内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

著者 :
  • 光文社
3.30
  • (31)
  • (65)
  • (155)
  • (19)
  • (12)
本棚登録 : 667
感想 : 117
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334933395

作品紹介・あらすじ

無能なトップ、暗躍する人事部、社内に渦巻く不満と嫉妬…日本を代表するリーディングカンパニーは、「成果主義」導入10年で、無惨な「負け組」に転落した。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 富士通で導入された成果主義は急速に内部の社風と業績に影響を与えた。
    ・管理職の90%がA評価。
    ・無理やりS、A、Bの割合を部署ごとに割り当てるか、支給できるボーナス枠を限って皆A評価なのにボーナスが少ない。
    ・降格を行えない。
    など、成果主義が実力主義と全く結びつかなかった。
    半年先の数値目標なんて一部の営業くらいしか成立しないというのは自分の会社でも他人ごとではない。
    全部当てはまると思うけど、all、Bで年功序列的な成績の上がり方をしているので、特に不満も出ない。現場で使えなくない人材が人事部にいくという人事をする気が無い会社なのでねえ。それならば部単位で人事を透明に完結させる仕組みがないと動きませんね。

  • 図書館で借りた。

    富士通が成果主義を社員の評価に取り入れてから業績が非常に悪くなっていった時期のことを人事部の視点から書いている。

    目標を定め、達成の度合いで賞与や昇進、昇給に差をつけるという単純な仕組みだけれど、内部では達成の度合いの分布が決められていて相対評価されていた。しかも分布の調整をするのは評価される社員の上長ではなく、さらに上の事業部長同士であったりして、調整結果を伝える上長も理由を説明できないという、被評価者には不満が溜まる運用をしていた。
    なぜか本部の人事だけは全員評価がよいということもあったよう。
    なぜそんな運用になったのかを人事部自体の問題として、会社の文化の問題として、書いていた。
    まさか人事が社員の個人情報を漏らしていて、それがヘッドハンティングに使われているなんてことがあるとは信じられなかった。

  • ふむ

  • 得たもの
    ーーーー

    とても参考になった。
    なぜ、富士通の成果主義がダメか?よくわかった。
    人件費抑制が最大の目的になってしまっていて、既得権益者が若い者の定期昇給や賞与を抑えたいだけだった。

    今後の対策も納得のいくものが多く、現実に取り入れられているものも多い

    ・評価を無理に具体化、定量化しない(数字にしやすいものを目標に掲げるだけ)

    ・評価者の削減

    ・管理職削減(降格制度の導入)

    ・管理職以外のキャリアパスの導入(専門家コース、高額の技術手当など)

    ・結果の透明性(成績公表、360評価導入なそ)

    批判も概ね論理的で、提言も現実的なものが多く、現代でも十分通じる内容であった。

  • 内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス) 単行本 – 2004/7/23

    まるで社会主義諸国のようだ
    2011年11月30日記述

    2004年に出た本。
    普段よく著者である城繁幸氏のブログ、
    Twitterなどを読んでいて最初の本はどんなものだったのだろうかと興味がわいてきたため今更ながら手にしてみた。
    なるほど、当初から年功序列の抱える矛盾点や課長職以上になる社員がこれからは減るだろう
    ということなど今に通じることを指摘していたのだと分かる。
    また巨大企業における腐敗が進みすぎた例としても勉強になる。

    結果的に中途半端な成果主義がいかに多くの人間を苦しめたか。
    かつての社会主義を導入して没落していった旧東側諸国のようでもある。
    そして何より事態を深刻化させたのは当初、成果主義がうまくいっていないと答えた社員たちを
    圧迫面談して次回のアンケートで9割以上の者たちに肯定的な意見を言わせたことだ。
    ありのままの事実を見つめる努力を放棄したのは致命的だと思えた。
    (この一連の動きもまるで社会主義諸国のようだ)
    今となっても人事制度を改める際にはこの失敗(本書)から多くのことを学べると思う。
    あと当時の光文社ペーパーブックスは英語表現がところどころ入っていて読みにくい。
    紙質もよくない。
    その2点が残念なところだ。

  • こういう暴露本は、なかなか出てこないですね。企業が訴えるからなのか。

  • 2020年再読。
    こんなに読みにくい本だったという記憶はなかった。
    横書きは良いとして、多くの言葉の横に、英語の単語・訳が書かれているのは、全く意味不明。
    読みにくいだけ。

  • 成果主義導入から30年弱。
    実質的な年功序列制度の名残や日本企業的"ムラ社会"が失敗の本質。
    人事の暗部なんかを見てると(事実かは不明だが)池井戸潤のような世界だと感じた。
    DX企業を目指し、年功序列制度撤廃を目指す同社だが、当時の経験を今回の改革にどこまで活かせるか。

  • 富士通をモデルに成果主義のデメリットを細かく論じている。
    非常に細かいので人事の人が読んだら面白いのかもしれないけど、自分にはしんどかった。
    そもそもなぜか横書きだし、用語の横に英単語が書かれてて非常に読みにくい。なぜこれにしたのが疑問。

    2000年前後の富士通の悲惨な現状がリークされてる。他の大企業に共通する部分もあると思ったが、あまりにもひどい。やはり上が絶対の体育会気質な会社なんだなと感じた。

    ○上からの命令に従う文化になった結果、経理は上から言われた「年間売り上げ目標」に達するように各部署に迫るようになっていった。本来経理は会社の現状を正直に経営層に報告すべきなのに。経理は経営層が思いつきで言う目標数値を各部署にせっついて死ぬ気で達成しなければならなくなっていた。

  • 2004/8/3

全117件中 1 - 10件を表示

城繁幸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×