火星に住むつもりかい?

著者 :
  • 光文社
3.51
  • (128)
  • (409)
  • (467)
  • (81)
  • (13)
本棚登録 : 3070
レビュー : 449
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 伊坂さん新作は、治安を守るために危険人物を事前に裁く「平和警察」という仕組みがある日本が舞台。

    背筋が凍るほど恐ろしい。

    現実とはかけ離れている設定のはずなのに、今生活しているここでも起こりうることなのではと考えさせられる。

    フィクションと括って果たして良いものか。

    合法は善?
    違法は悪?
    人助けは善?
    犯人は悪?
    善悪の根本が揺らぐ。

    正義は時代によって、そして立場によって違う。

    簡単にくつがえってしまうから、呑気にしているなよと言われている気がする。

    伊坂さんの『ゴールデンスランバー』、吉田修一氏の『悪人』あたりが好みの人におすすめの一冊。

  • 罪なき人が裁かれていく前半の展開に挫折して返却してしまったのに、それを忘れてまた手にとってしまい…今回は読み終えることができました。

    最後の数ページになるまで結末が読めない展開はさすが伊坂幸太郎。

    そして正義とか偽善とか、そもそも正義などないのではないかとか、そういうので揺れてる感じがとても伊坂幸太郎らしいなと思いました。

    最後は火星に生物が?を聞いてこの物語にエンディングを

  • 胸糞悪い成分多いな

  • 仏教でいうところの「空」の思想が入ってる
    →助けられる人を助ける
    伊坂さんは自分でその考えに至ったのかな

  • この作品も「モダンタイムス」と同じように、前半は苦労しながら読んだ。
    拷問シーンが続くので…。
    しかしやはり伊坂幸太郎。
    わかりやすいフェイクを用意しておいて、その手には乗らないぞと疑いながら読んでもさらにフェイクが続くのだ。

    主要人物だと思っていた人が途中で姿を消す。
    え?こんなに早く?
    じゃあ、責任者は誰だよ!
    「モダンタイムス」で書いてたよね。
    システムに組み込まれたら、それぞれが自分の仕事を全うするだけ。
    全容を知っている人はいない。
    みんながパーツだから、責任を負う人はいない。

    そうか。その線の話か。と思ったら。
    …違った。微妙にその先の世界観…?

    言霊ということを私は信じている。
    口に出した事は、出さない事より力を持ってしまうというか。
    けれど言葉が真実を覆い隠すこともある。
    これも事実。

    交代制の「安全地区」に配置される「平和警察」。
    犯罪件数は減ったのかもしれないけど、疑わしい人、気に入らない人がどんどん密告される。
    そして罪を認めるまで行われる「取調べ」という名の拷問。
    「これはまるで昔の特攻ではないか!」などと言おうものなら…。

    “この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け。希望のない、二択だ。”

    LIFE ON MARS?
    自分でもどうにもできない恐ろしいニュースを目にして落ち込んだとき、デヴィッド・ボウイのこの曲を聴くことが多かったという作者。
    火星にでも住まない限りはこの現状から逃れることはできないのか…と思っていたら、実際にはこのタイトル「火星に生物が?」と言う意味だと知り、恥ずかしくなったとあとがきに書いてありました。
    ふふ。かわいい。

    あと、重要なのが「偽善者」という概念。
    全員を救えない善意など偽善じゃないか!
    作中何度も何度も出てくる糾弾の言葉。
    0か100なの?
    だとしたら、この世に善意も正義も実行できる人なんていない。

    自分が思うのはいいよ。
    自分の行為を、しょせん自己満足だったんじゃないか?偽善じゃないか?と思うのは、いい。
    だけど何もしない人間が、「結局全員なんて救えてないじゃないか。お前の行為は所詮偽善だ!」っていうのは、ない。
    そういうことに腹を立てる私はやっぱり偽善者ですか?
    そして、うさん臭い偽善者として密告されて、ギロチン台に送られなければなりませんか?

    世の中は変えていかなければならない。
    けれど、よくなるかどうかはまた別の話だと、この作品は締めくくられる。

    “振り子が行ったり来たりするように、いつだって前の時代の反動が起きて、あっちへ行ったり、こっちへ来たりを繰り返すだけだよ。(中略)振り子の揺れを真ん中で止めることはできないからね。大事なのは、行ったり来たりのバランスだよ。偏ってきたら、別方向に戻さなくてはいけない。正しさなんてものは、どこにもない。スピードが出過ぎたらブレーキをかける。少し緩めてやる。その程度だ”

  • 平和警察という名のもとに、魔女狩りのように『犯罪者』を断罪する。そんな理不尽な社会で起きる事件の数々。登場人物たちの主観が巡り巡り、大きな渦のように巻き込みながらストーリーが展開し、最後に残るのはいったい…?

    読み進めながらのもやもや感は、誰もが悪者にされてしまう恐ろしさって案外身近にあるのかもという感覚か。例えば出自や容姿など、努力でどうにもならないことを非難するいじめを見ているかのような。巻き込まれて何もできず、自分も臆病故に刃向かうこともできず、でも自分の中の正義は確かにあって…。痛快さは少ないけど、スーパーヒーローじゃない身近な正義にどこか自分を重ねてしまう物語。

  • 前半の読むのシンドさたるや。グロいわけではないが、とにかく気分が悪くなる。

    危険人物を割り出す組織「平和警察」が犯人を尋問、処刑する。
    自分が気に食わないという理由で、平和警察に嘘の情報を流し実際に処刑させてしまう流れ等、本当に胸糞悪い。
    平和警察は嗜虐趣味のある人ばかりで、これを「向いている」も評するのも胸糞悪い。
    たしかに今仕事に「やりがい」や「楽しさ」を求めるものだが、人を痛めつけることを楽しむのは間違ってる。
    犯人を拷問しないと口を割らないというのも、冤罪を有む可能性も高く意味がない。
    自分には関係ないからと、処刑される人を見に集まる市民も気持ち悪い。

    どちらも確実にいるだろうと思うからこそ、見なくて良い(または皆が隠してる)現実を、無理やり頭を捕まれ直視させられるような気分。
    実際自分も、悪い事なんてしないから関係ないと思っていたら、気付けば冤罪で拷問されているかもしれない。

    後半も後半、ほんの数ページで全貌が掴めるものの、前半に感じた気持ちは消えず、なんとも救いのない気持が残る。

    最近読んだ本でも、バランスが大事と出てきたけど、まだ咀嚼しきれない。

  • 久しぶりに伊坂らしい伊坂作品を読んだ気がする。
    検索に対する警戒を描いたあの作品に近い感覚。
    疑わしきは罰せずという言葉が頭の中をぐるぐる。

  • みわ

  • 伊坂幸太郎さんの『火星に住むつもりかい?』

    2015年2月20日発行。平和警察という架空の公権力による暴走を描いた作品。知らず知らずのうちに窮屈な世の中になっていることに対する伊坂さんなりの警鐘なのかな。

    「平和の名の下に」。一見否定しにくい価値観だからこそ、どういう真意で語られているのかを見極める目が必要になるのかもしれませんね。

全449件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

火星に住むつもりかい?のその他の作品

伊坂幸太郎の作品

ツイートする