ココロ・ファインダ

著者 :
  • 光文社
3.58
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本棚登録 : 301
感想 : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928216

作品紹介・あらすじ

高校の写真部を舞台に、女子高生たちが構えるカメラに写るのはともだち、コンプレックス、未来、そしてミステリー。

自分の容姿に自信がもてないミラ、クラスの人気者カオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、そして誰とも交わろうとしないシズ。
同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、それぞれのコンプレックスと戦っていた。カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に不可解な謎が広がっていて……。
少女たちは等身大の自分を受け入れ、その謎に立ち向かう!

感想・レビュー・書評

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  • 「カタカナの魔術師」という称号を捧げたい、相沢沙呼さん!

    『午前零時のサンドリヨン』、『ロートケプシェン、こっちにおいで』では
    魅力的なマジック用語を交えながら、高校生たちの声にならない叫びを
    それこそ魔法のように鮮やかに描き出していたのが印象的だったのですが

    この本では、高校の写真部を舞台に、タイトルはもとより、
    各章のタイトルにも写真用語のカタカナをあしらって
    カメラのファインダを覗き込みながら自分を見つめ直していく少女たちを
    男性作家とは思えない筆致で描いています。

    どうしたって親友のようには可愛くなれない、と自分で自分を追いつめて
    好きな男の子の前でも自然に笑えないミラを描く「コンプレックス・フィルタ」

    「わたしらしさ」がわからなくて、自分には日の当たらない場所が似合うと
    諦めてばかりの秋穂を描く「ピンホール・キャッチ」

    いじめられていた中学のころの自分と訣別するために創り上げた
    お洒落で可愛らしいキャラクターに罪悪感を抱くカオリを描く
    「ツインレンズ・パララックス」

    優秀な子しか受け入れてくれない両親の期待を背負い、写真を続けたい自分を
    出来損ない、失敗作と責め、進路に悩むシズを描く「ペンタプリズム・コントラスト」

    カクカクとぎこちなく転がるような、カタカナの写真用語と
    上手にからめて描かれる謎と、コンプレックスの鎧。

    レンズを通ってからファインダーに届くまで、何度も何度も反射を繰り返す光のように
    あちらにぶつかり、こちらにぶつかりしながら
    想いが届くまで、伝わるまでもがき続ける少女たちがいとおしい物語です。

    • だいさん
      >各章のタイトルにも写真用語のカタカナをあしらって

      質問
      これ、タイトルから内容をイメージして、ドンピシャリ!なんですか?
      それと...
      >各章のタイトルにも写真用語のカタカナをあしらって

      質問
      これ、タイトルから内容をイメージして、ドンピシャリ!なんですか?
      それとも、読んでから、タイトルを顧みてグッとくるのですか?
      2013/02/26
    • まろんさん
      だいさん☆

      実は私、超弩級のメカ音痴で、目次で章のタイトルを見ても
      なにがなんだか、さっぱりわからなかったのです。
      本文を読むうちに、ほう...
      だいさん☆

      実は私、超弩級のメカ音痴で、目次で章のタイトルを見ても
      なにがなんだか、さっぱりわからなかったのです。
      本文を読むうちに、ほうほう、こういうことなのか!と感心しながら理解していったので
      まさに「読んでから、タイトルを顧みて」という感じでした。
      それでも、カメラの仕組みなど、哀しいかな、わからない部分がいっぱいあったので
      ああ、誰か理系の人、解説して!と心の中で叫びながら読みました。
      2013/02/26
  • 2020/12/20読了
    #相沢沙呼作品

    高校写真部の女子たちの青春もの。
    短編でそれぞれの視点で
    抱く悩みや葛藤を描いている。
    こういう本気系文化部ってのも
    なかなかイイな。

  • 女の子たちの日々の小さな悩みや些細な出来事。ずっと遠くなってしまったけれど、私だってそんなことに一喜一憂してました。

    連作短編集で、章が代わるごとに目線が代わり、友人から見た彼女たちの悩みを客観的にも見られひとりひとりの日常に愛おしくなるような思いを抱かされます。

    さらっと読めてしまったのだけど、じっくりと読み込んでみてもよかったのかもしれない。でもやっぱり遠い昔・・・かな。

  • ミステリを咀嚼し消化し溶かし込んだ青春小説。
    この作家は「ミステリ」という方便にこだわらなくても、もっといろいろ書けるのではないだろうか。うまい。よくできた連作短篇であり群像劇。

    『コンプレックス・フィルタ』『ピンホール・キャッチ』『ツインレンズ・パララックス』『ペンタプリズム・コントラスト』
    カメラ用語になぞらえたタイトルを持つ四篇。

    高校の写真部に所属するミラ子、秋穂、カオリ、シズの四人が、ときに主人公となり、ときに脇に廻りさまざまな役割を演じる。収録された四篇のパートが各人の内面を深く掘り下げているので、それぞれが影響し合い、『ココロ・ファインダ』という大きな物語の中で四重奏のようにハーモニーを奏でている。
    特に最終話で四人の想いが文字通り「絡まる」シーンはグッときたし、あらためてうまいと思った。

    始めは女子高校生の青春ストーリーが生々しく、ひりつくような痛みが伴い読み進めるのがつらかったが、第二話の半ば位からグイグイ面白くなってきた。
    高校卒業から遠く離れ女子ですらない我が身だが、思春期のアノ何とも言えない感情は、年代や道具立てや性別が違っても共通するものだと再確認。

    相沢沙呼さんって男性なんですよね。本当に「女子」を描くのがうまいなぁ、と思うのですが、実際の女子のみなさんはどう感じているのでしょうか。

  • とある方のブクログレビューに魅かれて手に取った1冊。
    柔らかなソフトフォーカスと温かみのある色合いの装丁に見とれてて気づく。
    …ローライフレックスだ!!!!(小躍り)
    表紙の写真が裏焼きになっているのが不思議だったんだけど
    あたしの読みが正しければ、その謎は本編を読めば解けるはず。

    4人の女の子の目線で語られる連作短編集。
    吉田秋生氏の『桜の園』を彷彿とさせる。
    実はそれぞれにちょっとずつ違う傷を抱えて悩み足掻く
    ミラ、秋穂、カオリ、シズがそれぞれに可愛らしくて愛おしくて
    思わずぎゅーっとしたくなってしまう(ホントにやったらただの変態だが)。
    過去に読んだ相沢作品にも巧妙に棘が仕込んであったんだけど
    今回の棘はキラキラしたガラスの破片でできてるんだ、きっと。
    傷をつける棘すら輝いている、というか。
    『その一瞬を、逃せない』という一文が、高校生という時期を象徴している気がした。

    カテゴリは『ミステリ』と迷った末に『青春小説』を選んだ。
    正統にミステリといえるのは
    カオリの章である『ツインレンズ・パララックス』だけだと思ったから。

    出来上がった写真を文章で見せるのは相当難しいと思うんだけど
    この作品は文章なのに写真の画を鮮やかに見せてくれた。
    撮影会の様子、ピンホールカメラの現像、補正ソフトの使い方…
    そういった描写を読むにつけ、改めてデジイチが欲しくなる。
    銀塩の一眼レフはどこかにあるはずなんだけど、どこ行ったかな…。

  • 高校写真部の女子部員4名の青春を綴った連作物語。
    心に引っ掛かる謎解きが終わると、あたたかい気持ちになる小説です。
    カメラの仕組みの解説も心の動きを説明する役に立てているところなんか憎いですね。
    こんなさりげなさで、普通の事を書いているように見えますが、女子高生の心がうまく描かれていて、どの作品もキラキラしています。

  • ミステリーというよりも、女子の友情物語に近い。ミステリーは軽いが、繊細な心の描写に男ながら、胸が一杯になった。みんないろいろな、一言では言い表せない悩みを持って学校生活を送っている。

  • あ~~ウマイなあ!!っていう感じ!
    高校生のころの考え方や人間関係ってこんな感じだよね!
    と読みながらあの頃に戻ったようでした
    主要登場人物のエピソードが一編づつあるという形態大好きです
    ミステリ要素も本当に良くて相沢先生は
    そのうち大きな賞を取りそうだな~って思います

  • 高校生、写真部のミラ、秋穂、カオリ、しず
    それぞれの四編からなる作品。
    自分らしいってどんなことなのか、自分を知りたくて
    自分を確かめたくて、十代は声高に生きる。
    かと思えば沈み込む。実に難しい年頃だ。
    あの楽しくて面白くて、だけど憂鬱で腹立たしい
    あの頃を思い出す。
    十代の女の子が、かつて十代だった女性が、
    読むと共感と反感の混ざり合った,
    どうしようもない塊が現れて涙を誘う。
    私は、あの頃と今の塊を鷲掴みにされた。

    相沢氏が男性だということに納得がいかないなぁ。
    どんなファンダーから覗けば、こんな風に見えるんだろうか。わかりすぎだ。

  • 写真部を舞台として描かれる女子高生達。彼女たちは撮影者なのか? 被写体なのか? ファインダーを通して見るように様々な心情が、肉眼では見えない心が見えてくる。
    友情。
    コンプレックス。
    未来。
    それとミステリィ。

    カメラを通して見えてくるものは美しいものだけではなくて--

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著者プロフィール

【相沢沙呼(あいざわ・さこ)】
1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2011年「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作、2018年『マツリカ・マトリョシカ』が第18回本格ミステリ大賞の候補作となる。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化(2020年公開)が発表されている。
本作で「このミステリーがすごい!」2020年版国内篇 第一位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング 第一位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリーの三冠を獲得した。

「2021年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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