避雷針の夏

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929411

感想・レビュー・書評

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  • 梅宮正樹は都会から崩壊寸前の一家四人で雪深い地方の町
    睦間町に移り住む。
    この町では、犯罪歴のある男が英雄視され
    〝よそもの〟の母子がいつまでも村八分にされる等
    歪んだルールに縛られていた。
    小さな町は悪意と狂気に満ちた閉塞的で粘着質な煉獄の地だった。
    ある日、町のシンボル像・ガーゴイルが破壊され
    犯人をめぐる様々な憶測がネット上を駆け回る。
    町は疑心暗鬼と悪意の満ちるねっとりした異様な空気に
    包まれるなかけんか神輿の夜を迎える…。


    睦間町では、長男を殺された源田直爾が復讐のため
    犯人の少年を殺害…その結果英雄視され強権を振るっている。
    また〝よそもの〟のくせにこの町出身の夫を殺したとして
    誤認逮捕された倉本郁枝とその子供達は今でも村八分。
    司法も行政もまともに機能していない
    この町では法律イコール正義ではない
    睦間町の者かよそものか
    その一点が全ての尺度において大きく影響する。
    閉鎖した町で、起こる徹底した村八分
    年寄り達が、ねちねち陰険でこの土地でしか通用しない
    常識を振りかざして生きている。
    強烈な男尊女卑・徹底した縦社会・時代錯誤で旧弊な習慣
    過干渉な人達。家の鍵を掛ける事も許されず、
    家には勝手に上がり込み冷蔵庫やタンスまで勝手に開ける…。
    雨が降れば、親切ぶって勝手に取り込み噂話のネタにする…。

    人間の業のいやらしさ・陰険さ・醜さを
    これでもか、これでもかって掻き集めたみたい。
    登場する人全てが嫌な人不愉快な人ばかり。
    酷過ぎるが、主人公の梅宮も最低最悪な男。
    酷い母親のせいで鬱病になった妻に
    要介護になった母を引き取り、妻と娘に介護全てをさせ、
    田舎の借家に押し込め、自分は匂いが嫌だ等と言い
    自宅へも帰らず、浮気をする。
    女のくせに…女なんて…と見下しまくり
    ー妻に甘えていたのだろうかー
    ー自分はそれ程酷い男だろうかー
    ーなにがいけなかったのだろうかー等と自問してる…。
    全てが駄目なんだよ(○`ω´○)
    最低最悪の男なんだよ(○`ω´○)
    もーーー腹が立って仕方なく、嫌悪感すら抱いてしまった。
    ラストは、もう一度チャンスを与えられる感じで終わってたけど、
    この人は、町を出て環境を変えても駄目だと思った。

    二人の少女の計画通り
    睦間町は隣の市に吸収合併され消えていく
    そのラストには気持ち良かった。

    こんな町、現在も存在してるのだろうか…。
    ゾッとした。こんな町絶対に住みたくない…。

  • すばる文学賞受賞した赤と白を読んで、不快感丸出しな作品を書く人が出てきたもんだと驚きましたが、今回もなかなか悪い。
    これまた小さな田舎町が舞台でよそものに対しての陰険で悪質な嫌がらせの数々、身内たちの素性の悪さっぷりは、逆に気持ちがよくなるほど! 不快感丸出しな描写もあちらこちらで出てきて、猫ラブさんには厳しかったり。
    村八分。どうしようもない父親を持った少女の秘めた闘い。目が離せなくなり夢中になります。
    でも前作のが衝撃ははるかにあったし、きちんとまとまっていた。今回はいろいろ点を散りばめたけれどもうまく線で繋ぎきれなかった感があるのが少し残念でした。
    個人的に今一番次回作が楽しみな作家さんです。(ホラー大賞読者賞受賞作はなんとなく好みでなさそうなので未読)

  • 余所者の家族、町の人間に嫁いだ女、町の外を知らない人々。小さな町が舞台の群像劇です。
    主人公は元教師で現塾講師の男だと思われますが、この男のクズさ加減に怒りがこみ上げる…
    町の住人もこれまた酷い。全体を通して漂う閉塞感や暗さ不穏さに息が詰まりそう。
    負のパワーに圧倒されつつも、彼等がどこに行き着くのか確かめずにはいられませんでした。

  • 面白かった。出てくる方言とか食べ物に何だか親近感…と思っていたら、作者の出身県が同じだった。こんな閉鎖的なとこはなかなか無いだろうけど(笑)近しいとこならあるのでは?と思うと怖いなぁ。とにかく男が全員クズだった。

  • 誰にも感情移入できない。ただ繰り返し、村八分と男尊女卑と殺人のエピソードを書き連ねるのみ。いくらなんでもこんなにひどい自治体があるとも思えない。ありえなさすぎて、なにが面白いのかわからない。

  • 読了日2016/10

  • 胸糞悪い!けど櫛木さんの話は少し救いを残してくれるから読みきれた。
    田舎暮らしは無理だなぁ。

  • 2017/1/20

  • 図書館本。
    寄居虫女でこの人の作品にはまったので、図書館にあるものから適当に借りてくる。
    いやあ・・・
    コレは胸くそ悪いなあ。
    面白いとか面白くないとかそういう段階は通り越して、ただひたすらに胸くそ悪い。
    よくもまあここまで胸くそ悪いものを書けるなあと。
    もうホント、何もかもが嫌い。
    読んでる途中で何度ぶん殴りたいと思ったことか。
    ホントこいつら早く死んじゃえばいいのにと思いながら読んでいた。
    そして読み終わったあと死んじゃわなかったことに心底ガッカリした。
    こういう作品は時々読みたい。
    櫛木理宇スゴい。

  • 狭い世界で生きる人間たちの残酷さや群衆心理が描かれた本です。

    ガーゴイル像が役所の屋根から見下ろす町-睦間町に住む人々。
    その誰もが鬱屈した思いを抱え、それを弱いものに向け、攻撃しガス抜きをしている。
    ターゲットとなるのはこの町の暗黙の身分制度の中で一番底辺にいる一家。
    容姿以外に何の取柄もない父親は何者かに殺され、その容疑が「よその者」の母親にかけられた。
    結局、鉄壁のアリバイがあった母親は無罪放免となったもののそれ以後、町の目は冷たくなり、ある祭の夜、一家は町の男たちの襲撃を受け、母親はひどい暴行を受けボロキレ同然の状態で見つかる。
    以後、母親は飲み屋を営み、娘、口のきけない息子とひっそりと生きている。
    寝たきりの母親を妻に任せきりにして自分は他の女性とメールなどして気を紛らわせている塾講師の一家。
    この町を暴力で支配している一家。
    その一家の母親、父親に学生の頃ひどいイジメにあい、30年間引きこもりになった女性。
    この町も両親も嫌い、それなのに町から出て行くこともできない「腰抜け」の男性。
    この町に越してきた「よそ者」で、母親が町民の嫌がらせにより精神的に異常をきたした、塾で働く女性。

    町のシンボルであるガーゴイルが壊された事により、徐々に町に不穏な空気が漂い始める。
    そして、彼らの思いがまたも祭の夜に爆発してそれまでの鬱積した思いを暴力という形で露見する。

    登場人物が多いし、似たような設定の一家が多いので読んでいる内に頭がゴッチャになってきました。
    そして、読み終えた時はそれらの人々のその後が消化不良な感じで終わってしまった、中途半端な印象を受けました。
    でも、読んでいる時は面白かった。
    それぞれの心情が踏み込んでえぐく描かれていて。
    それでいて、暴行のシーンなどは下世話な描写でなく、作者の正義感とか清潔さを感じました。

    この町の象徴であるガーゴイルの側には避雷針があり、それがタイトルになっている訳ですが、この町の本当の避雷針は町で最も底辺にいる一家だったのだと思います。
    彼らが町民の鬱屈した思いを引き受けていたからこそ何とか危ういながらもやってこれた。
    人は弱いから自分よりも弱いものを欲する。
    それを暴力という分かりやすいものを通してこちらに訴えかけてくる本でした。

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