舟を編む

著者 : 三浦しをん
  • 光文社 (2011年9月17日発売)
4.16
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927769

作品紹介

玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。
定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。
個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。
しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか

2012年本屋大賞第1位受賞作

舟を編むの感想・レビュー・書評

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  • 言葉を愛するすべての人に、読んでもらいたい一冊です。

    目をつぶって辞書を開き、その頁で見つけたお気に入りの言葉を
    ノートに書きつけるのが大好きだった、幼いころの私。
    若かりし頃は、初めてのバイト料をもらったボーイフレンドに、
    「プレゼントは何がいい?」と聞かれ、迷わず「広辞苑♪」と答えたけれど
    今ならぜったい、馬締たちが編んだ「大渡海♪♪♪」と答えるのに。

    時間も金も食うお荷物部署扱いされ、予算も人員も削られても
    常に用例採集カード片手に言葉を集め、時代に沿った語釈を捻り出し
    十数年かけて『大渡海』を編纂する、玄武書房辞書編集部。

    彼らが思い描く辞書は、「美しい日本語を守る会」のお歴々が厳かに頷くような
    古式ゆかしい日本語が行儀よく陳列された、棺桶みたいな辞書ではない。
    湧き上がる人の思いから生まれ、口遊まれ、綴られ、変化し、受け継がれていく
    生きた言葉がひしめきあう、胸躍る世界。

    何百年も受け継がれてきた言葉に心から敬意を払いつつ
    時代の波に洗われて変わっていく言葉、新たに生まれ落ちる言葉も
    大いに楽しみ、受け入れる『大渡海』の物語は
    古今の名著も、漫画もBLも同人誌も、等しく尊重し熱愛する
    三浦しをんさんが描くからこそ、こんなに心に響くのです。

    そして、言葉に精通する馬締や松本先生や荒木だけを祭り上げるのではなく
    辞書を開いた流れ者が、「西行」の項目に「遍歴するひと、流れもの」の語釈を発見し
    心強く感じる光景を思い浮かべて、この語釈を採用すべきだと主張し
    宣伝広告部に異動になり、辞書編纂に直接関わらなくなっても
    馬締たちを渾身の力でサポートすると密かに誓う、西岡のような存在にも
    ちゃんと光を当ててくれているのが、とてもうれしい。

    ブクログのレビューを書きながら、本への思いが溢れ過ぎて
    「ああ、またムダな言葉ばっかり!どうしてもっと簡潔に書けないの?!」
    と自己嫌悪に陥る毎日。
    そんな私の背中を、この本が、誰かに思いを届けるために
    拙くても、不恰好でも、心を映した言葉を勇気をもって差し出し続けていいのだと
    言葉の海に向かって、ぽん、と押し出してくれました。

  • 本好きには堪らない小説だった。
    物語の展開は先読みできる。
    でも白けるのではなく、読者をちゃんと連れて行ってくれる感じ。
    まわりの空気、行き先、そして乗っている人の気持ちを感じながら舟を漕いでくれてる感じ。

    辞書編さんの息遣いや心意気を知った。
    本書を子どもの頃に読んでいたら辞書のすばらしさをもっと感じたのかもしれない。
    とても損した気分。

    言葉は時と場所を越えていける。
    本となって。

    きっと数十年経つと紙である本は貴重なものになっているでしょう。
    紙も含めての本の価値が訴求できなくなると、言葉、言葉を紡いだ物語の力がもっと必要になるでしょう。
    デジタルによって音や画像、動画によってデコレーションされたとしても。

    言葉の大切さを改めて私に刻んでくれた本となりました。

  • 登場人物のキャラクターがそれぞれ魅力的で、おもしろかったです。
    難しそうな辞書作りの世界が描かれているのですが、
    とても読みやすいお話でした。
    辞書を作るって大変なお仕事なのですね。
    子供の頃から使っていたけれど、あまり意識したことがないものでした。

    読み終わって辞書のページをめくりたくなり、探したけれどみつからず。
    最近はネットで検索することがあたりまえになっていて、
    辞書が行方不明に。。。
    また辞書を使ってみたくなりました。

  • あまり見聞きすることのない、辞書編纂にかかわる人たちの仕事を垣間見ることができ興味深い。それぞれの登場人物の、仕事への情熱や辞書に対する愛着と思い入れが伝わってくる。

    馬締くんをはじめどの人も魅力的だけれど、少し屈折した西岡くんがいい。「だれかの情熱に、情熱で応えること」(P140)こんな風に自分は仕事しているかな、ちょっと自分を振り返りたくなる。馬締くんや松本先生のようにスペシャリストとして一本筋の入った仕事ができるのはとても大変だけれど幸せなことだと思う。けれど多くの人は西岡くんのように、自分の仕事に自信が持てないまま、それでも目の前のことを誠実に続ける。その結果、後から振り返ってみればほんの少し前進していたと、わずかに満たされた気持ちが生まれる。その繰り返しなのではないかな。それが誰かの役にたてて、その人が少しでも楽になるならいいなと思う。

  • CLASSYに掲載されていたんですね。
    なるほど。少し違和感。

    「ノーザン・ブラック」にいた岸辺さんの突然の登場は
    「CLASSY」に由来していたのかな。


    最初はなんで「舟を編む」なんだろうと
    謎だったのですが、その説明を目にしたら
    感動してしまい泣けてきました。

    「大渡海」を完成させるために費やした日々。
    静かだけど熱い想い、仲間と絆に感動しました。

    「上る」と「登る」の説明とかも分かりやすくって
    「死語」もあるから、言葉って本当に生き物
    と同じなんだな~と。

    =はじめに言葉ありき=という言葉も
    あるから、言葉は人間だけに与えられた大切なもの
    なんだよね、と何度も感動した。

    ただ途中から駆け足過ぎて、ちょっと勿体ない
    気がした。
    (風が強く吹いている並の厚さがほしかった)
    (CLASSYに連載だから仕方がないよね)
    あと映画もDVD借りて見たいなぁ~と思った。

    最後は泣いたのはもちろんだけど西岡チャラ男の
    シーンでも不覚にも泣けた。
    西岡一番好きかもしれない。
    まじめくんが香具矢さんを「俺の配偶者です」って、
    「俺」という言葉にちょっと衝撃を感じた∑(゚Д゚)

    そして辞書がとても愛おしくなりますね♪
    PC検索だけでなく、たまには辞書を引こうかな!

  • 思わず笑ってしまった。純粋に面白かった。辞書の編纂にかかわって行く人の情熱がこちらにも伝わってきてこれからはもっと辞書と真剣に向き合わなければという気持ちになった。
    実は三浦しをんの有名作品はことごとく挫折して読了したのは初。こんなに面白い作品を書く作家だったんだ。他の作品も読まねば!

  • タイトルから想像するに、海洋とか舟にまつわるお話かと思っていたら、なんと、辞書!!
    それにしても、何とおもしろい!!

    そして、辞書出版の何と大変なこと・・・今更ながら、あの膨大な量の言葉を編纂しているのは、人間なんだなあと再認識する。

    まじめさんのキャラの素敵なこと、桁外れの辞書づくりのセンスと適性を持つ彼が、香具矢さんに「好きです」と伝えるシーンは泣けた。「好きです」の4文字にこめられた彼の気持ちの重さ、深さ。それを考えると、もう、泣くしかなかった。

    言葉は絶えず動き、変わっていく。それを残したいと願う人たちがいるって、何と素晴らしいことなんだろう。敬意を感じずにはいられない。
    私も、言葉を大切にしよう。そして、人を傷つけるためではなく、救うために、癒すために、言葉を使っていきたいと、強く思った。

  • 期待して読んだが、期待の3倍くらいおもしろかった! こんなに笑ったり泣いたりして読んだのは久しぶりだー。 
    三浦しをんさんの「プロットがわかる、透ける感じ」がたまに苦手だったのですが、まあそんなことを超越して、主人公も脇役も魅力的であっというまに読んでしまった。これは、うまい。
    文章も美しいほどにきれいだし、会話も描写も手紙もおもしろい!自宅にて前半、吹き出しながら読む。
    題材「辞書」もいままでにはない世界を見せてくれるし、最後は泣いてしまったし、良質なエンターテイメントだったなあ、と思います。
    ところでまじめくんに松田龍平をキャスティングしたひとに拍手喝采。

  • ぴしり、と一語も取りこぼすことも無く、
    全ては整然と辞書内に収められてはいるが。

    7個集めさえすれば
    神竜(シェンロン)が現れるドラゴンボールとは違って、
    此の世に存在する全ての言語の収集となると、
    (これは途方も無い冒険となるぞ。)
    という予想は容易く出来た。

    …が。
    人は、その完成に挑む。

    自身の人生を全てかけてもすべき事だと確信したなら、
    旅立つ事が出来る。

    師匠に教えを請いながら、
    恋人に支えられながら、
    同じ志を持つ仲間と共に。

    『舟を編む』と言うタイトルからは、
    一語、一語を紡ぐように、編みこむようにして、
    巨大な舟を完成させたイメージを受けたが、
    それと同時に、
    辞書制作に携わった全ての人達の強い繋がりをも、強く感じる事ができた。

    生涯をかけてひとつの仕事に取り組んだ人達の
    実は(終わり無き航海)は、
    『大渡海』完成後も、おそらくまだまだ続く。

    船首に立ち、大海原を眺める戦士達の目にうつるは、
    刻一刻とその姿を変えてゆく、まるで生き物の様な言葉のうねり…

  • 本屋さんにいくといつもおすすめコーナーに置いてあり、いつも気になってじーっと見ていたものの、"辞書の話"ということで勝手に難しそうと思い込みなかなか手を付けられなかったのですが、今はそれを後悔しています。なんでもっと早くに読まなかったのか!

    とにかく登場人物の一人一人が輝いていて素敵です。
    話の流れも、まるで自分も辞書編集部に携わっているかのようで、最初から最後までのめり込んでしまい、最後は一緒になって喜び涙してしまいました。
    「舟を編む」の装丁が「大渡海」の装丁を模しているのも、また良いですね。
    思わず本をぐるりと回してまじまじと見てしまいましたよ。
    読んでいる最中も、読み終わった後もやさしい気持ちになれる一冊です。
    この本に出会えて良かった!そして個人的に西岡が一番お気に入りで感情移入しやすかったです。

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