避雷針の夏

著者 :
  • 光文社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929411

感想・レビュー・書評

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  • 2017/1/20

  • 図書館本。
    寄居虫女でこの人の作品にはまったので、図書館にあるものから適当に借りてくる。
    いやあ・・・
    コレは胸くそ悪いなあ。
    面白いとか面白くないとかそういう段階は通り越して、ただひたすらに胸くそ悪い。
    よくもまあここまで胸くそ悪いものを書けるなあと。
    もうホント、何もかもが嫌い。
    読んでる途中で何度ぶん殴りたいと思ったことか。
    ホントこいつら早く死んじゃえばいいのにと思いながら読んでいた。
    そして読み終わったあと死んじゃわなかったことに心底ガッカリした。
    こういう作品は時々読みたい。
    櫛木理宇スゴい。

  • 狭い世界で生きる人間たちの残酷さや群衆心理が描かれた本です。

    ガーゴイル像が役所の屋根から見下ろす町-睦間町に住む人々。
    その誰もが鬱屈した思いを抱え、それを弱いものに向け、攻撃しガス抜きをしている。
    ターゲットとなるのはこの町の暗黙の身分制度の中で一番底辺にいる一家。
    容姿以外に何の取柄もない父親は何者かに殺され、その容疑が「よその者」の母親にかけられた。
    結局、鉄壁のアリバイがあった母親は無罪放免となったもののそれ以後、町の目は冷たくなり、ある祭の夜、一家は町の男たちの襲撃を受け、母親はひどい暴行を受けボロキレ同然の状態で見つかる。
    以後、母親は飲み屋を営み、娘、口のきけない息子とひっそりと生きている。
    寝たきりの母親を妻に任せきりにして自分は他の女性とメールなどして気を紛らわせている塾講師の一家。
    この町を暴力で支配している一家。
    その一家の母親、父親に学生の頃ひどいイジメにあい、30年間引きこもりになった女性。
    この町も両親も嫌い、それなのに町から出て行くこともできない「腰抜け」の男性。
    この町に越してきた「よそ者」で、母親が町民の嫌がらせにより精神的に異常をきたした、塾で働く女性。

    町のシンボルであるガーゴイルが壊された事により、徐々に町に不穏な空気が漂い始める。
    そして、彼らの思いがまたも祭の夜に爆発してそれまでの鬱積した思いを暴力という形で露見する。

    登場人物が多いし、似たような設定の一家が多いので読んでいる内に頭がゴッチャになってきました。
    そして、読み終えた時はそれらの人々のその後が消化不良な感じで終わってしまった、中途半端な印象を受けました。
    でも、読んでいる時は面白かった。
    それぞれの心情が踏み込んでえぐく描かれていて。
    それでいて、暴行のシーンなどは下世話な描写でなく、作者の正義感とか清潔さを感じました。

    この町の象徴であるガーゴイルの側には避雷針があり、それがタイトルになっている訳ですが、この町の本当の避雷針は町で最も底辺にいる一家だったのだと思います。
    彼らが町民の鬱屈した思いを引き受けていたからこそ何とか危ういながらもやってこれた。
    人は弱いから自分よりも弱いものを欲する。
    それを暴力という分かりやすいものを通してこちらに訴えかけてくる本でした。

  • 探したらきっとどこかに1つは残っているかもしれない、そんな閉鎖的な街。怖くてこんな街には絶対に住めない。でもそこで生まれ育ったのならどうなんだろう。人も街もすべてが狂ってるとしか言いようがない。本を読んでいて、背筋が凍るような思いだった。

  • 2015 5/20

  • 村の閉鎖的な社会がこわい。梅宮正樹しっかりして欲しい。ラストはスッキリです。

  • よみやすかったけど、さほどおもしろくなかった。狭いコミュニティのなかで起こる人間関係のはなし。

  • 編集者 頑張ってください。

  • これまでに少なくない量の本を読んできたつもりだけれど、これだけ主人公をはじめとする登場人物全員最後までクズだった物語はない気がする。

    明記されていないが、『赤と白』と同じく新潟を舞台にしたサスペンス。
    睦間という田舎町は濃厚な人間関係と男尊女卑が根強く残っている。
    主人公の梅宮は痴呆で介護が必要な実母のためという名目で縁もゆかりもない睦間にやってきた。
    妻との関係は破綻しており、家にもろくに帰らない。W不倫関係の同僚とのメールだけを楽しみにしている。

    町のはずれで居酒屋を経営する女が過去に夫を殺したという噂を聞き、彼女を取り巻く諸々の事件から睦間の異様さが明らかになっていく。

    主人公は梅宮なのだろうが、彼自信は睦間に訪れる崩壊の中枢にいない点が面白い。
    梅宮は家族・職場での関係が悪化していき、とうとうこれ以上逃げられないと気づく。
    同時に町は様々な思惑が絡まり合い、ひとつひとつの悪意からバランスが崩れていく。
    梅宮が町の異常事態に対して何らかの役割を果たし、成長していくのかとおもいきや本当に最後の最後、ぎりぎりまで自分勝手で最悪な男であった。

    ストーリーも面白いし先が気になって読ませる仕掛けができているのだが、もう読みたくないと思うくらいに出てくる人間人間強い不快感を与えてくる。
    ずっと気分が悪いという、面白い面白くないという基準とはまた別の感覚を覚える稀有な作品だと思う。

    犯罪者のルポが好きな人は好きなのではないか。
    それにしても最悪な気分になるけど。

  • もうすこし最後にスカッ!が欲しかったかなあ。。
    そこが残念。。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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