碧空(あおぞら)のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート

著者 :
  • 光文社
3.35
  • (8)
  • (77)
  • (110)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 486
感想 : 86
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928704

作品紹介・あらすじ

音大卒業後、航空自衛隊の音楽隊に入隊した鳴瀬佳音は、定期演奏会などの任務に向けて練習に励んでいる。自衛隊という未知の世界に戸惑いつつも鍛えられていく。ある日、「ふれあいコンサート」で使う楽譜を用意したところ、佳音が担当するアルトサックスのパートの楽譜が楽譜庫から紛失していた。いったい、どこに消えたのか?ちょっとドジな佳音が呼び込む不思議な"事件"を、仲間たちとともに解決する!テロや大停電などをテーマにしたクライシス・ノベルで注目を集める著者が、軽やかな音楽ミステリに挑む意欲作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『航空自衛隊』が舞台となると
    どうしても有川浩さんの作品と比べてしまいがちだが
    この作品はむしろ『中央音楽隊』に重点が置かれている印象だった。
    登場人物たちのアイデンティティも『自衛官』というよりは『ミュージシャン』。
    一応ミステリ仕立てなのだが、日常の謎を解いていく感じで
    大崎梢さんの成風堂書店シリーズに雰囲気が似ている。

    『ギルガメッシュ』は新しすぎてよく知らない(爆)のだが
    『キャンディード』とか『アフリカン・シンフォニー』とか
    個人的に懐かしいワードがごろごろ出てきてウハウハだった(笑)。
    ただ、どなたかのレビューにも書かれていたが
    アルトサックスやフルートなどの木管パートの人しか出てこなくて
    登場パートに偏りがあるのはちょっと残念だった。
    (とはいっても自分がやってたパーカッションは出てきたんだけど)

    先に書いた通り、日常の謎解きが多い印象なので
    読後は概ね微笑ましい感じだった。
    それにしても佳音の鈍さは国宝級(笑)。あそこまで気づかないとは。
    いくらゴリラとはいえ(失礼)あのまんまじゃ渡会くんが不憫で仕方がない。

    『ZONE』を読んだときにも感じたのだが
    流石女性というべきか、福田和代さんのキャラクターに対する目線は
    とても優しくて暖かい。
    そして、まだまだこの人たちの物語を読みたいと思わせる纏め方をする。
    岩倉梓の物語然り、成瀬佳音の物語然り。
    続くのだろうか。
    というか続いてほしいと思う。

  • 主人公の目線から、軽やかで爽やかに、個々のキャラクターの機微や感情を細かく、でも長たらしくなく表現されていて、読みやすかったです。

  • 先日、航空自衛隊航空中央音楽隊の定期演奏会に行ったばかりだったので、興味をもって読んでみました。
    なかなか面白いですね。自衛隊の話なので、もっと自衛隊自衛隊しているかと思いきや、文中にもありますが、大学の合宿或いは寮の延長のような描写が興味深いです。
    本文中では、東日本大震災の影響で、創立50周年の定期演奏会は翌年に持ち越されたと有りましたが、空飛ぶ広報室にもあったように、東日本大震災を巡るエピソードが有ると良いのにと思いました。

  • 自衛隊、音楽、ミステリそしてラブが程好く混ざっていて軽く読める話(^^) ちょっとドジでお茶目な主人公の佳音が鋭く(?)事件を解決!渡会くんとのその後も気になるし、続編が出るといいな♪個人的には安西夫人がお気に入り(^^)d

  • 今までの福田小説とは全く違った新しい魅力に満ちた一冊。
    自衛隊、という堅いイメージの舞台の中でこんなにも軽やかに「中の人」を描き出せるのはやはり福田さんの日頃の取材力のなせる技。
    自衛隊の音楽隊、というのはなかなか普段接することはないけれど、それでも誰もが一度はあの一糸乱れぬパフォーマンスを目にしたことはあるはず。
    その知っているようで知らない世界にいる人たちの生活にとても親近感を持った。
    そしてなんというか、「音楽+謎×時々恋=最強」なのだ、とあらためて思った次第。
    登場人物もとても魅力的でぜひとも続編をおねがいしたく!!

  • 航空自衛隊の音楽隊のアルトサックス奏者が主人公の話。とは言っても重い話ではなく、青春モノ、恋愛モノ的な要素が強いかな。楽しく読めました。

  • 自衛隊の音楽隊を舞台として、日常の謎を解いていく短編集。

    読み進めるといつの間にか事件が終わっている。

    主人公の年齢はもう少し若いような印象であったが、実際はそうでもなかった。

  • 自衛隊に音楽隊があるなんて
    知らなかった・・・といったそばから、
    幾つかの記憶が蘇る。
    確かに人生のふとした瞬間に、
    その風景を見たことがある気がする。
    直接遭遇したわけではないけれど、
    たぶんテレビで、ニュースで目にしたことがある。
    主人公はその自衛隊の音楽隊、
    正式には航空自衛隊航空中央音楽隊の
    アルトサックス奏者。

    自衛隊の宿舎で暮らす。
    規則正しい生活のはずが、
    朝が弱くギリギリにならないと起きない。
    慌ただしく身支度をして、
    朝食も摂らずに庁舎に駆けつける。
    妙齢の女性だけれど、化粧もさぼり気味。
    それだけ聞くと、
    ガサツでだらしない人みたいだけれど、
    音楽にかけるまっすぐな想い、
    他者に寄り添う気持ちの純粋さはピカイチ。

    物語はそんな彼女が巻き込まれるトラブル、
    日常的なミステリを解決するもの。
    自衛隊の日々やメンタリティを知ることもできる。
    同僚をはじめ周囲は
    彼女の天然っぽいところをからかいながらも、
    可愛がってる感じが伝わってきて
    こちらまで温かい気持ちになる。
    愛されるよな、こんな子がいたら。
    面白い物語と出会うと嬉しい!

  • 私、ほんまに音楽方面には疎くて………。

    楽器の名前を聞いても、その楽器がどんな形なのか、それどころかその楽器の音色がどんななのかもサッパリ分かりません…。
    ちゅうような人が読んだ音楽隊のライトミステリ。
    面白かったんやけど、正直文字を追っていただけのところがある。あんまりにも知識がなさすぎて、文字からいろいろなものを想像する力が私にはなかった。(;^ω^)

    でも、続編があるようなので読んでみようかな。

    音楽をやってる人って、当たり前のように音楽が身近にあるよね。
    演奏することにためらいがないというか?

    私は人前で歌うことも皆無やし(by音痴)、本を読むときは無音がいいので、音楽を聴くということもほぼない。
    そのせいか、音楽というものを通して見える世界が全く想像できないなあ。うらやましいです。

    ほんで、バリバリ体育会系、団体競技の鬼やった私ですけれども、こういったオーケストラ? それぞれの楽器のパートがあってみんなで演奏する? ようなセッション? のときに(すいませんそういう言い回しが適切なのかどうかすらわからん)、主旋律をかなでないパートっていうのも、あるよね?

    たぶん、楽器によっては、主旋律をほぼならさないものもある? よね?

    正直、それで、いいの? と、思ってしまう素人。
    みんながみんな、主旋律をやりたいもんじゃないの? それ以外の楽器を敢えて選ぶ良さは、何なんやろうね。(*´з`)
    これは純粋な疑問。

    ちなみに私は主に6人でやる球技を長い事やってるんですけれども、花形のエースポジションではなく、「縁の下」の代名詞なセッターでもなく、直接点数にはつながらないポジションを愛しております。
    そういうもんなんかな?



    引用、それも、わかる。
    私はスポーツを通してそう思ってる。練習時間は試合の数百倍。ほんで、それが結果につながるかどうかすらわからん。
    それでも、万が一、億万が一、努力が目に見えて結果となったときの快感が忘れられなくて、ほとんど無駄って思えるような努力を積み重ねてる。

    スポーツではそれができるのに、さあ人生でそれをやれといわれると
    なんで、私ばっかりが…
    って思ってしまう。

    おかしいなあ。欲張りなんかもなあ。スポーツではできるのに、どうして人生ではできひんねやろう。
    スポーツだって、こういった吹奏楽だって、全部人生の縮図のような気がするのに。
    誰がどう見ようと、誰かがどう番付をしようと、その瞬間、主役は、私なのだ。

    だから、「何もかもに完璧である必要はない」んやろうな。
    まだまだそれを口にできるほどには、経験が足りない。


    ■■■■


    ■恬淡 てんたん

    あっさりとしていて、名誉・利益などに執着(しゅうじゃく)しないさま。


    ■霊妙

    人知で測り知れないほど、すぐれていること。神秘的な尊さをそなえていること。


    ■定規筋

    筋塀(すじべい)とは、定規筋(じょうぎすじ)と呼ばれる白い水平線が引かれた築地塀のこと。


    ■足部間



    ■ノーブレス・オブリージュ

    身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。

  • 爽やか!
    読んでいて青空が感じられた

全86件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

福田和代一九六七年、兵庫県生まれ。金融機関のシステムエンジニアとしての勤務を経て、二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。主な著作に『TOKYO BLACKOUT』『ハイ・アラート』『怪物』『迎撃せよ』『潜航せよ』『生還せよ』『繭の季節が始まる』『梟の一族』など。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福田和代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×