大渡海♪♪♪」と答えるのに。

    時間も金も食うお荷物部署扱いされ、予算も人員も削られても
    常に用例採集カード片手に言葉を集め、時代に沿った語釈を捻り出し
    十数年かけて『大渡海』を編纂する、玄武書房辞書編集部。

    彼らが思い描く辞書は、「美しい日本語を守る会」のお歴々が厳かに頷くような
    古式ゆかしい日本語が行儀よく陳列された、棺桶みたいな辞書ではない。
    湧き上がる人の思いから生まれ、口遊まれ、綴られ、変化し、受け継がれていく
    生きた言葉がひしめきあう、胸躍る世界。

    何百年も受け継がれてきた言葉に心から敬意を払いつつ
    時代の波に洗われて変わっていく言葉、新たに生まれ落ちる言葉も
    大いに楽しみ、受け入れる『大渡海』の物語は
    古今の名著も、漫画もBLも同人誌も、等しく尊重し熱愛する
    三浦しをんさんが描くからこそ、こんなに心に響くのです。

    そして、言葉に精通する馬締や松本先生や荒木だけを祭り上げるのではなく
    辞書を開いた流れ者が、「西行」の項目に「遍歴するひと、流れもの」の語釈を発見し
    心強く感じる光景を思い浮かべて、この語釈を採用すべきだと主張し
    宣伝広告部に異動になり、辞書編纂に直接関わらなくなっても
    馬締たちを渾身の力でサポートすると密かに誓う、西岡のような存在にも
    ちゃんと光を当ててくれているのが、とてもうれしい。

    ブクログのレビューを書きながら、本への思いが溢れ過ぎて
    「ああ、またムダな言葉ばっかり!どうしてもっと簡潔に書けないの?!」
    と自己嫌悪に陥る毎日。
    そんな私の背中を、この本が、誰かに思いを届けるために
    拙くても、不恰好でも、心を映した言葉を勇気をもって差し出し続けていいのだと
    言葉の海に向かって、ぽん、と押し出してくれました。

    • まろんさん
      だいさん☆

      いつも温かいお言葉をありがとうございます!
      大好きな本は、やっぱり一人でも多くの方に読んでもらいたいので
      「こんなに下手なのに...
      だいさん☆

      いつも温かいお言葉をありがとうございます!
      大好きな本は、やっぱり一人でも多くの方に読んでもらいたいので
      「こんなに下手なのに一生懸命書いてるところを見ると、この本おもしろいのかも?!」
      と思っていただけたらしめたもの♪ 
      だいさんの励ましを胸に、レビューを書き続けたいと思います。
      2013/04/21
    • gudonさん
      まろんさん 

      コメントありがとうございました。レビュー率100%に尊敬します。私のブクログは、実際の本棚同様雑然としていて、積読が多いのが...
      まろんさん 

      コメントありがとうございました。レビュー率100%に尊敬します。私のブクログは、実際の本棚同様雑然としていて、積読が多いのが難点です。

      舟を編む、は実は小説は未読なのですが、先日映画を見ました。三浦しをんさんが、「この話は絶対映像化は無理」と自負していた世界を、石井裕也×松田龍平が見事に映像化してくれていました。

      そうした「表現手法の違い」を楽しむことも作品の味わいだとよく思います。レビューを楽しく拝見しながら勉強させてください。
      2013/04/22
    • まろんさん
      gudonさん☆

      こちらこそ、コメントありがとうございます。感激です!
      積読の本がいっぱいあるなんて、素敵なことです。
      お気に入りのお菓子...
      gudonさん☆

      こちらこそ、コメントありがとうございます。感激です!
      積読の本がいっぱいあるなんて、素敵なことです。
      お気に入りのお菓子を大事にしまってあるようなものですもの。

      『舟を編む』の映画、私も観てきました。
      静かな狂気を孕んだ役が似合うと思っていた松田龍平が、
      浮世離れしたあの馬締くんを、あまりにイメージ通りに演じていることに驚いてしまいました。
      大河ドラマの新撰組以来、三浦しをんさんがオダギリジョーの大ファンなのは有名ですが
      西岡役を彼が演じているのを見て、「しをんちゃん、よかったねぇ!」と思ったりもして。

      私こそ、映画のことも本のことも、gudonさんのレビューを拝見して
      大いに勉強させていただきたいと思っています。
      2013/04/24
  • この本は、2017年2月に読みました。
    だいぶたっていますが・・・
    辞書作りはこんなに繊細な作業なのか
    言葉を選ぶことにこんなに迷いながら
    作るとは・・・・「編む」という題名は、言葉
    を編んでいく、という意味なのか、と思いました。

    この本を読むまで、言葉というものを
    そんなに深く考えたことはありません
    でした。私は、古いようですが「ら抜き
    言葉」を嫌ってしまいます。ですが、最近ではアナウンサーがふつうに使っているのです。やはり私は古いのでしょうか?息子が中学生の頃、「斜めってる」と
    いう言葉を口にしました。思わず私は、
    「斜めになっている」だよ。といったことがあります。ところが、一緒に生活して
    いるとは恐ろしいもので、私まで「斜めってる」と、言ってしまったことがあります。それ以来言語には気を付けているつもりです。日本語は、本当に奥深さを
    感じます。「やばい」という言葉、これは、どうしよう、まずいことになった
    という意味だったはずです。それが今では、凄い、素敵、可愛いということに
    使われています。辞書にはどのように記されているのでしょうか。

    細かいことがらを、三浦しをんさんは
    やはりすごいと思います。

    話は違いますが、三浦しをんさんの
    「風が強く吹いている」お薦めします。
    駅伝などやったことがなかった、弱小チームのお話です。
    読んだ方、多いとは思いますがまだの
    方は是非、夢中になる1冊です。

  •  タイトルに惹かれて購入。何故か長く積読状態で、ようやく読了。

     『辞書は、言葉の海を渡る舟だ』第1章の荒木公平パートでタイトルの由来が解った。大渡海(広辞苑や大辞林のようなものか)という辞書編纂の物語。5章あり、語り手がパート毎に替わる。

    『ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原を前にたたずむほかはないだろう』辞書作りの意義を荒木は、こう説明する。
     編むという表現も美しいが、この本の装丁も、大渡海の装丁のようで、美しい。

     日本語の奥深さや、美しさを再認識するとともに、学生時代はよくお世話になった辞書なのに忘れかけそうになっていた存在、辞書にスポットを当て、編纂の仕事は、十数年の長きスパンに渡り、多岐に渡る苦労があることなど、初めて知ることばかりで面白かった!
     
     
     

  • うーむ 面白かった。。
    こんなに面白かった本は久しぶり。
    感動しました。
    登場する人物がみんなとても魅力的。
    言葉という最も大切なものの有難さを教えてもらいました。
    帯にも書かれていたように、地味な編集作業を通しての冒険小説のよう。。
    老若男女 みんなにお勧めです。

    この本はずっと手元に置いておきたい一冊です。

  • 「舟を編む」
    なんといってもタイトルが素晴らしい!

    今までまったく考えたことがなかったけど、辞書作りって彼らの努力の結晶でできてるんだなぁ。

    最近、めっきり使わなくなってしまったけど、学生の頃に読んでこういうことを感じながら辞書を引きたかったなと思いました。

    辞書に限らずだけど、、。

    今の学校って辞書とか引いたりしてるのかな。図書館で借りた本です。

  • 「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」
    「海を渡るにふさわしい舟を編む」
    その思いを込めて名付けられた『大渡海』

    『大渡海』編纂に携わった人々の15年にわたる苦労と努力の物語
    数年前に映画を見ていたので、ずっと読むのはもういいかと思っていたが、やはり読むのと見るのとでは全然違う

    映画を観た後は、辞書を作るのにこんなに人の手がかかるんだとか、ちょっと暗い映画だなとかの感想だった気がするが、読了した今の感想は全然違う
    静かな感動で胸がいっぱいになり、涙すら出た
    やはり本の力、文字の力はすごい!

    映画では、松田龍平扮する馬締光也に焦点が当てられていた気がするが、馬締光也はもちろんのこと、西岡や岸辺みどりの活躍を描くことにより、大渡海の完成は、編集やその他諸々の業務に携わった人々みんなの念願(悲願)だったこと、みんなの力の結集により完済したことが分かる

    辞書が完成するまでの過程もさることながら、取り上げられたいろんな言葉の解釈もとても興味深くおもしろかった

    「あがる」と「のぼる」の違い、「西行」に「不死身」や「あちこち遍歴する人」の意味があること
    「こだわり」は「難癖をつけること」が本来の意味なのでいい意味で使ってはいけないこと等々

    驚きと新しい知識を得た喜びでいっぱいだ

    しかし、文中にも何度となくあったように言葉は生きているから、時代とともに使い方や意味が変わってくることも許されるのかもしれない

    言葉の持つ力ーーー
    傷つけるためではなく、誰かを守り、誰かを力づけ、誰かに伝え、誰かと繋がり合うための言葉を発したいなと心から思った


  • 著者、三浦しをんさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    三浦 しをん(みうら しをん、女性、本名同じ、1976年(昭和51年)9月23日 - )は、日本の小説家、随筆家である。

    今回手にした、『舟を編む』は、初出が、CLASSYに2009年から2011年に連載されたものです。
    したがって、著者が33~35歳頃に書かれた作品になります。


    『舟を編む』に内容は、次のとおり。(コピペです)

    玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。
    定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。
    個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。
    しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか


    この作品、2012年本屋大賞第1位受賞作でもあり、中々、読み応えのある内容になっています。
    したがって、時間があれば通読したいところですが、残念ながら、今回は31ページまで読んで、終了になりました。

  • 本好きには堪らない小説だった。
    物語の展開は先読みできる。
    でも白けるのではなく、読者をちゃんと連れて行ってくれる感じ。
    まわりの空気、行き先、そして乗っている人の気持ちを感じながら舟を漕いでくれてる感じ。

    辞書編さんの息遣いや心意気を知った。
    本書を子どもの頃に読んでいたら辞書のすばらしさをもっと感じたのかもしれない。
    とても損した気分。

    言葉は時と場所を越えていける。
    本となって。

    きっと数十年経つと紙である本は貴重なものになっているでしょう。
    紙も含めての本の価値が訴求できなくなると、言葉、言葉を紡いだ物語の力がもっと必要になるでしょう。
    デジタルによって音や画像、動画によってデコレーションされたとしても。

    言葉の大切さを改めて私に刻んでくれた本となりました。

  • 2020年のベスト3に選んだ冲方丁氏の「天地明察」は暦、こちらは辞書と対象は違うが、同じぐらい熱い想いで新しいモノを作り出すところが良かった。
    これから辞書を見るときは、これまでと違った想いを感じることになりそうだ。

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著者プロフィール

三浦しをん

一九七六年東京生まれ。二〇〇〇年『格闘する者に○』でデビュー。〇六年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、一二年『舟を編む』で本屋大賞、一五年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞、一九年『ののはな通信』で島清恋愛文学賞及び河合隼雄物語賞、『愛なき世界』で日本植物学会賞特別賞を受賞。その他の著書に『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『木暮荘物語』『政と源』など。『ビロウな話で恐縮です日記』『本屋さんで待ちあわせ』『ぐるぐる 博物館』などエッセイ集も多数。

「2021年 『愛なき世界(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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