火星に住むつもりかい?

著者 : 伊坂幸太郎
  • 光文社 (2015年2月18日発売)
3.52
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  • レビュー :413
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

火星に住むつもりかい?の感想・レビュー・書評

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  • 第一章は、言葉は悪いがはっきり言って胸糞悪かった。平和警察とは名ばかりの暴力組織、頭が悪いとしか思えない大学生達の性犯罪集団、気に入らないと言うだけで平気で無実な人を落とし込む人々。胃がむかむかして、途中で読むのを止めようかと思う程だった。なんとか読み進めて最後は救われる展開で胃の痛みも治まった。


    それにしても、伊坂さんは時に鋭い話を書かれて怖くなる。市民による危険人物の告発、警察の情報のコントロール、情報収集力、誘導尋問、公開処刑、内部情報の隠蔽…果たして「平和警察」が物語の中の事で済まされるだろうか。このような時代が静かに、音も立てず近付いて来ているのではないか。

    「人間は、安心できる情報よりも、危険を煽る情報に、より反応するんですよ」

    私はまんまと伊坂さんの術中にはまっているのでしょうか…。

  • 本を上にかざしてみると、
    「理不尽」という文字がすかし印刷で
    びっしり印刷されているのでは…。

    と思うほどの「理不尽」のオンパレード。

    世界は「理不尽」で覆われていて
    他者から受けるものだけではなく、
    自分の中にも「理不尽」がインプットされ
    生まれた時点からその「理不尽」は
    自分とともにぴったりとくっついている。

    どんなにあがいて抵抗しても、泣きわめいても
    「理不尽」から逃げ切れた者は一人もいない。

    「正義」と「偽善」は紙一重。
    では「理不尽」と背中合わせのものってなんだろう。

    そんなことを考えながら読んだ一冊です。

    伊坂さん、相変わらず視野が広いです。
    ところどころに出てくる虫の話もさることながら
    正義のヒーローもそんな風に見ていたなんて。

    理不尽と共に生きる私たち。
    その全部は救えなくとも、
    ほんのちょこっとだけ読者を救ってくれる伊坂さん。

    そのちょこっとを求めてまた、
    私は伊坂作品を読んでしまうんだと思います。

    シャレた題名に完全に騙されました。
    でも逃れられない「理不尽」を少し感じてた時期に
    読めてタイムリーだったと思います。

    • なにぬねのんさん
      vilureefさん、こんにちは。
      いつも花丸ありがとうございます。

      vilureefさんは、伊坂作品が苦手なんですね。
      折角コメントいただいたのですが、再チャレンジに選ぶにはこの作品はヘビーかなぁ…って私は思います。

      精神的に落ちている時に読んだからというのもありますが、
      数冊しか読んでない伊坂作品の中で、一番私に届いたユーモアが少なく、後味がスッキリしてません。

      私は煎餅屋の社長という全くの脇役の人に救われただけで、本編の流れには救われていないんです。

      『平和警察』という危険人物をあぶりだして処刑(それも公開処刑)する組織と、黒のツナギ来た平和警察に対抗するヒーローの話なのですが、平和警察のやり方がキタナイ!

      人間の本質の怖さが頭にこびりつくので、ある程度の覚悟をして、取り掛かる方がいいかも知れません。

      気分が落ち込んでいる時は、きつくなるだけですのでご注意を。

      vilureefさんにおススメするほど、伊坂作品を読み込んでいないのが悲しいです。

      私の中で気分よく読み終えたのは、『残り全部バケーション』『アイネクライネナハトムジーク』でしたが、この2作品は伊坂作品の王道ではなく、変化球なんじゃないかという気がします。
      2015/07/11
    • vilureefさん
      またまたお邪魔します。

      これってSF?アクション?
      平和警察か・・・。
      もうこの時点で駄目かもー(>_<)

      すっきり終わらなくてもいいし、イヤミスも結構好きなんですけど、どうも格好つけた感じの文章が苦手で(笑)

      ありがとうございました♪
      よっぽど読む本が切れた場合じゃないと手に取らないと思うのですが、いつかは克服したい作家の一人です・・・。
      2015/07/15
    • なにぬねのんさん
      vilureefさん、おはようございます。

      これってSFだったんでしょうね。
      読んだ私は物語に入り込みすぎて
      架空社会の話には思えず、
      他の国のどこかでは今こういうことがある所もあるんじゃないかと…。

      『平和警察』という警察の一部の組織が
      『安全地区』と呼ばれる全国で選ばれた県をまわり、魔女狩りのように市民を締め上げ、
      危険人物をあぶり出し、見せしめのように公開処刑をする…という話で、
      そこに『平和警察』に対抗してちょこっと助け舟を出す謎の人物が出てくるんです。

      そうなんですね。vilureefさんは文章が苦手なんですか。
      私は伊坂さんのユーモアが好きで、文章も表現も大好きなので、
      読みたい本の合間合間に挟んでしまいます。

      格好をつけた感じの…ということからすると
      『アイネクライネ…』『残り全部バケーション』は反対におススメできず、
      『火星に住むつもりかい?』は読んでもらっても面白いかもしれません。

      謎のヒーローの戦い方はひねってあり、これも楽しめます。

      でも私はこの本の真壁捜査官の「昆虫の話」が一番おススメです。昆虫って奥が深いですよね。
      昆虫自体は私は苦手なんですけど、人間が学ぶべきものが沢山昆虫の世界にある気がします。
      2015/07/18
  • 近未来の仮想日本のSFとでもいうのか‥
    宇宙を舞台にしたSFではありません。
    密告による処刑が公開されるという怖い話だが、そこへ正義の味方が現れ‥?

    平和警察という組織が作られ、海外テロ組織への関与を疑われた人物を取り調べる権限が与えられる。
    指定された地区では、しだいに密告が増えてくる‥

    ごく普通の人々が生活している様子のなかに、突如として町の噂や隣人の逮捕といった出来事が降りかかる。
    不運な人もいるが、すれすれで逮捕を免れる人もいる、ちょっとしたユーモアも含みつつ伊坂さんらしい展開。

    謎の正義の味方が実行力を持っている面白さと、上のほうでも何やら独自の権力争いがおきている不気味さ。
    予想のつかない展開のうちに事態は意外な展開を迎えて、ほっとする‥
    が、怖さは残りますね。
    犯罪者同士のダークな話とは違う怖さ。

    人の心の中にある自然な動き、思いやりや勇気、前向きな気持ちを大切に。
    お天道様に顔向け出来ないことはしちゃいけないよって(笑)
    平和を愛する日本を誇りにしていきたいものです☆

  • 監視、暴力、権力、がテーマのほうの伊坂さん。
    「世の中の苦しんでいる人を一人残らず救わなければ正義とは呼べないのか?」という問いかけが、この手の伊坂作品にはつきもの。私も読みながら考えていたけど、今回ひとつの答えが出た。それは、「目の前の一人だけでも救えたらそれで素晴らしい。ただ、このとき素晴らしいのはその人の正義感ではなく、勇気を出したこと」だということ。
    私たちの社会がいつかこうなる可能性はすごくあって、それが怖いなあと思いながら読んでいた。伊坂さんが見せつけてくるものが正論過ぎて、ハラハラしすぎて、いつもなんだかちょっと気持ちが沈む。
    でもラストは「そうだったのね!!!!」という感じで、とてもうれしい気持ちになったし、良い方向に向かっていく兆しが見えて良かった!

  • この本は面白いというより、上手い本だと思う。
    物語を書いたり書き方について考えたりするような人にとっては
    展開や伏線など唸らされるところはあると思う。
    それが他の伊坂作品と比べてどうかという話になると
    この物語が一番優れているというわけではないと自分は思う。

    伊坂作品は小気味良いものとかなり重めのものとがあるが
    この作品については後者である。
    タイトルからはそれが予想できず、気を晴らそうと手にとったので
    ちょっと予想外な展開に読んでいて気が滅入ってしまった。
    あとがきにも勘違いさせたらごめんというような趣旨があったので
    ちょっと笑ってしまった。


    ネタバレあり。


    いつかこんな時代が来ないとも言い切れない不気味さに、
    本当に読んでいて底冷えするような恐怖を感じた。

    ゼミがトラップというのも読んでいて本当に辛かったし、
    ヒーローが所謂意味でのヒーローではなかったことも
    がっかりというと少し違うような気もするがショックを覚えた。

    特定の登場人物に思わず肩入れしてしまうような
    特別に魅力を感じるキャラクターはいなかったように思う。
    ラストもすっきりとしているとは言いがたく
    読者に解釈を委ねられた終わり方になっている。
    淡々と描かれているからこそ、どこにでも起こり得るようにも思えるのかもしれない。

    こうして物語として書き起こされ、いろんな立場の人からの視点で書かれていると
    わからない一般市民が異常なように見えるが
    実際渦中にいれば徐々に慣れてしまい異常さに気がつけず、
    冤罪という重大な可能性にも目を伏せて、
    犯罪を犯しそうもない人物が犯罪をしたのだと言われてそれを疑うのではなく
    あの人は危険人物だったのだと納得してしまうということは
    現実にありえることであり現実に起こっていることでもあり
    空恐ろしい内容となっている。

    火星に住むつもりはなくこの地球で、日本で住むしかない
    その中で一体自分には何が出来るのだろうか。
    自分が彼らの立場になったら、何が出来るか。しようとするのか。

    動物の本能として、安心できる情報より危険な情報、恐ろしい情報に反応するというのは
    確かに尤もである。
    実際大昔のこととは言え魔女狩りは存在したのだから。
    他人事だと思っていたことが突然自分の身に振りかかる。
    この恐怖は、平和警察などの突飛な設定がなくとも
    現実に起こりうることだ。

    犬や音楽などいつもの伊坂作品にお馴染みのものも登場しつつ
    郵便配達員も序盤から何度も織り込まれている。

    すべての人を救わないことは偽善というあたりは読んでいて胸に痛かった。
    個人的に、ボランティア活動をしていても同じような目にはよく合う。
    全員を助けることは難しい。だがそれをしないなら偽善だと後ろ指をさされ
    何故かひとりも救っていない人が偉そうに人を否定し、
    正しいことというのがよくわからなくなってくる。

    やはり一番興味深かったのは武器となる磁石のくだりで
    磁石を束ねる時S極とN極を揃えると磁力は強くなるが
    向きを揃えない方が安定するというのは大変印象的だった。

  • 最初からいきなり気分のよくない話が続く。重苦しい。本当にありそうななさそうな、でも本当にあったらどうしよう。

    平和警察。一般市民から危険人物を炙り出し、公開処刑する。普通の人たち、ほんの少しだけ疑問を持った一市民たちが、勾留され、尋問、拷問され、処罰される。
    高校生同士のいじめ、諍い。
    女子高生たちを連れ去り襲う大学のサークル。

    これらが、謎の人物により阻止される。正義の味方とは一体何者なのか。目的は。

    嫌な話続きだったのに、そこから謎が深まり気になってくる。読む手が止まらない。これが第二部まで。

    第三部からは正義の味方、警察が言うところの「犯人」の一人称で進む。祖父の死。父の死。その後の、妻の死。知り合いの死。

    この辺から話のスピードが上がってきた。どうなるの。罪のない人たちを守ってくれるの。

    正義の味方を誘き出すための、高校生の公開処刑。そう言いながら処刑の真似が本物の処刑になるかもしれない危うさ。寸前までの息を呑む展開。

    もしかして、正義の味方と金子ゼミを繋いだあの人も、最後のこの客も、変装…というかそもそも本当のところはどっちなのか。
    爆死とか、トップのすげ替え操作とか…侮れない。


    真壁のキャラは、最近観たアニメの刑事とあまりにイメージが近くて、つい重ねてしまった。マイペースだけど正義感の強いあの人。二瓶の気持ちからすると、飄々としてるのに鋭くてどこか気を許せないタイプ。第一印象は平和警察と紙一重な感もあったのだが。

    火星でも散髪屋やりたいのかな、久慈さん。火星ちっとも関係なかったけど。強引にタイトルと結びつけてあるのに英語の意味は違うんですか。でもこっちの解釈もイイ。

  • 物騒な話。
    正義だと言われても、その組織が1番の力を持つと「なんでもあり」になってしまうのね。
    平和警察と名乗っておきながら、全然平和じゃないもん。
    連行したら容疑者に仕立て上げるだけ。こわー。
    自分たちの娯楽のようになってしまっているんだもんなぁ。
    どこか、一箇所に力が集中してしまうのは、全体からみると歪みができてしまうということ。これじゃ、バランスがとれるわけがない。

  • 伊坂さんの言いたいことはよぉ~~~くわかった。汗

    治安維持法を思わせる法が国会を通り、近隣の国やそこの国民に対する敵愾心、そして、ひたひたと日本国民が同じ方向を向かせられているような気持ち悪さと恐ろしさ・・・。

    こんな今の日本だから、近い将来作中にある「平和警察」なんてものが出てきて“魔女狩り”を始めるかも、それはホントに嫌らしく恐いことだよね、と問いかけているんだ、と思いながら読んだのだけど、読み始めてすぐ、とにかく怖くて怖くてとってもまともに読み進められなかった。

    でも、普通ならこの本は私の手に負えない、と放りだしてしまうのだけど(そういうことって私、よくあるのです。汗)、大好きな伊坂さんだし、この先に何が待ち受けているのか、つまり、だからこそ明るい展開が提示されるのかを見たくて、かなり飛ばし気味に読んでようやく最後まで辿り着けた次第。

    で、うんうん、そう出るわけね、という持って行き方には納得できたし、無理して(ホントに!)最後まで読めてよかったと思う。

    でも、好きな話ではなかった。
    権力を持った人の心の恐ろしさ、付和雷同したがる一般人へのそうだろうなという嫌悪感が、辛くて気持ち悪くて・・・。

    これまでにも伊坂さんのスタンスには共感してきたし、これかもきっとそうだと思うのだけど、今度はもっと辛くない話を読ませてもらいたいです。

  • 将来、こんな世界になりませんように、と思ってしまった。また、どこかで会いたいあの人(笑)

  • 相変わらずのさらりとした伊坂調だが、描かれているのは監視&密告社会、そしてかつての特高のような平和警察とは名ばかりの思想警察。そんな閉塞感に覆われた社会に突如として現れたヒーローとは。
    平和警察の憎々しさが上手く書かれていてさすが。現代社会も一歩誤れば、小説のような世界になるかと思うとゾッとさせられる。そんな社会全体を変えようとするではなく、身の丈にあった正義という考え方も伊坂さんらしく、ラストまで伊坂節を堪能できる一冊。

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