不自由な絆

  • 光文社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929664

感想・レビュー・書評

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  • もう読むのが辛くて辛くて、苦しくて苦しくて。
    共感とかそんな生半可なものじゃなく完全にシンクロしてしまった。
    子育て中の母親にスポットを当てた作品はたくさんあるけれど、子を思う母親の気持ちをここまで掘り下げて描いたものは読んだことがない。

    言ってみれば母親目線で描かれたすごい狭い世界で、子供がいない人や男性には理解できないかもしれない。
    でも、分かってほしいどれだけ母親たちが子供に心を砕いているのか。
    そうそう、「育てたように子は育つ」
    こういうこと、簡単に言ってほしくないわー。
    これ、きついよね。だって、一生懸命やってるんだもの。
    こんなこと言ったら追い打ちかけるだけ。

    ちょっと感情的になりすぎたか・・・。
    でも読んでて、うんうん、わかるわかる、そうよそうよって一々感情移入。
    赤ちゃんの頃から癇の強くて手に負えない子、やられたらやられっぱなしで何もできない子。
    手を出す方、手を出される方、立場が代われば親の気持ちも全く違ってくる。
    そんな感情が細かく丁寧に描かれていて刺さります。

    第三者からみたらほんの短い間のことって思うかもしれない。
    確かに大人になってしまったら、学校時代のことなんて遠い出来事。
    でも母親になると、子供と一緒にその狭い世界にまた入っていかないといけない。
    子にとってはそして親にとっても狭い世界ではなく、大海原のようだ。
    荒れ狂う海で小舟を必死に漕いでいく。
    海に落ちないように、難破しないように、ひたすら櫂を漕ぐ。

    読み終わって、益々自分が母親業をうまくやっていけるのか不安になった。
    でも進むしかない。
    そのためにも社会の家族の周囲の理解がどうしたって必要。
    保育園の騒音問題とか、低次元な話やめようよー。
    社会で子供を育てようよーーーー、と声を大にして言いたい。

    すみません、熱くなりました。
    小説としてもとてもうまくまとまっていて、朝比奈さんに感服しました。
    小中高と同級生だった二人の母親をママ友として再会させる展開、これは巧い。
    エンディングも良かった。
    子育て中のお母さん、是非読んでください。
    一緒に頑張りましょう。

    • vilureefさん
      まっき~♪さん、こんにちは。
      いつもありがとうございます(*^_^*)

      確か以前の朝比奈さんのレビューの時にもまっき~♪さんからコメ...
      まっき~♪さん、こんにちは。
      いつもありがとうございます(*^_^*)

      確か以前の朝比奈さんのレビューの時にもまっき~♪さんからコメントを頂いたのですが、そのコメントの意味が今になって分かりました。
      朝比奈さんて結構読むのしんどいですね(^_^;)
      私が読んだ「憧れの女の子」はライトタッチで喜怒哀楽があってさらっと読めたんですよ。
      ところがこの作品は同じ作家とは思えないほど重い。びっくりしました。

      窪さんの「水やりはいつも深夜だけど」もやはり子を持つ親が主人公なので、偶然にも似た系統だったのですが、インパクトと言えば断然朝比奈さんの作品に軍配があがりますね。
      おかげで「水やりは・・・」の印象がレビューを書く時点で薄まってしまいました。

      どちらも良い作品だと思います。
      まっき~♪さんも読んでほしいな~。
      ですが気力が落ちているときにはやめた方が良いと思います。
      特にこの作品は息ができなくて窒息するかもしれません(笑)
      2014/11/11
    • だいさん
      ママ、ちょっと恐い(笑)
      ママ、ちょっと恐い(笑)
      2014/11/23
    • vilureefさん
      だいさん、こんにちは。

      怖いと言われて光栄です(笑)
      私は本気ですよー!
      だいさん、こんにちは。

      怖いと言われて光栄です(笑)
      私は本気ですよー!
      2014/11/25
  • クラスメイトだったリラと洋美、
    ある日、子供の予防接種の会場で偶然に再会する。
    息子たちの諍いやいじめ、そこにママ友としてのつきあいも絡んで───

    月日が流れ、子供達もそれぞれ成長して、
    いろいろあったリラと洋美の間の氷も溶けつつあるような気配。
    それはそれで良かったんですが…、
    うーん、私だったら…どちらの立場でも難しいかな…。

    よく考えたら親子って、お互いに「はじめまして」なんですよね。
    まして長男長女なら、生まれて来た子供も一年生、親だって一年生…。
    「育てたように子は育つ」なにげなく耳にしてましたが、
    悩み苦しみ、必死で子を育てる親にとって、
    こんなに重たい言葉だったとは…。

    人って自分で子供を育ててみて初めて、親の心を知るのかもしれませんよね。
    毎回、心がひりつくような思いをしながらも、
    こういった子育て小説を手に取ってしまうのか、少しわかったような気がします。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    仕事に生きてきた洋美と専業主婦のリラは、乳児の予防接種会場で再会した。同級生だった彼女がまさか自分と同じ時期に同学年の男の子を産んでいたなんて。頼もしいママ友ができたと好ましく思っていたが、こども同士の諍いをきっかけに、悩み苦しみ傷つき葛藤する。やられるばかりの息子が歯がゆい、乱暴な息子を愛せない。女たちの心の叫びを描く、著者会心の書下ろし長編。

    自分の子どもだから愛せるとか、親だから愛せるとか決まってないというのが今の僕の結論。自分は愛されて育ったという自覚が有るけれど、無条件で親を愛しているとか言えないし、責任とか常識とかで下駄を履かされた感情であると思っています。
    乱暴でいう事を聞かない子供、いじめられても自己主張せずいじめを受け続ける子供、密かにいじめをするずるい子供。もちろん天真爛漫で心優しく誰とでも仲良くできて頭が良くて親思いで将来有望な子供もいます。自分の子どもだから可愛がらなけでばいけないというのは辛い話です。でも子供がかわいがられないで生きていくのは胸が痛みます。どんな子供も愛に包まれて育って欲しいのは本当。でもどんな凶悪な殺人鬼も生まれた時は赤ん坊だったことを考えると、自分の子供がどんな大人になるのか不安になることでしょう。

    この本の中では子供たちは子供世界の中でもがき苦しんで、成長している横で、母親たちも何とかいい母親であろうともがき苦しんでいます。誰だって子供生めば自動的に心優しい慈母になるわけでは無いですよね。男なんて尚更父親になるのは難しいでしょう。
    いつまでも子供の柔らかい心を大人の殻でつつみこんでなんとかかんとかやって来てるわけですから、悩みながら転落しながらも踏ん張ろうとするお母さんたちの心も傷だらけです。子供から見た姿の通りの立派な大人になれたら素晴らしいんですが・・・。
    てっきり母親同士のバトル的な感じかと思いきや、主人公の2人のお母さんは2人ともとっても頑張っています。世のお母さん達が読むべき本だと思いますが、おじさんの心も充分打ちました。

  • 子育て中の母親の心情を、こんなにもリアルに的確に表現できるなんて……
    どのページのどの文章を読んでも、
    『分かるよ、分かるよ』って、読んでて苦しくなった。
    わが子が小さかった頃や、自分が小学生だった頃を思い出して、自分の経験と重ねながら一気に読んだ。
    自分の子どもに対する気持ちだけじゃなくて、
    子どもの友達、その子のお母さん、自分の母親に対する気持ちまで、ずっと昔にさかのぼってえぐられるような感覚でした。
    もう一度読みたい。

  • 学生時代の同級生が再会し、ママ友になる。
    ありそうで、先が見えそうなストーリーですが、予想を大きく覆され、想像以上の展開で話が進みました。読んで良かったです。

    育てにくい子供がいることは実際にあると思うし、親子の相性もあると思います。
    なので、洋美の気持ちを思うと、胸が苦しくなりました。
    子供を愛せなかったのではなく、愛せない状況になっていたのだということが、のちのちに分かり、ホッとしました。

    子供を通じて知り合った友達が窮屈なのは、経験済み。狭い世界なのだから仕方が無いし、だからこそ、あちこちでのトラブルが多発しているのだろうなと、この年になって、改めて静観できるようになりました。

    洋美とリラが、子育てを離れてから、二人の間を再び育んでいきそうなラストに、気持ちのいい読後感を持ちました。

  • 敏光の乱暴できかん坊具合に母親は手を焼いて悩んでいるというのに、父親の影が薄い。存在感がない。そこは父親の出番だろう、じっくり敏光と向き合ってくれたらいいのに・・・と思いました。仕事忙しいのはわかっています。でも任せっきりにされるのは荷が重すぎます。

    子育てって修行だったな、あの頃あ〜んなに大変だったのに、あんなコトもこんなコトもあったのに、過ぎてみれば、この1冊の本のように300ページぐらいに収まるくらいあっという間だった気がする。自分の子育て時代を振り返ってみて、そんなこと考えていた。

  • 子どもの成長とともに、それぞれの母親の心情が描かれる。
    母として共感できる部分も多し!
    いくら母親同士が子どもたち同士に仲良くなってほしいと考えていても、そうなるとは限らないのが現実。でも少し切ない。

  • おもしろかった。この世代の女性作家の中では、いちばん上手いんじゃないかと思う。

  • 中高で同級生だった洋美とリラ。
    おとなしくて優等生だった洋美の子供は手がつけられないほどやんちゃなトラブルメーカー。華やかなグループだったリラの子供は大人しく、洋美の子どもにやられっぱなし。
    自分の手に負えないほどの乱暴者の息子の事を洋美は愛せない。その愛せない自分をも許せない。
    リラは洋美との友達関係を壊したくなくて、息子が洋美の息子にどんなにひどい目にあっているかを言えないでいる。
    その辺りの描写は読んでいて苦しくなるほどのリアリティ。
    「育てたように子は育つ」と言い放つ洋美の母親の態度がまた洋美を追い込む。
    もしかして洋美の子供は境界線上にいるのかもしれないが、乱暴者の息子のせいでいつも肩身の狭い思いをしているのは洋美だけ。なぜか夫は「子供なんてそんなものさ」と他人事。
    子供には個性もあり、生まれ持ったものもあり、親の育て方ではどうしようもないこともあるのに責任は全て母親にあるように思われている。
    その風潮が母親を追い込んでいく。
    最後に救いがあったのがとても良かった。

  • 友達とママ友は違う
    どうしても我が子と他人の子を比べてしまい妬みなど負の感情がわいてくる
    すごくリアルな話だった

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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