冬天の昴

  • 光文社 (2014年3月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929312

冬天の昴の感想・レビュー・書評

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  • 深い闇を抱える遠野屋の主人清之介と、心に虚空を抱える同心木暮信次郎、それに岡っ引きの伊佐治とが織りなす『弥勒』シリーズ、ますます目が離せない。
    今回は、心中事件の裏に隠された闇の謎を解明すべく、信次郎が大車輪。
    遠野屋清之介もも、今回に限っては恰も端役のごとくである。
    しかし、このシリーズの見どころは、それぞれの事件の謎及びその解決というより、主役3人の関係というか、それぞれが絡む丁々発止に魅力がある。
    なかでも、今回は132頁。
    信次郎の煽り立てに、清之介が応じてしまい、危機感を抱いた伊佐治が、二人に熱い茶をぶちまける。
    3人様の最大の見どころと言っていいか。
    商人としての清之介の足元を掬いかねない信次郎の言動に、清之介が破たんするのではと、ハラハラしながらこのシリーズを読み進めてきたが、最近は清之介の態度にも自信と安定が見えてきた。
    繰り返すが、ますます目が離せない『弥勒』シリーズ。

  • 弥勒シリーズ五作目。
    今回木暮同心の愛人お仙さんの過去の事件から。お仙さんは実は武家の嫁だったのですが、夫は遊女と無理心中に見せかけて殺されていたのでした。とは言うものの、当時は心中事件としてお家取り潰し。お仙さんも流れ流れて今や品川の旅籠の女将。
    ところが同じような事件が勃発。真面目一筋だった同心の部下が無理心中したと。
    そこで十年以上も前の事件と結び付けて考えるのが木暮同心。今や商人の清之介を用心棒としてこき使うし、伊佐治親分との喧嘩手前のやり取りに、相変わらずのSっぷりな態度。底の知れぬ闇を抱えているかと思うと実はいい人?と思わせるところがたまりません。こんな人に惚れたら大変だろうなと思います。

  • 大和言葉は本当に美しい。それを堪能させてくれる弥勒シリーズ。男の業女の情念 人として生きるという事..それを謎解きに絡めて物語る。同じ人の業について時代物を通して書く高田郁さんは とことん男と女の性を突き放して書かれるが あさのさんは真逆で 妖艶で濃く情念を突き詰めて書かれる。私は あさのさんの青春物はあまり読まない。この方の真骨頂は この弥勒シリーズにこそあると思う。

  • 素晴らしい、絶品。
    ここのところの時代小説のイチオシがこの【弥勒の月】シリーズです。
    初巻の橋の上で清之介(清弥)とおりんが出逢うシーンから惹きつけられ、この巻までずっと読み続けてきました。
    かつては暗殺者だった清之介は今は江戸でも名の知れたお店の主人、そして、清之介と深い関わりを持つ定町廻同心木暮信次郎、共に剣の手練れであり、戦えば互角の腕を持つ二人は心に〝闇〟をもっている。
    事件が起これば鋭い勘で謎を解く信次郎だが、およそ人としての情や優しさといったものはない。
    対して、清之介はかつて躊躇いなく人を殺した鬼であった自分を恥じ、まっとうな商人として生きようしている。
    ―止めときな、お前は絶対に真っ当になんぞ生きられやしねえよ。お前は死を呼ぶ人間なんだ。
     そんな清之介に対して、執ように絡んでくる信次郎は、清之介に対して、どのような感情を抱いているのか?
     およそ人間に興味を示さない信次郎が唯一、興味を抱くのが清之介なのだ。
     この二人の掛け合いを信次郎の配下である老練な岡っ引きの伊左次が見守る。
     おそらく、読者は伊左次の視点で物語りを読みすすめることになるのではないか。心に深い闇を棲まわせた若い男二人が真剣勝負するその時、何が起き、どちらが生き残るのか?
     伊左次と共に読者は、二人の戦いの先にあるものを見極めようとするに違いない。
     この遠野屋の旦那がまた文中にもあるように〝良い男〟だ。容姿も今風に言うならイケメン、どこかに孤独な過去と翳りを滲ませ、自分を人殺しという闇から救ってくれた女房をおりんを一途に愛している。
     だが、おりんは、もういない。
     この巻で、私は更に清之介のファンになった。およそ無感情な信次郎より、過去にあがく遠野屋清之介の方が倍も魅力的だ。
     これから清之介に新たに愛する女性が出てくるのかどうか、そういった面でも期待できそうで、読み終えたばかりだが、早くも続きが待ち遠しい。
     あさのさんの現代物は読んだことがないけれど、間違いなく時代小説の名手といえる作家だと思う。
     

  • 「親分、心など捨てちまいな、邪魔なだけだぜ」たった独りで、人の世を生きる男には、支えも、温もりも、励ましも無用だ。武士と遊女の心中は、恋の縺れか、謀か。己に抗う男と情念に生きる女、死と生の狭間で織りなす人模様。

  • 遠野屋さんが、カッコいい。

  • 弥勒の月、第五弾です。

    「バッテリー」なんかの青春もので人気のあさのあつこ氏の、推理時代モノ。
    青春ものもいいけど、私はこのシリーズが一番好きです。

    人物の魅力さ、話運びのウマさ、ほんと一気に読める面白さ。
    読みながらやっぱり読み進めるのがおしい。続きが気になる一冊です。

  • 弥勒の月シリーズ最新刊。相変わらずぐいぐいと引き込んでくれるのであっという間に読了。信次郎、清之介、伊佐治の遣り取りが剣呑でありながら何故か心地良い。
    信次郎の口から「俺の女だ」という台詞が出てきたときには一瞬呆気にとられた。

  • 弥勒シリーズ最新版。今作の中心は清之介というより、定町廻り同心の木暮信次郎を中心に話が動いていく。
    同僚の心中事件から、自分の馴染みの旅籠の女将の夫が、かつて同様の手口で亡くなっていることにつながりを感じ、調べ始める。事件性を見事に見抜き、鋭い観察力で皆が気付かない部分も疑問を持つ信次郎。そして真実へとたどり着く。清之介ではないけど、信次郎の頭の中を覗いてみたいと思いながら読みました。

  • 『弥勒シリーズ』も、5弾目になりました。
    殺し屋として育てられながらも、商人となった東野屋清之介。
    その清之介の奥に潜む闇を面白がる(?)同心の木暮信次郎。
    そして、二人の間で翻弄される岡っ引きの伊佐治。
    この三人の関係性が、時を追うごとに心地よく感じられるようになりました。
    どこか、ピンと張りつめていたものが、ちょっとゆるんだ気がします。

    清之介に嫌みたっぷりな同心・信次郎ですが、清之介の力を
    一番信じ、頼っている感じが良かったです。
    その気配は微塵も見せませんが……

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