秘密工作者: チェ・ゲバラを殺した男の告白

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334960513

感想・レビュー・書評

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  • 凄い、凄い!何が凄いって表紙カバーに記されている訳者名が、
    著者の名前よりでかいのが凄いっ!

    さすが世界を股にかけて来たノビーだっ!CIAに200人の知り合いが
    いるとか豪語していたから、本書の著者も知り合いなのかしら?

    で、凄いのは表紙カバーのデザインだけで内容はというと「へぇ
    へぇ、そうでっかぁ」って感じ。

    革命家チェ・ゲバラと言えば日本でも人気があるからサブタイトル
    に入れたのだろうが、著者はCIAのエージェントしてボリビアでの
    ゲバラ拘束には関わっているだけで実際に射殺したのはボリビア
    政府軍の兵士だからね。

    ウソを書いてはいけません。あ、そうか。訳者がノビーだからウソ
    でもいいのか。だって、ノビーと言えば書店のノンフィクション・
    コーナーよりも空想小説コーナーが似合う捏造ジャー…(以下、自粛)。

    さて、肝心の内容。著者はカストロ憎しの亡命キューバ人。紆余曲折
    あってCIAに在籍することになった。そこで実際に携わった、ボリビア
    でのゲバラ生け捕り(ボリビア政府によって見せしめの為、処刑)や、
    カストロ暗殺計画、ヴェトナム戦争等について書かれている。

    フィデル・カストロがそのカリスマ性で革命後のキューバをまとめて
    行った一方で、革命前のバティスタ政権の富裕層でアメリカに亡命し
    たキューバ人から、その死を望むくらいに憎まれていた。

    だから、2016年にカストロの死が伝えられると狂喜乱舞する人々の
    様子が報道されたのは知っていた。豊かな暮らしを根本から覆された
    恨みなのだろうなと思って受け止めた。

    なので、本書ではアメリカの傀儡政権側を支持した人々がバティスタ
    時代をどう評価しているか知りたかったのだが、その点に関しては
    皆無だった。

    ただただ、カストロが憎いだけ。その恨みつらみが著者とCIAを繋ぐ
    ことになったのだろが、結局は638回もカストロ暗殺計画を立てて
    おきながらすべて失敗。カストロは天寿を全うしましたとさ。

    ヴェトナム戦争にしても同様。著者の言いたいことを簡単にまとめると
    「ヴェトコン殲滅に尽力しました」となるのだが、こちらもアメリカは
    撤退するしかなかったじゃ~ん。

    よくこんな作品を世に送り出したなぁと思う。CIAがただのオマヌケ
    集団に見えるし、キューバに関しては益々カストロに肩入れしたく
    なる不思議な内容だった。

    まぁ、キューバにしろ、ヴェトナムにしろ、アメリカという巨人に
    対峙した方に感情移入しちゃうんだよね、わたしゃ。

    書かれている内容のほぼすべてに反感を抱かせてくれる読書体験
    だった。めったにない体験をしたことだけが収穫かな。

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