ロシア闇の戦争: プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334961985

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  • 2007年刊行。元KGBメンバーが暴露したモスクワ・アパート連続爆破事件(1999年)の内実。そのためか、後に亡命先のロンドンで客死したリトヴィネンコ。その彼が所属したKGB、その後継のFSBが関与した種々の工作を明らかにしつつ、かかるKGBの実力を背景に成立したプーチン政権の裏面を暴いていく。KGBはソ連・ロシアを見るために不可欠な要素だが、なかなかその内実が表に出てくることはない。本書は、その中でも内幕暴露本として特異な位置を占めることは間違いない。

  • ロシアがチェチェン戦争に至った背景にある一連のテロについて、
    背後に連邦保安庁がいたことを立証する一冊。
    どうしても慣れない人名/略称/機関名が多いため、理解は難しい。
    また内容もショッキングであり鵜呑みにはし難い。
    しかしこうした世論がロシアにはあり、
    また信じるに足る論拠があることを知れた点で非常に有意義であった。

  • テロリストの最大の目的は社会に憎悪に満ちた重苦しい空気をつくりだすことだった。
    テロ攻撃がロシア政府のいかなる重大な決断に影響を与えるかは明白だった。爆破事件の結果、ロシア政府はあっさりチェチェンへの軍隊を送り込む決定をした。しかしチェチェン人が望んでいたチェチェンを独立国として公式に承認する可能性はいささかもなかった。

  • 99年にロシアで頻発したマンションへの爆弾テロ事件はロシア政府が言うようなチェチェン人テロリストの仕業では決してない。チェチェン戦争をはじめるためにロシア諜報組織「FSB」が爆弾をしかけて回ったのだ!と告発する書。著者がFSB関係者でなければとてもじゃないけど信用できない話が次々と出てくる。住民による通報で難を逃れた街で起こった不思議な事態。証拠品の爆発物は姿を消し、数日の空白の後に住民には知らされた「演習だった」とのFSBの不自然すぎる釈明。読めば読むほど、犯人はFSBしかあり得ないように思えてくる。そしてそんなFSBの長官だったのが、プーチン前大統領・・・。ロシアはどこに向かおうとしているのだろう。FSBが解体される日は、しばらくは来ないだろうし。

  •  FSBの犯罪について暗殺されたリトビネンコとその友人が書いた著作。内容としてはリャザンに置けるアパート爆破事件のFSBの自作自演事件に着目しているが、それのみならず、FSBの犯罪行為を取り上げている。私が読んだ印象としては、ソ連時代、確かにFSBは非常に抑圧的な暴力機構としての役割を果たしたが、その一方ソ連共産党書記長、あるいは政治局に対する絶対的な忠誠が求められていた。しかし、ソ連の崩壊によって忠誠を誓う存在が消え、求める命令は内部組織の上司やそこでの規律になった。このことがFSBの犯罪とその後の政治参加、そして支配に繋がるように思う。組織や集団にはそれぞれに役割がある。特にソ連のように、暴力機構としてのKGBが共産党を支え、軍を抑えつけ、そして大衆を監視していたのであれば、その垂直統合型の命令系統の上部から共産党体制が消えた時に、自己判断と暴走行為が生じるのは当然の帰結と言える。しかし、混乱期に仮にエリツィンがFSBの解体やそれを抑える事に成功していれば、状況は変わったかもしれない。いや、プーチンの搭乗後にFSBの権力が回復するよう組織改革が行われた事実はこれを否定するか・・・。
     いずれにしてもFSBが完全な犯罪集団と化した時、大統領もFSB出身である今、誰が彼らを制御するのか・・・。

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