舟を編む

著者 :
  • 光文社
4.16
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本棚登録 : 25895
レビュー : 4094
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927769

作品紹介・あらすじ

玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。
定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。
個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。
しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか

2012年本屋大賞第1位受賞作

感想・レビュー・書評

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  • 言葉を愛するすべての人に、読んでもらいたい一冊です。

    目をつぶって辞書を開き、その頁で見つけたお気に入りの言葉を
    ノートに書きつけるのが大好きだった、幼いころの私。
    若かりし頃は、初めてのバイト料をもらったボーイフレンドに、
    「プレゼントは何がいい?」と聞かれ、迷わず「広辞苑♪」と答えたけれど
    今ならぜったい、馬締たちが編んだ「大渡海♪♪♪」と答えるのに。

    時間も金も食うお荷物部署扱いされ、予算も人員も削られても
    常に用例採集カード片手に言葉を集め、時代に沿った語釈を捻り出し
    十数年かけて『大渡海』を編纂する、玄武書房辞書編集部。

    彼らが思い描く辞書は、「美しい日本語を守る会」のお歴々が厳かに頷くような
    古式ゆかしい日本語が行儀よく陳列された、棺桶みたいな辞書ではない。
    湧き上がる人の思いから生まれ、口遊まれ、綴られ、変化し、受け継がれていく
    生きた言葉がひしめきあう、胸躍る世界。

    何百年も受け継がれてきた言葉に心から敬意を払いつつ
    時代の波に洗われて変わっていく言葉、新たに生まれ落ちる言葉も
    大いに楽しみ、受け入れる『大渡海』の物語は
    古今の名著も、漫画もBLも同人誌も、等しく尊重し熱愛する
    三浦しをんさんが描くからこそ、こんなに心に響くのです。

    そして、言葉に精通する馬締や松本先生や荒木だけを祭り上げるのではなく
    辞書を開いた流れ者が、「西行」の項目に「遍歴するひと、流れもの」の語釈を発見し
    心強く感じる光景を思い浮かべて、この語釈を採用すべきだと主張し
    宣伝広告部に異動になり、辞書編纂に直接関わらなくなっても
    馬締たちを渾身の力でサポートすると密かに誓う、西岡のような存在にも
    ちゃんと光を当ててくれているのが、とてもうれしい。

    ブクログのレビューを書きながら、本への思いが溢れ過ぎて
    「ああ、またムダな言葉ばっかり!どうしてもっと簡潔に書けないの?!」
    と自己嫌悪に陥る毎日。
    そんな私の背中を、この本が、誰かに思いを届けるために
    拙くても、不恰好でも、心を映した言葉を勇気をもって差し出し続けていいのだと
    言葉の海に向かって、ぽん、と押し出してくれました。

    • まろんさん
      だいさん☆

      いつも温かいお言葉をありがとうございます!
      大好きな本は、やっぱり一人でも多くの方に読んでもらいたいので
      「こんなに下手なのに...
      だいさん☆

      いつも温かいお言葉をありがとうございます!
      大好きな本は、やっぱり一人でも多くの方に読んでもらいたいので
      「こんなに下手なのに一生懸命書いてるところを見ると、この本おもしろいのかも?!」
      と思っていただけたらしめたもの♪ 
      だいさんの励ましを胸に、レビューを書き続けたいと思います。
      2013/04/21
    • gudonさん
      まろんさん 

      コメントありがとうございました。レビュー率100%に尊敬します。私のブクログは、実際の本棚同様雑然としていて、積読が多いのが...
      まろんさん 

      コメントありがとうございました。レビュー率100%に尊敬します。私のブクログは、実際の本棚同様雑然としていて、積読が多いのが難点です。

      舟を編む、は実は小説は未読なのですが、先日映画を見ました。三浦しをんさんが、「この話は絶対映像化は無理」と自負していた世界を、石井裕也×松田龍平が見事に映像化してくれていました。

      そうした「表現手法の違い」を楽しむことも作品の味わいだとよく思います。レビューを楽しく拝見しながら勉強させてください。
      2013/04/22
    • まろんさん
      gudonさん☆

      こちらこそ、コメントありがとうございます。感激です!
      積読の本がいっぱいあるなんて、素敵なことです。
      お気に入りのお菓子...
      gudonさん☆

      こちらこそ、コメントありがとうございます。感激です!
      積読の本がいっぱいあるなんて、素敵なことです。
      お気に入りのお菓子を大事にしまってあるようなものですもの。

      『舟を編む』の映画、私も観てきました。
      静かな狂気を孕んだ役が似合うと思っていた松田龍平が、
      浮世離れしたあの馬締くんを、あまりにイメージ通りに演じていることに驚いてしまいました。
      大河ドラマの新撰組以来、三浦しをんさんがオダギリジョーの大ファンなのは有名ですが
      西岡役を彼が演じているのを見て、「しをんちゃん、よかったねぇ!」と思ったりもして。

      私こそ、映画のことも本のことも、gudonさんのレビューを拝見して
      大いに勉強させていただきたいと思っています。
      2013/04/24
  • 「舟を編む」
    なんといってもタイトルが素晴らしい!

    今までまったく考えたことがなかったけど、辞書作りって彼らの努力の結晶でできてるんだなぁ。

    最近、めっきり使わなくなってしまったけど、学生の頃に読んでこういうことを感じながら辞書を引きたかったなと思いました。

    辞書に限らずだけど、、。

    今の学校って辞書とか引いたりしてるのかな。図書館で借りた本です。

  • 本好きには堪らない小説だった。
    物語の展開は先読みできる。
    でも白けるのではなく、読者をちゃんと連れて行ってくれる感じ。
    まわりの空気、行き先、そして乗っている人の気持ちを感じながら舟を漕いでくれてる感じ。

    辞書編さんの息遣いや心意気を知った。
    本書を子どもの頃に読んでいたら辞書のすばらしさをもっと感じたのかもしれない。
    とても損した気分。

    言葉は時と場所を越えていける。
    本となって。

    きっと数十年経つと紙である本は貴重なものになっているでしょう。
    紙も含めての本の価値が訴求できなくなると、言葉、言葉を紡いだ物語の力がもっと必要になるでしょう。
    デジタルによって音や画像、動画によってデコレーションされたとしても。

    言葉の大切さを改めて私に刻んでくれた本となりました。

  • 登場人物のキャラクターがそれぞれ魅力的で、おもしろかったです。
    難しそうな辞書作りの世界が描かれているのですが、
    とても読みやすいお話でした。
    辞書を作るって大変なお仕事なのですね。
    子供の頃から使っていたけれど、あまり意識したことがないものでした。

    読み終わって辞書のページをめくりたくなり、探したけれどみつからず。
    最近はネットで検索することがあたりまえになっていて、
    辞書が行方不明に。。。
    また辞書を使ってみたくなりました。

  • あまり見聞きすることのない、辞書編纂にかかわる人たちの仕事を垣間見ることができ興味深い。それぞれの登場人物の、仕事への情熱や辞書に対する愛着と思い入れが伝わってくる。

    馬締くんをはじめどの人も魅力的だけれど、少し屈折した西岡くんがいい。「だれかの情熱に、情熱で応えること」(P140)こんな風に自分は仕事しているかな、ちょっと自分を振り返りたくなる。馬締くんや松本先生のようにスペシャリストとして一本筋の入った仕事ができるのはとても大変だけれど幸せなことだと思う。けれど多くの人は西岡くんのように、自分の仕事に自信が持てないまま、それでも目の前のことを誠実に続ける。その結果、後から振り返ってみればほんの少し前進していたと、わずかに満たされた気持ちが生まれる。その繰り返しなのではないかな。それが誰かの役にたてて、その人が少しでも楽になるならいいなと思う。

    • HNGSKさん
      そうですよね。まじめさんみたいに、あんなに真摯に仕事に打ち込める人なんて、そうそういないし、仕事のほうからもあんなに応えてもらえる人なんてい...
      そうですよね。まじめさんみたいに、あんなに真摯に仕事に打ち込める人なんて、そうそういないし、仕事のほうからもあんなに応えてもらえる人なんていないですよね。やったって報われない人のほうが多い。西岡君の方が、この世の中には多い。そのとおりだ。
      余談ですが、私は西岡君の「こころ」のくだり、「先生の遺書が異様に長くてマジうけた」が、大好きです。
      2012/10/30
    • e-kakasiさん
      今頃すみません。その夏目漱石『こころ』について一言。『舟を編む』に書かれている話は、もう何十年も前から、高校生ですら知っているエピソードで、...
      今頃すみません。その夏目漱石『こころ』について一言。『舟を編む』に書かれている話は、もう何十年も前から、高校生ですら知っているエピソードで、三浦しをんが、いまさら自分の小説にどうして書くんでしょうか?分かりません。
      2013/02/16
  • 玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説。
    「Amazon内容紹介」より

    辞書を作るということは、多大なる労力を必要とすることなり、ということがよく分かる.ことばを丁寧に扱うことは、自分や相手を丁寧に扱うということにつながるんだなぁ.
    辞典を見るたびに、この本のことを思い出す.

  • CLASSYに掲載されていたんですね。
    なるほど。少し違和感。

    「ノーザン・ブラック」にいた岸辺さんの突然の登場は
    「CLASSY」に由来していたのかな。


    最初はなんで「舟を編む」なんだろうと
    謎だったのですが、その説明を目にしたら
    感動してしまい泣けてきました。

    「大渡海」を完成させるために費やした日々。
    静かだけど熱い想い、仲間と絆に感動しました。

    「上る」と「登る」の説明とかも分かりやすくって
    「死語」もあるから、言葉って本当に生き物
    と同じなんだな~と。

    =はじめに言葉ありき=という言葉も
    あるから、言葉は人間だけに与えられた大切なもの
    なんだよね、と何度も感動した。

    ただ途中から駆け足過ぎて、ちょっと勿体ない
    気がした。
    (風が強く吹いている並の厚さがほしかった)
    (CLASSYに連載だから仕方がないよね)
    あと映画もDVD借りて見たいなぁ~と思った。

    最後は泣いたのはもちろんだけど西岡チャラ男の
    シーンでも不覚にも泣けた。
    西岡一番好きかもしれない。
    まじめくんが香具矢さんを「俺の配偶者です」って、
    「俺」という言葉にちょっと衝撃を感じた∑(゚Д゚)

    そして辞書がとても愛おしくなりますね♪
    PC検索だけでなく、たまには辞書を引こうかな!

  • 思わず笑ってしまった。純粋に面白かった。辞書の編纂にかかわって行く人の情熱がこちらにも伝わってきてこれからはもっと辞書と真剣に向き合わなければという気持ちになった。
    実は三浦しをんの有名作品はことごとく挫折して読了したのは初。こんなに面白い作品を書く作家だったんだ。他の作品も読まねば!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「こんなに面白い作品を書く作家だったんだ」
      私は初三浦しをんでした。2冊目にエッセイを読んだら、、、絶句(どちらが表しをん?)。
      だからと言...
      「こんなに面白い作品を書く作家だったんだ」
      私は初三浦しをんでした。2冊目にエッセイを読んだら、、、絶句(どちらが表しをん?)。
      だからと言って「舟を編む」の評価は下がりませんけど、、、
      2012/08/08
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは。
      花丸ありがとうございます。

      今、「神去なあなあ夜話」を読んでいます。
      「神去なあなあ日常」の勇...
      vilureefさん、こんにちは。
      花丸ありがとうございます。

      今、「神去なあなあ夜話」を読んでいます。
      「神去なあなあ日常」の勇気くんの成長と、紹介すべき豊富な人材を持つ村の人々が興味深く楽しめますよ!
      いかがでしょう。
      2013/01/04
  • 幾ら褒めても褒め足りない、、、って大袈裟かな?

    とりあえず映画化に乾杯!
    http://fune-wo-amu.asmik-ace.co.jp/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > MOTOさん
      「まだまだ本屋大賞の熱冷めやらず、ですね!」
      実を言うと、文庫待ちでノンビリ構えていたのですが、本屋大賞受賞後に手に取って...
      > MOTOさん
      「まだまだ本屋大賞の熱冷めやらず、ですね!」
      実を言うと、文庫待ちでノンビリ構えていたのですが、本屋大賞受賞後に手に取ってみて、、、この装丁のまま文庫にはならないと思い、即購入しました。

      「なんて相当面白いんですねっ♪」
      はい。とだけ書いておきます(実は私、辞書オタクです)!!
      2012/07/30
    • 槊さん
      映画化されるんですね! 初めて知りました。
      読んで良かったなと思える本でしたね。
      映画化されるんですね! 初めて知りました。
      読んで良かったなと思える本でしたね。
      2012/08/03
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > 槊さん
      「映画化されるんですね!」
      そうなんです、或る意味地味だから難しいのかな?と思っていました。。。

      松田龍平と宮崎あおいの他のキ...
      > 槊さん
      「映画化されるんですね!」
      そうなんです、或る意味地味だから難しいのかな?と思っていました。。。

      松田龍平と宮崎あおいの他のキャストが気になってます。

      「読んで良かったなと思える本でしたね」
      はい!とっても熱くなる本でした。映画も良い出来でありますように、、、
      2012/08/03
  • 妻の推薦本を1年間積読してしまった。辞典「大渡海」の完成に向けて、奇抜な青年、編者の松本先生、それを支える編集部が血反吐を吐く思いで作成する。完成まで相当な年月を費やし、即ち彼らの人生を賭けて1語1語を紡いでいく。その1語1語の蓄積が「大渡海」となる。製紙業社の宮本「辞書は頑固だからこそ、頼りがいがあるし、ちょっと敬愛もある」。この何十万単語を統一した規格で生成することで、この「頑固さ」が醸成されるのであろう。最近、簡単にグーグル先生に単語を教えてもらっているが、単語への敬意が足りなかった、反省!

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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