火星に住むつもりかい?

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 449
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

感想・レビュー・書評

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  • ドキドキしながら読み進めたけど、私の想像力不足もあって、そんなに強力な磁石だったらもっと日常生活に影響出ちゃうんじゃ・・・?とか余計なことを考えてしまった。でも、また仙台が舞台なので、そのあたりは想像しやすくて楽しませていただいた。
    久慈の祖父の宝くじの話は、誰かのために使っても偽善って言われるし、自分のためにしか使わなくてもケチっていう人はいるし、努力せずに何かを手にした人に対しては何か言わずにはおれない人が必ずいると思う。人一人にできることなんて限られているんだから、自分の中で限界を決めるのは正しい方法だと思う。

  • 悲嘆の門を読んで気分が重くなったので、軽い話を・・・と、伊坂先生の作品に手を出したら・・・初っ端から期待を裏切られました。
    もう少し時間をおいて違う本を読んでから読むことにします。

  • 振り子の揺れを真ん中で止めることはできない。大事なのは行ったり来たりのバランス。偏ってきたら別方向に戻さなければならない。警察には警察にとって都合のよいシナリオがあって、殺人者さえも釈放される。義だ誠だと声高に叫びながらも自分たちにとって都合のいい情報が真実となる。社会の人の考え方も一つに揃えない方が自然な状態。全体の力は弱くなるが安定する。それはそれで、ある意味、平和ということなのかもしれない。良くも悪しくも今の世相である。自分自身のありようというものを静かに見つめなおすことができた。

  • すごい小説。素晴らしい小説を読んでしまった!一日使って読んで、今は達成感と充実感でいっぱい。とてもこわかった。恐ろしかった。でも面白かった。
    本当の意味での正義とは善意とは何だろうと考えた。この小説には色んな人がいて色んな考え方があった。震災のことも重なった。病気のことも重なった。死を意識したことも。フィクションだけれど、伊坂さんの心の葛藤のようなものもとても感じた。苦しくなった。でも最後には優しい方向に終わった気がする。バランスが大事だなと思った。偏りはやっぱりこわいし、ダメだよねぇ。
    伊坂作品はいつもそうだけど印象的な言葉が多いなぁ。忘れないようにノートに書いておこう。
    とても楽しい読書時間だった。15/06/19

  • デビッド・ボウイさんの名曲のタイトルを冠していますね。
    だからといって、その曲自体との関連性は、あくまで気分的なものみたいです。
    「住みづらい浮世」=「火星にすむしかない」というたとえ話的な気分。
    原曲の意味とはちょっと違う使い方。

    伊坂幸太郎さんの最新作。
    オーウェルさんの名作「1984年」を、仙台を舞台にして、痛快にハッピーエンドにしたような内容です。

    これまでに、衝動買いした
    「チルドレン」(2004) を皮切りに、発表順で言うと

    「ラッシュライフ」2002
    「陽気なギャングが地球を回す」2003
    「重力ピエロ」2003
    「グラスホッパー」2004
    「死神の精度」2005
    「魔王」2005
    「砂漠」2005
    「陽気なギャングの日常と襲撃」2006
    「ゴールデンスランバー」2007
    「モダンタイムス」2008
    「SOSの猿」2009
    「オー!ファーザー」2010
    「バイバイ、ブラックバード」2010
    「マリアビートル」2010
    「夜の国のクーパー」2012
    「残り全部バケーション」2012
    「ガソリン生活」2013
    「死神の浮力」2013
    「首折り男のための協奏曲」2014
    「アイネクライネナハトムジーク」2014
    「キャプテンサンダーボルト」2014
    「火星にすむつもりかい?」2015

    と、なんと23作品読んでいることになります。
    僕は好きです。凸凹はありますが。
    大体において、犯罪があったり殺人があったりというのはほぼ一貫していまして、
    それなりに入り組んだ伏線と、弱者への暴力という現実を認めつつ、
    フィクションとして最後にうっちゃりをかまして溜飲を下げる、というエンターテイメント性。
    そういう意味で基本は男子向きなんだろうとは思います。
    (ここまで読んじゃったら、もう、未読の作品もおいおい全部読んじゃおうと思っています)


    特に好きなのは殺し屋モノ「グラスホッパー」「マリアビートル」。
    それから「バイバイ、ブラックバード」「キャプテンサンダーボルト」。です。
    僕としてはこの4作は特に、真冬に凍えて帰って風呂につかるような快感でした。
    (並べるとカタカナ題名ばかりですが…)

    ####

    「火星にすむつもりかい?」。面白かったです。

    設定はまあ、現在もしくは近未来?の日本。
    2015年現在の安倍政権よりも、もっと恐ろしい国家権力重視な政権下の日本です。
    (2015年現在からまっすぐ直線上に想像できるところが怖いんですけどね)

    このフィクションな日本では、「平和警察」という名前の、戦前の特高警察のような組織ができています。
    この組織が警察の一部でありながら特権的な力を持っていて、
    「テロに加担している」という疑いをもたれた市民、あるいはそういう密告を受けた市民を、
    合法的に拉致監禁して、非人道的な拷問を課して、
    例え無実でも自白させてしまって、公開処刑しています。
    市民はこの警察を恐れつつ、
    「まさか無実の人を有罪にしていないでしょう。彼らは悪い人なんだろう」
    と、納得してしまっています。
    そして、「密告した者勝ち」の様相を呈しています。

    ここで寒気がするのは、

    「人を見下して、優位性を味わいつつ虐げる喜び」

    「他人事に不感症になり、スキャンダルとして娯楽的に愉しむ国民たち」

    「権力そのものを正当化して、権力を行使するために、暴走する権力」

    ということを圧倒的に描いていることですね。
    それはつまり、

    「あなたもわたしも、われわれの身近にも、実際そうでしょう?」

    という慄然とするリアリズム、とでも言いますか。


    つまり、「いじめ」「パワハラ」の構造です。


    ただ、伊坂幸太郎さんの小説をエンターテイメントとして読めるのは、
    ワンパターンとも言えますが、そういう前半部を経て、
    必ず「おとぎ話でも良いから、それが敗北する結末を用意してある」ということですね。

    と言う訳で、この小説は、その「平和警察」が、大ドンデン返しで崩壊するまで、を描きます。

    途中までは、「平和警察」に挑む孤高の反逆者のミステリー。
    この、バットマンのような反逆者は誰なのか?なぜこんなに強いのか?

    そして、途中からは、追い詰められたバットマンがどうやって逃げ延びる?
    強大な平和警察にどうやって立ち向かう?というミステリー。

    相変わらず、
    「恋愛」も「不倫」も「性愛」も「家族愛」も「そこはかとないセンチメンタルさ」も、
    「淡々とした日常の悲しみ」とか「傷つきながら自分を発見していく」とか、
    「不治の病」とか「夢を追い続ける」とか、「癒されて行く心」とか、
    「内省的に傷ついた心情から前を向くまで」とか「親子の葛藤」とか、
    そういう低予算日本映画的な世界観から遠い地平線に飛翔したぶっ飛びハードな娯楽小説です。
    (「低予算日本映画的な世界観」が面白くない、ということではありません。
    ただ、伊坂幸太郎さんの個性っていうのは、そういうことかなあ、と。
    例外的な作品もありますが)

    当然ながら、細部で言うと、
    ●暴力的な悪役たちの、ちょっと読むのが辛いような残虐さ
    ●立ち向かうバットマン的なヒーロー?の、痛快なアクション
    という部分もあります。

    でもこの小説家さんのいちばんの個性は、
    ●そういうことを俯瞰に嘲笑うような客観性
    ●愚直なハードバイオレンス物語にはあり得ない、軽い脱力した人物造形。
    ●最終的に「アレがアレだったのね」と膝を打つ伏線の功名さ。
    ということですね。

    何より、そういう男性的な娯楽小説的な愉しみや、高度な技術と同時に、
    娯楽の基盤としての「残酷な現実」と「それを許したくない情熱」があることが、僕は好きです。
    そういう意味では、津村記久子さんの小説に似ています。
    (仙台=東北、というローカルな舞台設定に拘泥するところも、津村記久子さんに似ていますね。
    「エヴリシング・フロウズ」も、是非おすすめです。洋楽の楽曲名を題名にしているのも似ていますね。
    女性読者には、特に津村さんがお勧めですね)

    高度経済成長どころか、長引く低成長、不景気、非正規雇用、将来への不安、そしてそれに伴う右傾化と全体主義と反知性主義の台頭…
    そういう21世紀の日本の雰囲気と誠実に向き合っている作家さんだなあ、
    という信頼感が、僕はあります。
    (また、「娯楽小説を書く技術」と言う中に、「豊富な過去の作品への愛情と傾倒」が色濃いことも、僕は大好きです。ソレがあるから、大量生産できているんだろうなあ、と思います。
    小説に止まらず、映画や音楽も含めて、「ビデオレンタル世代」の偉大な創作者だと思います)

    最期のなぞ解きというか、大団円への怒涛の展開が、若干強引かな?という疑問も残りますが…。
    (ま、その辺で、伊坂さんの最高傑作のひとつだ!とまでは言いません)

  • 偽善行為、自己満足、自己犠牲など、なんとなく触れて欲しくない部分が事件を通してさらされる。
    政情が良くなった様でそれは振り子がどちらかへ振れたに過ぎない。
    そこから逃れたかったら“火星に住む”しかない。割とストレートな伊坂ワールド。

  • 伊坂幸太郎自身も後書きで書いていたけど、すごく読むのが辛かった。

    夜の国のクーパーでも、自分が恐いと感じたことを書いて安心すると語っていたけど…なんでこんなに恐いことを書くのだろう…と思った。

    恐い内容に対して、それを乗り越える部分が私にとっては比率的に少なくて、なんというか、人間の恐ろしさに目を向けさせる小説なのかな…という印象で終わった作品でした。

  • 「どうした私!伊坂の世界に入り込めないわぁ」
    と思いつつ読み進めて途中、あぁ、伏線回収をしたいがためにオチを作るための前半戦?!と深読みをしながらあれよあれよという間に深みにはまり込み、でもどうしても納得できないまま終盤へ。
    練りに練ったストーリーテラーに舌を巻く思いですが、なんだろどうしてだろ、☆は5つ付けたくない。
    後味の悪さ、手を洗っても洗っても綺麗にならないような気がしてしまうような・・・

  • いつも伊坂氏の語り口ではあるが、世の中の設定が実はおそろしい。善悪、偽善について考えさせられる。世の中常に偽善の中で生きているような気すらするもの。その果てにもしかしたらこんな社会が待ってるかも?そのころ火星に住めるようになっているかどうかは???

  • この前に読んでいた本に比べてページが進むこと進むこと…改めてエンタメ読書だな自分、と痛感。
    さて、伊坂さんの新作です。正義って何かね…と菅原文太さん風に聞きたくなるような。伏線回収のスカッはあっても、読後感はスカッとする感じではなくモヤモヤと考えさせられる。ゴールデンスランバーやモダンタイムスで公権力の怖さみたいなものはよく書いておられますが、それともまた少し違う感じ。
    集団心理の怖さ?暴力のもつ引力?誰が、何が正しいのか?
    常識を疑え、心で感じろ、という言葉がうかびましたが、本当にこんな風になったら下を向いて嵐が過ぎるのを待ってしまいそうだ。と言っている時点で他人事なのだが。
    淡々と抑えて話が進む感じが余計に怖かった。伊坂さんらしい軽妙な会話や伏線はいつものように楽しかった。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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