第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334961886

作品紹介・あらすじ

人間には理屈を超えた"何か"がある。心理学で注目を集める「適応性無意識」とは?全米連続50週ベストセラー、世界34ヵ国で翻訳。

感想・レビュー・書評

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  • はじめての人と出合ったり、本物なのか贋作なのかわからない美術品とでくわしたり、そういったとき人は、無意識のうちに瞬時に正しい判断を下せるものなのだ、というのが、本書の大きなテーマです。逆に、情報過多になるくらいの情報をふまえて判断していくほうがよっぽど間違えるものだ、ということも明らかにしていました。様々な事例や研究から論立てしていく構成になっています。

    誰しも第一印象が正しかったケースを経験していると思います。同様に、第一印象で間違ってしまった経験もあるでしょう。それは偶然の産物ではない、と著者は論じていくわけです。最初の2秒での判断を、本書では「輪切り」と呼びます。その瞬間の輪切りから情報を取り出して、人の無意識は一瞬のうちにただしい判断をするのだと。でも、そこには個人差があります。経験や知識、訓練といったものが積み重なっていてこそ、輪切りによる判断はうまくいくようです。また、輪切りから引き出されるさまざまな情報のうち、どれがその場合においてもっとも重要なポイントなのかも判断するカギになる。たとえば、輪切りから10の情報を手に入れたとして、判断に使うのはそのうちでも重要な3つだとかになるわけです。そういった判断、選択、決定の精度が経験や知識、訓練によって上がっていくもので、そうやって精度の上がった「第一感」はより正しく瞬時に判断を下すものだし、「第一感」を信頼できるようにもなっていきます。

    また、アメリカでは警察による誤認発砲などで命を落としてしまう黒人のひとたちが多数いるのですが、そういう場合になぜ「第一感」が作動しないか、というところも本書の後半部で明らかにしています。そこには、自閉症の人とおなじように、人の心が読めなくなる心理が働くためだという理由がある。人の心が読めなくなるのは、興奮しすぎている状態がそうだといいます。また、同様に、心拍数が175を超えるなど過剰に血流がよすぎるようになると、これも興奮状態であって、人であってもモノとして捉えるような集中の仕方(これも自閉症的なのです)になってしまう。つまり、落ち着いていないと第一感を捉えられないのです。瞬時に判断する第一感といえど、自らが落ちつくための時間が必要であるのでした。あまりに短い時間での判断を強いられても、第一感以前の最低限の直観的反応しかできなくなるそうです。たとえば、とりあえず怪しい人物へと銃を構えるというような。

    本書で特におもしろかったのは、表情からピタリとその人の感情や嘘をついているかなどを当ててしまう教授の話です。目は口ほどにモノを言う、といいますが、顔全体は目よりもモノを言っているみたいです。表情筋の動きや、できた皺から、その人が寛容な人物なのか凶暴な人物なのかさえ判断できるとのことです。そんな人の顔から、僕たちは日常的に第一印象で無意識に判断していて、好感をもったり嫌悪感を抱いたりします。まあ、判断する側の価値観も関係するわけですから、そのあたりも鑑みる必要がありそうだと、僕は考えましたが、人の顔にはそれだけありありとその人の人間性が表出されているのだなあと知ると、ちょっと怖さも感じました。

    それと、この表情から人となりなどを当ててしまう教授が学生の頃に競馬の予想屋をやってかなり儲けたそうで、その予想の切り口がどうやら競走馬の心理を考えるものなのでした。あるレースである牝馬に負けた牡馬が、別のレースでその牝馬と一緒になり、となりのゲートに入ったならその牡馬は決して勝てない、だとか理論があるそうで。もうちょっと詳しく知りたくなりましたが、数行程度でその記述は終わっていて、惜しかったです……。

    というところですが、読み応えのある良書でした。翻訳もよみやすいです。2006年発刊ですが、内容はまだまだ古くなっていません。言語化することで第一感が鈍ってしまう、という章もありそこもなかなか肯けるのですが、言語化でアジャストしていくことが良いのだ、とする現在の認知科学の方法論と照らして読んでみると、自分なりの咀嚼ができるのではないかなと思います。

  • OUTLIERS(THE STORY OF SUCCESS)
    天才!成功する人々の法則(マルコム グラッドウェル、勝間和代訳)
    天才、生まれながらの天才なんてい無い。
    たった一人で成功した者はいない。ビルゲイツやスティーブ・ジョブズも1950年代に生まれて、コンピューターにであって今がある。天才は才能に恵まれて、環境や出会う人に恵まれ、10000万時間の努力ができて初めて天才と呼ばれる人が生まれるのだ。
    成功者、天才は歴史と社会、好機と遺産の産物である。
    成功した人は自分が努力したからと思ってる人が多いが、努力しても成功出来なかった人は多い、本人の努力はもちろん必要だが、環境、時代背景、周囲の人に、祖先に支えられて初めて成功するものである。
    成功者の『努力と個人的資質が全てを決める』という考え方は間違っている。
    どんなに個人の能力が高くても環境が悪い時就職氷河期に当たった人達はその後不遇な人生を送ってる人は多い。これが現実だ。
    全て本人の努力不足と言う人は傲慢だ。
    そしてどんな天才もモーツァルトもビートルズも『1万時間』のスキル習得のための時間は必要であった。生まれてすぐに全て出来たわけではない。この『長期にわたってトレーニングを積める機会』こそが、『並外れた好機』なのである。今の若者にこのチャンスが失われている事が問題なのだ。
    どんなにIQが高くても父母が貧しかったり、理解がなくそれを発揮する機会が与えられなければ、成功するチャンスは減るだろう。
    我々が出来ることはそのような若者のチャンスを減らさないよう、むしろ増やしていけるようにする事だろう。能力が有っても機会に恵まれない若者を救う『ミスター•チャンス』
    (タイガーマスクみたいな)になる事が必要だ。
    我が国では今、相対的貧困家庭(年収が全国民平均の年収の中央値の半分に満たない家庭)に生まれる子供は全体の15%もいる。これが母子家庭に限っていえば、なんと60%にも達している。他の国にも貧困家庭に生まれる子供はいるが、主要OECD諸国で唯一税金の再配分後でも貧困率が上がる国となっている。これはおかしい話だ。 

  • 直感が他のいろいろなものに勝るときや、またその逆についていろいろな事象や実験をもとに書かれている

    面白いけど、それだけ、とも言える。

    行動経済学の本なんかにはよく書かれてあるけど、人間は選択肢が多いほど決められないということが1番納得した。


  • 本書のタイトルと、サブタイトルの「最初の2秒がなんとなく正しい」が表しているとおり、第一印象を科学的に分析した内容。

    面白い内容ではあるけど、読み終わってしばらくしたらあまり印象に残っていない。


    なんとなく、というのを判断の根拠にした時、基本的にあまり良い印象はないよね。
    「なんとなくじゃなくて、はっきりと根拠を!」
    と言われそう。
    特にビジネスの世界では。

    ただその「なんとなく」も、ちゃんと自分の人生で得てきた経験を無意識的にではあるが、バックボーン(作中では輪切りの能力と称してます)にしており、意外と馬鹿にできませんよ、っていう事を色々な事例を交えて紹介してくれている。


    ヨーロッパ系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人の件は面白い。
    確かに、と頷かされます。

    しばらくして再読かな。

  • このタイトルに何らかの閃きを感じたり、シンパシーを感じる人には読む価値が無い。何故ならごちゃごちゃと論証しているが、直感が正しいと言うことに対して経験上そうなのだという以上のロジックは出てこないからである。

  • 最初の2秒の判断が正しい例と、正しくない例と、経験を積むと最初の2秒で正しい判断が出来る例と、経験を積んでも正しい判断が出来ない例と、まあどっちも出てきて、
    タイトルの「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」は、
    第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい(ことも結構ある)
    くらいがよいのではという印象でした。
    まあ、頼りすぎるのも良くないよね、っていう反論封じなのかも知れません。

  • 人はちょっとの情報で本質に近いことを把握する能力がある。それが第一印象であり、理由は分からないが、感じるものがあるということ。そして、それが正解であることも多い。
    ただ、消費者調査となると、第一印象だけでは評価できないのに第一印象だけで評価しようとしたり、斬新で違和感を感じていることを拒否反応と捉えたりと、エラーが起こり得る。もっとも、違和感が最初だけの場合もあれば、それがずっと続く場合もある。
    第一印象の重要性と、その理解の仕方の難しさが述べられており、ニューコークの事例などは興味深い。私自身、このタイトルに魅かれて、第一印象で買ってしまったのだが、この第一印象は正しかった。

  • 2024/02/27読破 
    一言 ファーストチェス理論

    感想 徳間さんのおおすめの本にあり読みましたが、目新しいことはありませんでした。海外での体験記は面白いので、読み物としてはいいかもしれないです。

    下記は印象に残った点

    p66
    前頭葉腹内側部に損傷があると、知識と行動の繋がりが断たれてしまう。
    →理性が働いた行動ができない

    p142
    余計な情報はただ無用なだけではなく、有害でもある。
    →人に伝えるときは、過不足ないことが大切。

  • タイトルからはHOW TOか自己探求ものかと思ったが、心理学実験や実際の事件を通して人間の感情や判断力のもとを読み解くというもの。科学ドキュメンタリー番組を見ているような感じで楽しみながら読めた。「謝辞」を読んだ後、カバーの写真に気づいた。なるほど。

  • 瞬時の判断には、蓄積したデータと経験が必要。プロは無意識に積み重ねた経験を基に判断している。 第一印象は、無意識のステレオタイプや言語化できない部分を最もらしい理由に合わせてしまう傾向があり、判断を間違うことが多分にある。 第1感は存在している。 正しい判断をしていくために、直感的な思考と熟考のスキルを鍛えていきたい。

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著者プロフィール

1963年イギリス生まれ。
カナダ・トロント大学トリニティカレッジ卒。
『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、現在は雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターとして活躍中。邦訳には『天才!』『ニューヨーカー傑作選』ほかがある。

ある製品やメッセージが突然、爆発的に売れたり広まったりする仕組みを膨大な調査とユニークなフレームワークによって解き明かした最初の著書『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』)、人間は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、物事の本質を見抜くという仮説を検証した2冊めの著書『ブリンク』(邦題『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』)は、いずれも世界で200万部を超える大ベストセラーになっている。

「2014年 『逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マルコム・グラッドウェルの作品

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