彼女の家計簿

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929251

感想・レビュー・書評

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  • 働く女性たちへの応援歌と言ったらいささか言い過ぎだろうか。
    古い家計簿から始まった女性達の物語は思いもしない方向へ展開していった。
    シングルマザーの里里、NPO法人代表の晴美、そして家計簿を記した加寿。
    彼女たちの必死に生きる姿、働く姿、それぞれに物語がある。
    苦悩を抱え見て必死にもがきながら、それでも前に進んでいく姿にジーンとくる。
    一人として男性に依存している女性が出て来ない潔さもまた良い(笑)

    ミステリーかと思わせる展開にもグッと引き込まれ複雑な構成にも破たんがない。
    よどみのない滑らかな文章はまたすごい作家が出てきたなという印象を持った。
    ただ、謎の多い祖母と軋轢のある母親というと角田さんの「私のなかの彼女」が頭に浮かんだ。角田さんに比べるとどうしても浅い。
    もうちょっと母親との確執を掘り下げて欲しかった。
    でも一般受けするのはリズムがあってぐいぐい読ませるこちらの作品かもしれない。
    好みの問題かな。

    いずれにせよ、大変面白く読めた。
    さっそく以前の作品も図書館に予約しました。楽しみ♪

    • フーミンさん
      vilureefさんこんにちわ。

      いつもレビュー楽しみに読んでいます。vilureefさんのレビューはどれも興味がわくものばかりで、今...
      vilureefさんこんにちわ。

      いつもレビュー楽しみに読んでいます。vilureefさんのレビューはどれも興味がわくものばかりで、今回もその中のひとつ『彼女の家計簿』読みましたー!

      すっごく良かったです♪

      私も母親の朋子との確執をもっと読みたかったです。だけど、そんな事抜きにしても心に響きました。

      素敵な作品に出会えるとテンションあがりますね~☆

      でわでわ。
      2014/10/23
    • vilureefさん
      フーミンさん、こんにちは♪
      花丸&コメントありがとうございます(*^_^*)

      この物語、とっても良かったですよね。
      加寿の思いが受...
      フーミンさん、こんにちは♪
      花丸&コメントありがとうございます(*^_^*)

      この物語、とっても良かったですよね。
      加寿の思いが受け継がれるといいなと思いながら読み終えた記憶があります。
      原田ひ香さん、ぐいぐい読ませてくれますよね。
      最新作はちょっと軽そうなのでパスですが、これからも追いかけて行きたい作家さんです。

      私の拙いレビューが少しでも参考になっているのだとしたら嬉しいな。
      とはいえ、最近ちょっと読書停滞気味ですが。
      井上荒野さんの新作の順番が回ってきたようなので、ちょっと楽しみです♪
      2014/10/24
  • なんか…すごく良かった…。
    もう終盤の方は涙ぼろぼろでした。感動というのとちょっと違うんだけど、時代を超えた女達の生き様にぐっとくるものがありました。

    ちょうど今の自分の年頃が里里と重なって、私にも戦争の時代を生きてきた祖父・祖母もいるので自然と話に入っていけました。

    家計簿のちょっとしたメモから垣間見える加寿の生活。喜びや悲しみ、希望や不安が伝わってきて、会った事もない祖母との血の繋がりを感じることができた里里。シングルマザーという社会的弱者でありながら強く生きようと必死な姿は勇気をもらえます。

    自立支援団体の代表をしている三浦晴美もまた、女であるという性で傷ついた過去がある女性。その傷に呑みこまれないように必死に気を張って生きている姿にも心打たれました。

    決して女だけが弱い立場という訳ではないですが、女ってやっぱり甘えたいし、守ってもらいたい訳ですよ。

    晴美が昔つきあっていた永田義道と再会して、過去に囚われたままなのは自分だけなんだと、はっと目が覚めるところは切なかったけど良かったです。

    久しぶりに短時間であっという間に読み終えた作品でした。

  • シングルマザーの里里の元に、祖母のものと思われる古い家計簿が届けられた。送り主は、祖母の家の跡地で女性の自立を支援する団体の代表晴美。
    存在を知らなかった祖母の家計簿から、里里が見つけたものとは。
    葛藤してきた晴美の過去とは。

    戦中戦後を生きた加寿、職を失った里里、立派な仕事をしていると言われることに違和感を感じ続ける晴美。
    3人の女性の姿を通して、働くことへの生きがいを持つこと、人生はやり直せるのだということが語られています。

    家計簿の中でしか語られないですが、加寿さんが素晴らしい。
    その血を分けた朋子ですから、頑なな心をいつかは溶いてくれるのではないかと期待したいです。

    それぞれの未来が明るいものであろうと思える終わり方で、読後感はかなり良好。
    やっぱり原田ひ香さん、大好きです。

  • 途中からぐいぐい引き込まれて、少しだけでも時間ができると必ずページをめくっていました。
    戦中戦後などの食事の様子なども知る事もできました。

  • プライベートとの折り合いなどで罪悪感を抱えながらも「頑張って働く女性」が話題になるこの頃。最近だけの話という印象が強いが、いつの時代も女性は働いてきたのだと再認識させられた一冊。
    今も昔もいろいろ折り合いをつけながら、罪悪感を抱えながら女性は働いてきたのだ。「だから、私も頑張ろう」とは感じさせず、「女は結局、こういう生き物なのだろう」とニュートラルな気持ちにさせてくれた。本書は、「頑張らなきゃ」という気持ちに客観性を与えてくれた。

  • 図書館でぱっと目について借りる。

    シングルマザーの里里。
    戦時中を生きた里里の祖母と思しき加寿。
    加寿が全面的に援助した女性向けNPO団体の
    代表の美晴。

    里里は祖母は男と心中したと教えられて成長し
    母はそれが原因なのか娘に対しては無関心で
    愛情のかけらもない態度を示す。

    里里は祖母のことなどまったく知らなかったが
    美晴がNPO団体の荷物の中で見つけた加寿の
    家計簿を里里に送ることで物語が始まる。

    謎を追いながら物語が進むのと
    戦時中の家計簿というその当時の様子を
    垣間見られる内容と現代における女性たちの
    いろいろな悩みや問題をうまく絡めてあって
    あっというまの読めてしまった。
    そしてとても面白かった。

    里里の母親との確執も少しだけとけかけ、
    里里のシングルマザーとしての暮らしにも
    美晴という頼れる友人ができて安定してきて、
    美晴も過去の重い事実を乗り越えて一歩進もうとする。
    とても前向きで明るい物語だった。
    またこの作者の新刊が出たら読んでみたいと思った。

    新しい作家さんの本だと流行り物やおいしそうな
    ご飯風景などを適当におりまぜて軽いみんなすきそうな
    話を作りましたーって感じの本も多い中、とっても
    重厚で作りこまれた話でとてもよかった。

  • ある女性が残した家計簿。そこには「男と駆け落ちして心中した女」の秘密が隠されていた…

    「クローズド・ノート」を読み終えたばかりで、次に何を読もうかと図書館を物色中に手に取った一冊。
    ノートと家計簿の違いはありますが、ある女性が残した強い想いと、それを受け取る女性、そういう大きいくくりでの共通点を感じながら読みました。

  • 2015.5/9 表紙借り。冒頭の里里の、我が子の病状?に対する不安感に掴まれる。そして里里が回想する彼女の母朋子の真逆さに、その理由を知りたい思いでページをめくらされる。存在を知らなかった祖母加寿さんの家計簿から浮き上がる戦時下前後の暮らしや、NPO代表の晴海さんとの絡みも不自然なくがーっと読んだ。良かった。加寿の『あんまり叱っちゃだめよう、そんなに叱ると、会えなくなった時に後悔する』の言葉、心します。

  • すごく面白かったという訳ではないけど、読み進めていくうちに先が知りたくなる気持ちが強くなり、一気読みした。
    疎遠だった祖母、祖父、母の子供の頃を知ることができて良かったね。
    みんなそこまで悪い人じゃなくて良かったね。
    シングルマザーになる人の気持ちは理解できないけど、里里さんも啓ちゃんも仕事だけでなく心が安定した生活ができるようになればいいな、と思った。

  • 戦中戦後の家計簿を巡る女性の生き方を描いた物語。
    義母の面倒を良くみつつ銃後の守りを務めた、良妻賢母を思わせる家計簿をつけた人。
    幼子を残し一人で男と駆け落ちをし、最低と言わしめた主人公の祖母。
    風俗や水商売を経験した女性の転職を支援するNPOに多大な協力をしてきた定食屋の女性。
    彼女らの関係はいかに?

    そして、女手一つで子供を育てる主人公と、NPO法人運営に全力傾注するもう一人の主人公、彼女らの生き様はいかに。

    女性の社会進出云々と言われて、一体何十年たつのか?今や女性が働かずして日本は立ちいかないという状況なのに、いまだその就職や転職が不利な事実。まだまだ閉塞だらけの社会状況を踏まえた上で読むと、いたたまれなくなる部分もある。でも作者の筆が、たくましく生きてきた、そして生きている女性をしっかり描けていて、「やっぱおかんはスゲーなぁ」と感心しきり。

    強いわ、女は、やっぱ

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プロフィール

原田 ひ香(はらだ ひか)
1970年、神奈川県生れ。2006年、NHK 創作ラジオドラマ脚本懸賞公募にて最優秀作受賞。2007年、「はじまらないティータイム」ですばる文学賞を受賞してデビュー。著書に『東京ロンダリング』『三人屋』『母親ウエスタン』『虫たちの家』『ラジオ・ガガガ』『ランチ酒』などがある。
(2018年5月10日現在)

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