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本 ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784334929633
感想・レビュー・書評
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明治の権力者を陰で支えた金庫番の別邸で幕開ける連続見立て殺人事件。本業のミステリ作家に引けを取らないクオリティだった前作からさらに深化して、より本格ガジェットをつぎ込んだ一作となっています。一般的な館ものとは異なりアンクローズドな状態にある空間でこそ成立する論理、視点のズラしが生む計画の一部始終はその大胆さにおいて不敵という外ないでしょう。それまで見せられていたものがすべて虚構と化す解決編は館ミステリとしてかなり異色の読後感を残すハズです。
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"名探偵・月輪龍太郎シリーズ"の第2巻。
明治26年、事件の語り手・杉山潤之助は探偵となった旧友の月輪龍太郎と久しぶりに再会し、依頼された事件の捜査に付き合うよう頼まれる。その事件とは、明治の元勲・山縣有朋の影の側近と噂される漆原安之丞が、首のない死体で発見されたというものだった。漆原の邸宅・黒龍荘に赴いた2人を待ち受けていたのは、不気味なわらべ唄になぞらえた連続殺人だった。
こういうシリーズ物は1巻から読むようにしているが、このシリーズは最初から読むよりもこの『黒龍荘の惨劇』から読むのがオススメという話を聞いたので2巻から読んでみた。
首なし死体、わらべ唄の見立て殺人、連続殺人…。本格推理のキーワードがいっぱいでわくわくして読めた。
明治という時代を背景に、旧弊な体制とかもあってそこも物語を楽しめる要素にはなっている。
事件の真相には、あっと驚かされた。現代のミステリーの常識で考えたら、列車の件にしても事件の真相(トリック)に関してもリアリティがないと思うけど、明治の時代設定だから活きてくるんだろうなぁ。
ミステリーとしては、すごく面白かった。1巻も他の巻も楽しみ。
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この時代だから可能なトリックでした。
最後まで事件が起き続けていて、息つく間がなかったです。途中、事件をまとめて振り返るシーンが何ヶ所かあったため、整理できてよかったです。解決編はだいぶアッサリでした。 -
前作よりいろいろボリュームアップしてて、『伊藤博文邸』より面白くなってた。ただ、やはりこれは作風なのかなぁ、全体的に遊びの部分が物足りない印象。
ここで言ってる「遊び」ってのは、登場人物(主人公ペア)の推理以外のネタでの会話とか、雰囲気を出すための風俗描写など。
脳内でイメージを膨らませるためにそういう遊びがあるほうが、読み物として読んでて楽しいんだけど、この人の作品は
事件→捜査→食事→捜査→就寝→次の事件発生
みたいに、淡々と事件の流れの記録だけが続いている印象で、読み終わってふり返った時に、作品のトリック部分以外、印象が残らない……。
(そういった点では、秘書の蘭子さんがいちばんステキキャラでした)
解決編をあんなギリギリまで持ち越すバランスもちょっとアレな感じもしますが、全体的にはミステリとして楽しめました。力作です。 -
そして誰もいなくなったからのケモノの城みたいな話でした。金田一少年もびっくりなくらいどんどん殺されいくけど探偵さん推理間に合う…?と思ったらなるほどねと。まさに惨劇でした。
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事件性の陰惨さは確かに頭抜けてる。
なので、犯人の異常さはなかなかに興味深い。
その分、探偵と助手の印象の薄さ、次から次へと事件が起こるのに、何やらちっともドキドキハラハラしないのが残念。
ものすごいことが起きているんだけどね……?
登場人物におしなべて魅力がないせいか、読書としては盛り上がらず。
大好きな館もの、導入部で期待値が上がっていた分、ちょっとがっかり。
岡田秀文の作品





