火星に住むつもりかい?

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 3070
レビュー : 449
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

感想・レビュー・書評

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  • なるほど。見事な伊坂ワールド。
    「正義」「理不尽」「偽善」、これらの意味があやふやになり、自分の立つ足元がゆらぐ。
    「平和警察」が支配する世界は恐ろしいが、それに慣れていく人間も恐ろしい。
    犯人も、それを追う刑事も、どこか憎めないキャラ設定なのも伊坂作品ならではで、ほっこりするのではあるが、著者のミステリーの中でも本作のように「全ての伏線が最後にはピタリとひとつのピースに当てはまる系のやつ」を最近他にも数冊読んでしまったからか、どうにも全てのピースがあまりにも上手く収束し過ぎてしまうのに味気なさを感じてしまうのは私だけだろうか…。
    いやなんか、あまりにもお見事というか、出来すぎというか、全てが伏線と思って身構えちゃうというか、読んでて気が抜けないというか(笑)
    2018/08

  • すっげぇ面白かった。これは今、読むべき本という気もするな。そして、読みながら『ゴールデンスランバー』、『モダンタイムズ』といった、この人の別の話も思い出した。

    モリカケ問題とか、いろいろ出てくるけどさ。なんでここまでになってなにも変わらないんだろう、といやな気分になる。そこに生き残る知恵を提示してくれた、というより、こうしたらどう?なんて陽気に道筋をしめしてくれるような感じだ。

    虫の話が出てくるのも、他の話に近くていい。この人のこの系統の本。もっと読みたいな。

  • 将来、こんな世界になりませんように、と思ってしまった。また、どこかで会いたいあの人(笑)

  • 相変わらずのさらりとした伊坂調だが、描かれているのは監視&密告社会、そしてかつての特高のような平和警察とは名ばかりの思想警察。そんな閉塞感に覆われた社会に突如として現れたヒーローとは。
    平和警察の憎々しさが上手く書かれていてさすが。現代社会も一歩誤れば、小説のような世界になるかと思うとゾッとさせられる。そんな社会全体を変えようとするではなく、身の丈にあった正義という考え方も伊坂さんらしく、ラストまで伊坂節を堪能できる一冊。

  • 一時、伊坂さんの作品は好きで読みまくったけど、気に入らない内容が増えて離れていた。この作品は・・展開は初期作品に通じるじけど、設定が・・風刺と割り切るには冷酷過ぎる。ラストで中和しようとしても、後味の悪さは消えない。正直、やり過ぎでしょう。少々の優しさでは拭えません。名前の誤魔化し、社会の理不尽さ、人の身勝手さは戯画化でも現実に通じるが・・ギロチンはいけません(^^;
    前の、ふと感じるほのぼのが好きだったんだけどなぁ~

  • よくぞやってくれました!というスッキリ感よりも怖さが残る読後感。それはたぶん、公開処刑を煽る群衆の中にいる自分を少しでも想像できてしまうから。仮に私の住む町が平和警察の安全地区に指定されたとして、こんな仕組みはおかしいという当たり前の結論にすら辿り着けない可能性があることを、現実社会で感じているから。

  • 平和警察による危険人物の取り締まりと称し、情報操作、密告、拷問、公開処刑が公然と行われるようになった日本。そこに謎の正義の味方が出現し、弱者を救っていくのだが…。

    序盤の拷問や、サディスティックな描写、悪意には気持ちがずんと重くなる。徹底的な悪を描かないと、そのあとの正義を正当化できないから、仕方がないのだろうが、寝る前に読むと寝付きが悪くなった。

    市民と警察の視点が複数入り交じって語られるうち、主要人物が絞られてきて、徐々に全体図が見えるようになる。
    ときどき前のほうのページを見直して、伏線を確認し直しながら読んでいくが、ミスリードされてさらに足元をすくわれる。いつもながら、よく練られたしかけで楽しませてくれた。

    仮想の日本ではあるけれど、監視カメラやネットでの情報操作、そして危険なものをいち早く排除することで平和を守ろうとする人々の姿は、決して現実とかけ離れたものではない。
    悪者をでっち上げ、吊し上げることで捌け口を作り、恐怖政治を行う。そんな日本にはならないでほしいと、切に願う。

  • 一九八四年に代表されるディストピアもの。

    昆虫すごい。組織を変えるには中に入ってトップをすげ替えるといいらしい。

    平和警察よりはシビュラシステムの方が好みだな。

    結局のところ個々が考えなくなること自体がまずいんですよねとか。

  • ゴールデンスランバーのような感じ。
    世界の経済のパワーバランスの移行、テロ、正義などなど
    今の世界情勢も学べるような内容。
    著者の言いたいことが伝わってくるような感じもする。
    読んでいる間、これからの日本がどうなっていくのか想像してしまう。
    テロが起こる理由もわからなくもない。生まれた時から階級制度のように、運命は覆すことができないのなら、この資本主義社会を、格差社会をいったんぶっ壊して更地にしてしまおう。という考え方はあるんじゃないかなと。
    しかもスピードの増したインターネット社会のおかげで、もはや国という集団を個人でも壊すことはできなくはない。
    これからどうなるのか。遠くの国で起こっている戦争はもはや身近なことになっている。

  • 系譜としては『モダンタイムス』のような監視社会が舞台。タイトルからSF作品かなと思っていたら違った。残酷な描写を軽い表現で書いているけれど、実際にあったら怖いことばかりだよなぁと思う。最近の伊坂幸太郎は当たりはずれが大きいなぁ。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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