光秀曜変

著者 : 岩井三四二
  • 光文社 (2012年11月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928568

作品紹介

明智光秀、六十七歳。織田信長、四十九歳。文武、芸術に優れながらも主君に恵まれず辛酸の半生を送ってきた明智光秀だが、信長と出会い、実力を遺憾なく発揮する。信長の横暴、肌の合わぬ秀吉との出世争いなど気苦労もあるが、常に全力で任務にあたり、家臣に信頼され、家族を愛する人物でありつづけた。その彼が、信長を討った。本能寺の変。山崎の合戦。刻々と変化する戦況にあわせ描かれる慟哭の巨編。

光秀曜変の感想・レビュー・書評

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  • 解釈がおもしろい。「あるかもしれない…」と妙な説得力を感じた。
    どんな人でも老いる。という紛れもない事実がとにかく胸を締め付ける。

    ぐったりするし、苦しくて辛くなるんだけど、読まずにはいられない。

  • 山ほどある本能寺関係で初めて見る展開だった。確かにこういう理由でもおかしくないかなと思うようによくまとめられていたかと思う。

  • 偶然ではあるが、明智光秀関連の小説を続けて読んでみた。
    こないだ読んだ「光秀の定理」とはかなり違った解釈である。

    確かにキレ者光秀がなんであんな無謀をしたのかって考えると理屈に合わないところがいっぱい出てくるのだろうことは日本史に疎い俺でも分かる。そこんところをどういう風に解釈していくのかが歴史研究家や歴史小説家のだいご味なんだろうな。

    **こっからすげえネタバレしますので要注意**

    この作品では、光秀の反逆は「ボケ」故と仮定して書かれている。1500年代の67歳なら立派な老人、そういうことも十分ありうるのは分かる。

    だが、歴史の謎について「あれはあいつボケとったからや」で済ますとなんとも味気のないものになりかねない。実際小説としてワクワク感があったのは「光秀の定理」で、こっちの方はワクワク感はほとんどない。定理が若かりし頃の光秀を描いている部分が多いことを除いて考えても、やっぱり楽しい小説としたら、こっちは全く歯が立っていない。

    だが、単に「ぼけ老人の徘徊行動」として読ませないのはさすが。呆けた光秀の行動の裏に何があったのか、末期光秀の崩れゆく思考の中にどんな想いが潜んでいたかを読むにつけ、なんだか他人事とは思えなくなる。

    「楽しい小説」ではないし、ページを繰る手もウキウキなんてしてられないが、決して「ぼけ老人の徘徊行動」でしたを安直なネタとして使っていない。むしろそのやや反則気味なネタを使って、小説としてどう構成したのかを味わう小説でもあり、身内が老いた時や自らが老いた時を想う小説でもあった。

  • 父に薦められて読んだ。
    父は絶賛していたけれども、視点は新しいと思ったけど、なんというか「おもしろい小説」という普通な感想までだったなあ僕は。

  • またまた光秀謀反の新説です。本作は「光秀は惚けていた!」
    ホンマかいな。本能寺の変時点で光秀は67歳だったとする資料が有るそうです。そこから先は著者の想像(創造?)ですよね。
    年齢から来る将来の脅え、まだ小さい息子たち、信長との確執、に自身のボケから発作的に謀反に及んだ、だから計画性が全くない。有名なお御籤を何回も引いたと言う逸話もボケてたから。
    う~ん、説得力有る?
    本作はボケ一本に絞って光秀謀反を描いていて、秀吉の暗躍、公家の陰謀等は一切無し!着眼点は面白いけど老いた光秀はちょっと・・・。やっぱり若くて躍動的な光秀、「国盗り物語」の光秀(近藤正臣ね)がいいなぁ~。

  • 明智光秀が高齢だったということに着目して、全編に渡り、徐々にぼけていく様子、そして、自身が高齢であるのに、嫡男がまだ子供で元服もしていないため、自分も引退できないし、行く末が心配な老人ということが描かれています。

    明智光秀は優秀な武将として描かれることが多いですが、この本では優秀な武将であったが、だいぶぼけてきた、ということが前面に出ています。

    その姿が痛々しく、非常に哀れに感じます。
    そして、自分も本当は隠居したいと思いながらも、子供がまだ若いので、引退できない。だから、織田信長に嫌われないようにしようと懸命に生きています。

    少しでも心証をよくしようと懸命に貢物を考える様子が非常におもしろいです。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-a99a.html

  • 光秀と関係者の、本能寺の変の前後を描くお話。
    光秀さんて、本能寺の変のときは67歳だったのね!
    うーん、今まで見たドラマではもっと若々しい俳優さんが演じていたので、ちょっとびっくり。
    本作は、老いに苦しむ光秀さんが描かれている。
    ここのところ、光秀には大義名分があったとする信長誅殺説ばかり読んでいたせいか、ちょっと拍子抜けしたけど、そうか、こう考えることもできるのだな、と。
    それにしても老いた光秀、諸将に見放されていく光秀が哀れ…。
    章のタイトルの意味がずっとわからなかったけれど、最後に細川幽斉が曜変天目茶碗を見て光秀を連想したところでようやくわかった。
    幽斉、光秀に味方してやれば良かったのに!

  • 「小説宝石」に連載された6章の単行本化。

    テレビドラマのイメージで、明智光秀は織田信長より若いと思っていたが、
    実は20才ほども上で、本能寺の変は67才の時だった。

    作者は、本能寺の変は理知的な光秀の行動としてはおかしいと思い、その原因を光秀の「ぼけ」だとしている。

    書かれている症状は、最近のことを忘れる認知症。しかも、どんどん進行する。信長が自分を殺そうとする幻覚を見て、信長を殺すことを決断した。これは、ルビー小体型の認知症じゃないのか。

    本能寺の変の直後の山崎の合戦からと、変の3年前からとの2つの時系列が交互に書かれるので、いささかわかりにくいが、光秀の性格、とりまく家臣たち、織田家中で置かれている立場、がよく描かれている。


    以下引用
    「 光秀は七十近い老齢なのに、跡継ぎの子はまだ幼い。そして信長との間柄は、どこでしくじったのか、以前ほどうまく行っていなかった。そのまま大名として家をつづけられる、ずいぶんとあせっただろう。
     その結果が本能寺だ。ひとりの老人のあせりが天下を覆したのだ。」

    『光秀曜変』というタイトルも、焼く間に予想のつかない不思議な変わり方をする「曜変天目」茶碗から取られているし、各章のタイトルも茶碗ができ上がっていく過程から付けられている。

    最後に細川幽齋(本作中では長岡兵部と表記)が、光秀を「曜変天目」になぞらえているが、作者の気持ちでもあるのだろう。

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