日本ミステリー文学大賞新人賞 受賞作 クリーピー

著者 :
  • 光文社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928087

作品紹介・あらすじ

杉並区の住宅街に、微妙に孤立してみえる一戸建てが三軒。大学教授の高倉家は夫婦二人ぐらし。隣は四人家族の西野家。向かいは老親子が住む田中家。ごく薄いつきあいの隣人同士の関係はしかし、田中家の失火炎上を契機とするかのように、大きく歪みはじめる…。第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 少し『火の粉』と重なってしまう。

    気さくな隣人。
    いつの間にか家族の中に入ってきて、いつの間にか家族の主導権を握ってしまう。

    隣人の西野、その娘の澪、警察官である同級生の野上、その元妻の河合園子。

    なんかモヤモヤが残る終わり方だったな…。
    なんでだろ。
    『火の粉』のように直接対決が見たかった、のかな。

    西野の不気味さ、怖さは多少あったけど、そこまで怖く思えなかったのは自分の感覚が麻痺してるからなのか…。

    そう言えば最近、自分の倫理観を見直す機会があったんだけど、自分は少し他の人とは違うのかも知れない。考えが偏っているのかもよくわからない。

    その答えを見つける為に、皆さんが書いたこの本の感想を今から読みに行きたいと思います。

  • 内容紹介

    犯罪心理学の教授の高倉には、奇妙な隣人がいた。
    父親とおぼしき同居人を「お父さんじゃない」と言う娘が住むその家庭に興味を抱いていた、
    高倉の友人の刑事野上は行方不明になってしまい、やがて高倉邸の真向かいの家が焼け、焼死体が発見される……。
    鬼気迫る臨場感をたたえた、傑作心理サスペンス誕生。

    野上の異母の兄矢島が「悪の天才」であり、高倉燐家の父になりすまし、娘以外の家族を殺していた。
    野上は別れた妻ピアニストの河合園子により殺され、矢島が高倉邸向かいの二人とともに処分した。
    矢島はその後園子邸に匿われたが園子に青酸カリを飲まされ死んだ。
    その娘を園子はピアニストに育てていた。
    なりすまし殺人、なかなか面白い視点の小説だった。

    6月以降小説読む時間が取れなかった。
    夕食取ると寝る、土日はタイムシフトでTV、というパターンが続いていた。

  • 初、前川裕氏の作品。ドラマ化にもなっているそうで。
    言葉ひとつひとつを腰を据えてじっくりと読むことができた
    私の中では久々にヒット作。
    日常に潜む真か虚なのか曖昧になっていく不確かなもの。
    人の記憶は案外と脆くて、他の人の囁きひとつで揺れ動く。
    こういう日々の生活に潜む怖さを思い知らされてくれた。
    気づかないだけで、矢島のような悪党が私の周りにも居るのかもしれない。
    クリーピーというタイトルが物語る怖さ。
    知らない間に黒い染みが広がっていく怖さ。

  • 「クリーピー」
    隣人は、まさかの殺人鬼?


    去年か一昨年、映画化されたホラーミステリー。但し、映画は原作から変更点があるらしいですが、どっちが怖いのだろう。


    大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻康子と二人、一戸建てに暮らす。ある日、刑事・野上から一家失踪事件の分析を依頼されたのを契機として、周囲で事件が頻発する。野上の失踪、学生同士のトラブル、出火した向かいの家の焼死体。だがそれらも、本当の恐怖の発端でしかなかった。


    「優しい人あたりの良い隣人の西野」が「奇妙な隣人」に変わっていき、やがてサイコパスの本性が見えてくる。ぐいぐい読ませる文章で、ターニングポイントとなる西野の娘の澪が、高倉家に逃げ込み西野が本性を表わすところなどホラー最高潮です。


    この逃げ込み事件以降、警察には表の顔、高倉には悪の裏の顔を使い分け、澪を取り戻し、マインドコントロールする辺りも怖さを強めるポイントです。しかし、包丁を持って高倉家に怒鳴りに来たと言う主張すら証拠がない理由で西野の言い分を信じる警察って意味不明ですね。康子の主張は、ごもっとも。


    一度本性を明かしたら、徹底的に高倉を追い詰める辺り西野(実際は本当の西野ではないが)がサイコパス満載であり、終盤までその怖さは落ちないのですが、個人的にこの事件の終わらし方が腹落ちせずでした。


    たくさんの被害者が出ている中で、この終わりはないだろうと。高倉も何故固執しなかったのか理解できませんでした。何せ全く関係の無かった教え子まで失っている、妻も被害に合った、野上も失った中で何故引き下がるのか。ぐいぐい読ませて面白かっただけにこの点が個人的なマイナスでした。


    また、野上に対してもそんな設定いる?って思いました。完全な感情論ですが、純粋な正義感ある刑事にとどめて欲しかったです。


    更には、高倉と教え子燐子とのラブロマンスになりかける展開も?でした。あんな悲惨な事件に巻き込まれている中で教え子に癒しを求めてしまっている、ちょっと自分にもチャンスあるかも、とか思えるのか。思えるならば、余程動じない精神の持ち主か、ドエロなのかだろう。刺された康子は、ダブルパンチどころでは無かったのではないか(占いに傾倒する辺り、影響大の様に見えた)


    中盤辺りまでは、ホラーミステリー抜群ですが、総括として面白かった!となるには、事件の終わり方をどう捉えるかだと思います。

  • 不気味だが面白い
    読み進めると途中で止めることができなくなる(笑)
    一気に読んでしまいたくなる作品。
    ネットで面白い本探してて見つけたんだけどこれはアタリだったな〜

  • 凶悪犯矢島のすさまじいまでの殺害描写。ただ、矢島が行方不明になったあたりから、なぜか別の予感が・・・・?

  • 気味が悪い。
    引き込まれるほどに、嫌な感じでゾワゾワします。心理サスペンスと言うジャンルになるんだと思います。
     
    日本ミステリー文学大賞新人賞 受賞作

    隣の家の家族が何か変だと気になって・・・
    実は成りすましで・・・
     
    小説として面白いんですが、現実にあるだろうと想像すると怖い。
     

  • 隣に住む人の良さそうな人が実は…。ぞわぞわと滲み出てくる恐怖が読む手を進めさせます(*´∀`*)隣人は一体誰なのか。何が行われているのか。周囲で相次ぐ死傷者。凶悪な犯人を追い詰めていたはずが…?!ハラハラして面白い物語でした。でも、最後の終わり方は…賛否両論かも?

    映画化されて主人公が西島さん、奥さんが竹内結子さん、隣人が香川さんということで、私の中ではこのキャストで読んでいました(*´∀`*)映画も見たいなあ♪原作と違いはあるのかな?

  • じわじわくるイヤな怖さ。犯人の狡猾さ、残虐さにうわー、うわー、と思っているとラストでえ?(野上と矢島の最後が特に)となります。主人公の使えなさにもイライラしっぱなし。いきなり10年も経ってしまうのもすごい。読み終わった後のすっきりしない感じも含めて、タイトル通り。気になるところもあるけど、新人賞でこれはすごいと思います。

  • どなたかのレビューで面白そうだったので図書館へ。
    結構予約されてたからやっと読めたというところか。
    いやあ・・・
    コレは面白かった。
    ミステリーというかホラーというかなかなかに怖い。
    アタクシもご近所さんとの付き合いは薄いので誰かが入れ代わっていても気づかないかもなあ。
    面白かったのだが、ちょっと最後があっさりしていたかな。
    まあなんとなくあっさりと終わりそうな予感はあったんですけどね。
    この作者、初めて読んだと思ったけどKindleSinglesで読んだことがあったな。

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著者プロフィール

現在、関西学院大学理学部准教授・宗教主事。2010 年より日本聖公会京都教区ウイリアムス神学館非常勤講師。
著書『新約聖書解釈の手引き』(共著、日本キリスト教団出版局、2016 年)、『新約聖書の奇跡物語』(共著、リトン、2022 年)訳書E. ギューティング『新約聖書の「本文」とは何か』(新教出版社、2012 年)、R.カイザー『ヨハネ福音書入門―その象徴と孤高の思想』(教文館、2018 年)など。

「2023年 『今さら聞けない⁉︎キリスト教 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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