暗い越流

著者 :
  • 光文社
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929336

感想・レビュー・書評

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  • 葉村シリーズですが、受賞した「暗い越流」を出すための短編集なので、継ぎ接ぎ感が強いです

    2本目と3本目は、相方が同じの別人の話で同じような結末
    4本目は独白形式で一番ブラック

    1本目と最後が葉村シリーズ
    最後の話で、今後に続く設定が固まるそうです

    今後、「依頼人は死んだ」の謎の人物は、「悪いうさぎ」で活躍した人たちは、触れられるのか触れられないのか気になるところです

  • 短編5作。葉村晶モノと、そうでないものが混在。

  • 不運続きの女探偵、葉村晶は
    群馬県、伊香保温泉近くの洋館に
    母の遺骨を取りに行ってほしいとの依頼を
    受けるのだが、そこは地元でも有名な
    心霊スポットだった…(蠅男)

    「蠅男」「暗い越流」「幸せの家」
    「狂酔」「道楽者の金庫」の五話収録。

    葉村晶シリーズだったのか!と
    最近知って喜び勇んで読んだら
    全編が葉村シリーズではないのですね…
    逆にそう思い込んで二作目を読んで
    しまったので「あれ?あれ?」と
    違う意味で驚かされました。

    「暗い越流」「幸せの家」はちょっとラストが
    似てませんかね…
    葉村さんは相変わらず満身創痍で
    気の毒なんですがいつも通りで安心してしまう…
    「狂酔」は「酔狂」ではなくまさに「狂酔」。
    オチは読めましたがゾッとしますね…

  •  若竹七海さんの約3年ぶりの新刊である。失礼ながら、キャリアの割に知名度は高いとは言えず、近年は寡作気味。そんな中、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞短編部門を受賞したとのニュースが流れたのが昨年のこと。

     そして今年、「暗い越流」を含む5編を収録した短編集が刊行されたのだった。近年はライト路線が続いていたが、久々に超ビターな若竹節が味わえる。これってコージーの範疇に入るのだろうか。僕はただただ苦笑いするのみであった。

     「蠅男」。若竹ファンにはおなじみの女探偵・葉村晶が登場。群馬県は伊香保温泉近くの洋館に遺骨を取りに行くだけのはずが…。彼女には悪いが、コメディにしか思えん。タイトル通りとだけ書いておく。幽霊の正体見たり…よっぽど恐ろしいじゃないかっ!!

     「暗い越流」。死刑が確定した男へのファンレター。その意図とは。現実にもよく聞く家庭事情の数々。ちっとも笑えないシチュエーションだが、なぜか顔が引きつる。やや詰め込みすぎだが、よく短編に収めたな。そしてまたこの手に引っかかった…。

     「幸せの家」。やり手の雑誌編集長が転落死。殺人を疑い、取材を装って調べてみると、現実にも聞くような聞かないような…。雑誌の休刊・廃刊が相次ぐご時世とはいえ、いつまでもこんなこと続けられるわけがない。オチはちょっと読めたかも。

     「酔狂」。途中はどうでもよいと書いたら怒られるか。最後の一文が命の1編と言い切ってしまおう。男のくどくどした独白に飽きてきたところで、嗚呼、こんなネタが炸裂…。笑うべきか笑わないべきか。一応願いが叶ったのかな、これ。

     「道楽者の金庫」。再び女探偵・葉村晶が登場。福島県の別荘にこけしを取りに行くだけのはずが…。事件の内容はともかく、こけしがずらりと並んだシチュエーションは想像するだけで怖い。こけしも古書も、マニアの世界はディープですねえ…。

     若竹流ミステリの一ファンとしては楽しめたが、一般読者は楽しめるだろうか。これで遂にブレイク!! ということはないだろうなあ、やっぱり…。猫島シリーズ辺りをもっとプッシュしてはどうだろう。しかし、本作こそ若竹七海の真髄なのである。

  • 葉村晶を読みたかったので。
    短編5編中2作に登場。
    日本推理作家協会賞の短編部門受賞作も収録。

  • 短編集。
    取り急ぎ、葉村晶シリーズの「蝿男」と「道楽者の金庫」のみ読んだ。
    葉村晶シリーズ、長編だとじっくり読み込めるし、短編だとキレがよく味が濃いという、稀有なシリーズ。
    この二編も晶がかっこよく、また不幸なめにあっていて面白かった。
    残りはまたの機会に。

  • 若竹七海の短編集。
    読み終わって面白かったが、印象には残らなかった。

  • 短編集。
    最初と最後の話が葉村晶。
    「幸せの家」ていねいな生活をうたう女性誌が舞台なんて、イジワルな話。

  • 図書館に予約したのはいつか忘れるほど前で、今頃読むくらいの人気作だった。
    返却時の延長は認められません、と言うピンクの紙がはさんであった。
    このごろ短編集ばかり読んでいる気がする。題名どおり暗い話が5編収まっていた。

    「蠅男」
    亡くなった祖父の家に置きっぱなしの母親の骨壷を取ってきてほしいと依頼される。葉村晶はフリーで探偵業をしている。群馬の伊香保温泉の奥に建っている寂びた家に行くと、ライターの朝倉が腐乱死体で転がっていた。ということで心霊スポットや、土地開発やらが絡んだ話。

    「暗い越流」
    これが受賞作。
    死刑囚にファンレターが届いた。5年前、犬が吠え掛かかったというだけで犬もろとも飼い主を轢き殺し、通りかかった4人を巻き込んではね、ロータリーデバスと衝突して、運転手と乗客が亡くなり重軽傷者も出たという残虐な事件だった。
    手紙の差出人を調べると、犯人の近くに住んでいた山本優子という女性だった。だが彼女は5年前の台風の日に家を出て行方不明だった。私はその捜査をすることになる。
    父親は老母の介護で家出した娘を探すどころではなかったと言う。
    私のところにも老いた母がいる、口やかましい母のせいで妻と娘は家を出て行った。
    優子はどこにいるのか。
    手のかかる親がいる家庭の重苦しさが底辺になったところが、現代を反映しているが、短い話なのであまり工夫はない。
    死のうとして失敗ばかりしている「死ねない男」の話が利いている。

    「幸せの家」
    小さな雑誌の編集長がいなくなった。彼女が一人で切り回してきた特集は次号まできちんと企画が出来上がっていた。
    女号の企画と言うので、読者から選んだ若い主婦の自慢の鍋料理を取材に行く。老人のいるらしい家庭もある。
    編集長失踪の手がかりを探しに借りていた部屋に行くと、通帳に不審な入金があり、どうも恐喝でもしていたらしい。
    題名の「幸せの家」というのは「幸せの家?」と言うのがふさわしい話になっている。

    「狂酔」
    これが一番面白かった。
    教会の集会でシスターたちに向かって酔った青年が話し出す。
    家庭の話は父親が自殺したことから始まって子供のころ誘拐されたこと。アル中になった経緯。
    なぜここで話をしているか、静かに聞いて欲しい。ここにいた中学生の少女が子供を産んで、追い出されただろう。彼女はこの教会のシスターを慕っていて、近くでカレー屋をやっている。貰われた子供を探し出して育てて、仕事を手伝わせている。事件があるとボランティアの食事のために教会の庭でカレーを作るのを楽しみにしている。話は続く。
    教会が見えて見晴らしがいいと両親が喜んでいた我が家を買った、家族の息子が行方不明になったね。そのときもカレーの炊き出しをしただろう?
    延々と続く話の糸は、教会や、妊娠した少女や、通報してやってきた警官やを巡り、哀切な最後に続いていく。

    「道楽者の金庫」
    遺品整理業者と一緒に値のつく本の選別を任された葉村晶は今も探偵でアルバイト。古くてもいい本もあるが、見るとこけしの数がハンパではない。その中に、貴重品を入れた金庫を開く手がかりのこけしがあるという。東北の別荘まで探しに行き、てんやわんやの話。
    こけしが見つかったことは見つかった、その貴重品はと言うと???なものだった

    それぞれ面白い、短い話なので、楽しめた。

  • 葉村晶シリーズ2編を含む5編からなる短編集。

    シリーズ第3弾「悪いうさぎ」から第4弾「さよならの手口」までのブランクは実に13年。
    その間、長谷川探偵事務所と契約していたフリーの探偵だった葉村は、事務所の閉鎖を受け失業。第4弾では吉祥寺にあるミステリ専門の古書店「MURDER BEAR BOOKSHOP 殺人熊書店」でアルバイトをしている。
    そこに至った経緯など、その間を埋める2編「蠅男」と「道楽者の金庫」が入っているというので番外編的に読んでみた。

    当初はその2作だけにしようかと思ったものの、全部読んでみて大正解!標題作「暗い越流」を始め、葉村シリーズじゃない3編の出来が思いのほか秀逸で得した気分。
    どの短篇も、問題が解決を見た最後の1ページで、思わずゾクッとするような仕掛けがあって、黒い!
    若竹七海、葉村シリーズだけじゃないじゃないか!と、これから他の作品を開拓する楽しみを見つけたのでした。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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