誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性

  • 光文社
3.93
  • (37)
  • (51)
  • (29)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 610
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334962166

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者はGoogleの検索データをもとに、統計分析を行い、いかに人々が周りの目がないときには正直になるのかを明らかにした。ことさら、セックスと人種差別に関する検索ワードからわかる事実はいくぶんか衝撃的でもあるが、ある意味では予想に沿ったものでもあった。著者は、「グーグル検索こそ、人間心理についてこれまで収集された最も重要なデータセットだと確信している」ーなぜなら「グーグルのデータの価値が非常に高いのは、規模が大きいからではない。人々が真情を吐露している」からだ。

    ー たとえば、「トランプ支持が最も強かった地域は、「ニガー」という語を最もよく検索していた地域だったのだ」ということがデータ分析の結果として明らかになってしまう。

    ー たとえば、「米国では「天気」よりも「ポルノ」の検索のほうが多い」という不都合な真実も明らかにされる。

    ー たとえば、「妻が夫をゲイなのではないかと疑うことは案外多いこともわかっている。彼女たちはそれを、驚くほど共通の検索フレーズ――「私の夫はゲイか?」――で調べている。「私の夫は……」検索において、「ゲイか?」はそれに次いで2番目に多い「浮気しているか?」よりも10%多い。「アルコール依存症か?」よりも8倍、「鬱か?」より10 倍も多いのだ。何より啓示的なことに、夫がゲイなのではないかと疑っている女性の人口比は、寛容性の低い地域のほうがずっと多い」ということもわかる。

    ー たとえば、「失業率が1%上がるたびに、「児童虐待」と「児童ネグレクト」の検索は3%上がっていた」という形で貧困と虐待の相関性が明らかになる。

    今般、ビッグデータ分析の重要性が叫ばれているが、重要なのはその量ではなく、質であると著者はいう。その意味で、それぞれのOTTが集めているデータの質の違いにも着目されるべきである。「フェイスブックはデジタル自白剤ではなく、「自分はこんなにいい暮らしをしていると友人にデジタル自慢させる薬」」だし、ネットフリックスは「人の言葉を信じるな、行動を信じろ」といった上で「アルゴリズムは本人よりもよくその人をわかっているんだ」と付け加える。

    なお、「借金希望者の言葉遣いが、返済率の強力な予言因子になる」こともわかる - 「神に言及した人は2.2倍も借金を踏み倒しやすい」らしい...。

    • kazuya030さん
      とても面白そうなので、購入しました!情報ありがとうございます
      とても面白そうなので、購入しました!情報ありがとうございます
      2019/09/23
  • 競走馬の話は面白かった。因果関係と相関関係は違うから注意って話はまあ当然出てくるんだけど、最近テッド・チャンのメッセージを読んだ人間としては、タコ型異星人としての考えとしての因果ではない次元を想定しちゃうよね。ストーリーからポジションと俯瞰へというか。成功者になろうというロールモデルよりは、どういうポジションを取るのか。ベル・カーブのどこらへんを想定するのか。その場合にはどれくらいの浮き沈みがあるのか。まあVRで成功者の物語は体験できるしその逆もできるのだからそもそも実体的な成功にどんな意味があるの?とか、エリックフォッファー?

  • ビッグデータ分析に興味があるけど今のところ内容はさっぱり、という人にオススメ。ビッグデータ分析の魅力と効用、限界について平易な文章でわかりやすく解説されている。取り上げている実例も面白く、楽しく読めた。
    「広告には効果がある?」「脱税するのはどんな人?」「子育てするのに最適な場所は?」…なんてことがわかるというのだから、本書の諭すように『正しいデータと正しい問い』によりビッグデータをきちんと使いこなせれば、来る数十年で社会は劇的に変わるのではないかと思う。
    私たちは未だかつてなかった「人間の本当の欲望や恐れを知ることの出来る道具」を手に入れたのだなー。
    個人的に大好きなピンカーが序文を寄せてるのもポイントが高い(3ページ半だけど)。ビッグデータ分析を「人間の妄念を覗く魅力的な窓」なんて流石シャレた言い回し!

  • 人は、アンケートにはついつい見栄を張ったりやウソをついてしまう。
    でも、検索窓にウソはつかない。
    だからGoogleの検索履歴とかを分析すれば、かなり真実に近い人間の嗜好が読み取れるぞコレ!!

    という本。

    それはいいんだけど、それにしても性的な話が多過ぎないか。そんなにそこ重要?確かにウソをつきたくなりやすい分野だから、特徴が出やすいとは思うけどそれにしてもだ。人間ってそんなにセックスに支配されてるかなぁ?

    ということで、1/3くらい読んだところでもういいやってなった。

    ふと、30年も前に読んだブライアン・キイのメディア・セックスを思い出したよ。

  • 《データは、怒れる人々に説教すると彼らの怒りはかえって燃え盛ることを示唆している。だが人々の好奇心を微妙に刺激してやり、新たな情報を提示し、怒りの種だった人々についての新たなイメージを与えてやると、彼らの怒りと思考をもっと建設的な方向へと変えられるかもしれないのだ》(p.187)

    よかった。ちょっと書きぶりが露悪的にすぎる感もありますが。《Google検索には「本当に知りたいことを得られる」という本音を吐かせるインセンティブがある》――ビッグデータと統計分析から何が見えてくるかを紹介。「検索窓は告解の場としても機能している」というのがいい。

    《予測することが目的ーーどのワインがおいしいのか、どの製品がよく売れるのか、どの馬が速く走るのかーーであるなら、どうして自分のモデルがそのように動いているのかを詳細に知る必要はない。正しいデータを得れば良いだけだ》(p.92)

    《つまりインターネットは、むしろさまざまな政治的視点を持つ人々を結び付けているのだ。一般的なリベラルはリベラルな夫やリベラルな子供と朝を過ごし、リベラルな同僚と日中を過ごし、リベラルなバンパー・ステッカーを貼った車に囲まれて退勤し、ヨガ教室でリベラルな仲間たちに囲まれて過ごすのだろう。そして帰宅してCNNのサイトで保守的な投稿をいくつか読み、共和党員の高校時代の知り合いからフェイスブック上のリンクを受け取る瞬間が、一日のうちで最も保守的な考えに接する時間なのかもしれない》(p.167)

  • ビックデータが明らかにする色々な真実を語った本。ただ、事例が当然ながら全部アメリカなので、もうちょっと…
    Googleの検索ワードを分析することで、人の考えや行動がわかる、というのはやはり面白く、いろんな事例が出てきて楽しい。SNSはやっぱり皆自分を良く見せようとしている、とか。世論調査とfacebookのプロフィールや投稿データの分析と検索傾向、それぞれの結果が異なるのは面白い。対面ベースの調査、オンラインだけど個人特定される環境での調査、完全匿名での調査。だんだん本音に近づいていくのでは、というのは確かにね。
    個々の事例は面白いけど、アメリカの事例なので割愛。ただ、ビックデータによって、より細かな分析が出来るのは面白いかな。データが増えたことでこれまでより詳細な分析が出来ると。これまでは国全体の状況しかわからなかったものが州単位とか、場合によっては市単位とか、で把握できるのは、より細かな打ち手が考えられるようになり、効果を上げやすいのかも。
    とかいうのを考えてみると、やっぱり地方への権限委譲がもっと進むべき、と思う。国単位で考えるべき政策はもちろんあるけど、県や市区町村レベルで考えた方が良いものもあるはず。
    良い環境に身を置くと人は良くなる。よく言われるけど、ビックデータ的には証明されているらしい。

  • 著者によると、本書は『ヤバい経済学』の現代強化版。
    アンケート調査のような方法だと、必ずしも正直な回答が得られない。どうしてもバイアスがかかってしまう。また、多くの回答者を集めるのは時間とコストがかかる。ところがgoogleのような検索エンジンで、人々は自分に正直に検索を行うし、しかも膨大なデータを簡単に得ることができる。このデータを用いると色んなことがわかる(例:ゲイは男性人口の5%)し、新たな発見が今後もみつかるだろうという話。
    どのくらい人種差別しているか、たとえ面と向かって聞かれなくても、自分は人種差別するような人間ではないと多くの人は答えるだろうが、黒人を差別するniggerなんて検索数が多い地域とオバマが大統領選で苦戦した地域が重なる。
    コンドームの年間販売量は年6億個に満たないのに、女性の回答によると11億個、男性の回答によると16億個のコンドームを使用していることになる。嘘だらけだ。
    本書で紹介されている興味深い事実は多々あるので、興味があれば、一読をお勧めしたい。
    例えば、「セックスレス 結婚」の検索回数は、「不幸 結婚」の3.5倍、「愛のない結婚」の8倍も多い。
    子供を持てば後悔するかという検索より、子供を持たないと後悔するかという検索の方が7倍も多い。他方、子供がいる成人は子供がいない成人より、3.6倍もその決断を悔いているとgoogleに告白する。
    女性は、男性がペニスについて検索するのと同じほど、陰部について検索しており、最大の関心は、その悪臭と対策だ。
    言い間違いや書き間違いには性的願望は現れない。
    貧困層が長生きできる都市は、汚染度が最も少ない都市や健康保険の被保険率が最も高い都市などではなく、多くの富裕層が住んでいる都市である。
    借金を踏み倒す人は、融資申し込みの際に「神(God)」「お返しします(will pay)」「病院(hospital)」「約束します(promise)」「ありがとうございます(thank you)」という言葉を良く使う。
    暴力映画が封切られると、街の犯罪は減る。等々。

  • 人間はアンケート調査のとき、匿名でも嘘をつく(社会的望ましさバイアス)。セックスの回数を多く申告し、人種差別はしないし偏見もないと答える。しかし、コンドームの消費される数を調べるとじっさいのセックスの回数が少ないことが分かるし、「nigger」とググるひとはまだまだいる。

    直観はしばしば頼りになるが、バイアスは避けられない。夫婦関係は共通の友人がいたほうが長続きするように直観的には思えるが、それは間違っている。バスケ選手は貧しい地域から生まれるような気がするが、中流が出身の選手の方が多い。

    ビッグデータは1.新しいデータをもたらし2.正直なデータをもたらしい3.部分集合に絞り込みやすく4.比較対象試験が手軽にできる。

    ビッグデータを使って何かをするときの教訓1.データが重要視されていない領域に乗り込む2.予測がなぜ正確になるのかを説明できる必要はない

    データから分かることいろいろ。SNSでは自分の幸福を盛る。暴力的な映画は暴力的な人間を隔離し、アルコールから遠ざけることで暴力犯罪を減らす。一部の女性は暴力的なポルノについて検索する。パートナーがセックスに応じてくれないという検索は女性の方が多い。学校の教育方針は生徒の今後を予測しない

  • 著者はグーグルの元データ分析者。
    グーグルの検索から、アンケートでは決して現れない人の本音を探ることができる、というのがタイトルにもなったテーマ。
    それだけではなく、データ量が膨大なだけに対象を細かく絞って比較検証を行ったり、これまで見過ごされていたデータの有効性が明らかになったり、オンラインの同時性を活かして容易に実験を行ったり、とビッグデータの守備範囲は広い。ビッグデータという言葉は一般的にはなったが、その本当の意味合いを教えてくれる。
    しかしデータの量は膨大になったが、それをどのように使うのか、どう解釈するのかは人間。その点、データサイエンティストの役割が決定的に重大になったと言える。
    ビッグデータ礼賛ではなく、その限界や陥りやすい罠も解説されているのも良かった。

  • グーグル検索などのデジタル自白剤で得られたビッグデータでわかった人間の本性。
    ひとは、アンケート調査に対しては嘘をつく。
    貧困層の多い町からは有力スポーツ選手は出にくい。
    農村人口の多い地域のほうが、精神的に不安を抱えているひとが多い。
    書き間違いは、性的な潜在意識を表すものではない。
    夫婦が異なる趣味、異なる交際範囲を持っている方が、離婚する率が低い。
    オバマは、人種差別によって不利益を被っていた。
    男は性器の大きさに悩み、女は性器の臭いに悩む。
    私はXXXとセックスしたい、という検索の4分の3は、母親とのセックス願望。
    女性は、自分の話題に同調し、共感してくれる男性を好む。相手のことを尋ねてきたら、話題が尽きた証拠。
    親は性別で子供を差別している。男児には知性を求め、女児には容姿を求める。
    実は、リベラルも保守も同じようなニュースサイトを見ている。
    子供が8歳のときに流行っていたスポーツが生涯の好みのスポーツになる。
    データの絞り込みで得られる真実。所得階層の流動性は、アメリカ全土では高くないが、非常に高い地域もある。
    多くの富裕層が住んでいる地域の住民は、(その人自身が貧困でも)長生きできる可能性が高い。
    教育費支出が高いと、子供が中の上くらいまで豊かになる可能性が高まる。大学町、大都市、移民が多い地域は、超有名人が出る確率が高まる。
    A/Bテストで分かる真実。
    有力学校にギリギリで受かった子供とギリギリで落ちた子供の、成人後の所得水準は大して違わない。
    ビッグデータでも、成果が出ない分野もある。すでに徹底的な調査・分析が行われれいる分野、例えば、証券投資分析など。



全55件中 1 - 10件を表示

酒井泰介の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
シーナ・アイエン...
有効な右矢印 無効な右矢印

誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性を本棚に登録しているひと

ツイートする
×