ほんとうのアフガニスタン: 18年間闘う平和主義をつらぬいてきた医師の現場報告

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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334973339

作品紹介・あらすじ

内戦、伝染病、貧困、飢餓、あらゆるいのちの闘いをつづけてきた日本人医師。史上最悪の大干ばつ発生に、医師団は1年で1千本の井戸を掘り、いままた空爆後のアフガン難民に、いち早く食糧援助を開始している。私たち日本人はいま、何ができるのか、どうすれば役に立てるのか、知りたいことがここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 「問題解決能力」とは、具体的にどのような能力なのか。(https://blog.tinect.jp/?p=73316)というブログ記事で紹介されてるのを見て、衝動買いした一冊。医者として、パキスタン北西辺境州、アフガニスタンに入り、医療を施す前にまずは現地の人々が生きるために何をしなければならないか、ということに気付かされ、井戸を堀り、病院を建てるために土木監督をし、無感覚になってしまうらい病患者の足を守るためサンダルを開発し、銃を向けてくる無法者には敢然と立ち向かい、地域を束ねる長老たちと交渉する。空爆や飢饉が起きても絶対に逃げない姿勢を見せ、現地からの信頼を得る、と。湾岸戦争や9.11からの空爆について、当時の日本でニュースで語られていた実情と、全然違う、現地に深く関わったものだからこその視点も得られた。また、アフガニスタンでの医療のために、と意気込んでやってきたわけではなく、縁にみちびかれてここまでやってきたので、参加したいという方はまずは物見遊山でもいいから来てみてください、続けられたらありがたいし、そうでなければ別の道にすすめばいいというスタンスが印象に。

  • 真実を知ることなんてできないんだなと思った。物事にはたくさんの面があり、信じたい面のみ見ようとしてしまう。中村哲さんの行動力と信念を貫く強さと、殺害されてしまった事実が苦しい。

  • 現地に入り込んで支援するという姿勢と実現していくことがすごい。

  • アフガニスタンという言葉はよく耳にしてきたのに、その国のこともそこに住む人たちのことも何も知らなかったんだと痛感した。
    女性の解放も民主主義も大切なことで、アフガニスタンでそれらを実現することはアフタにスタンの人々にとっても重要なことだと思っていた。
    でもそれは日本に生まれ育った中での私の価値観であって、そのままアフガニスタンの人々にとって当てはまるわけではない。
    本当に何か助けるのだとすれば、そこでの「普通の生活」が明日もあさっても続いていくように手伝いをするということなんだ、というようなことを中村さんは言っていた。
    私は大きく勘違いしていた。
    中村さんやペシャワール会の人たちがしている活動は偉大だと思う。
    それと同時に現地の人々の生活の中に入って、そこでの文化、習慣を十分に理解し尊重し必要なことを淡々と行うという思想に学ばされるものが多かった。
    それともう一つ中村さんが言っていたことで大切なことだと思ったのは、流れてくる情報を鋭い目で見極めるということ。
    私たちの情報は欧米から見た世界。すべてを鵜呑みにせず本当のことは何なのか自分で確かめることの大切さ。
    それを改めて実感させられた。
    年会費3,000円からペシャワール会の会員となれるそう。その9割以上が現地での活動費として使われているんだとか。
    私にできるとしたら、それくらい。
    あとは今を懸命に生きること。アフガニスタンの人々のように。

  • 偉大な人がいるもんだな。

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著者プロフィール

1946年(昭和21年)福岡県生まれ。医師。PMS(平和医療団・日本)総院長/ペシャワール会現地代表。
九州大学医学部卒業。日本国内の病院勤務を経て、84年にパキスタンのペシャワールに赴任。以来、ハンセン病を中心とした貧困層の診療に携わる。87年よりアフガニスタン難民のための医療チームを結成し、山岳無医地区での診療を開始。91年よりアフガニスタン東部山岳地帯に三つの診療所を開設し、98年にはペシャワールにPMS基地病院を設立。2000年からは診療活動と同時に、大干ばつに見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削とカレーズ(地下水路)の復旧を行う。03年、「緑の大地計画」に着手、ナンガラハル州に全長27キロメートルに及ぶ灌漑用水路を建設。その後も砂嵐や洪水と闘いながら沙漠化した農地を復旧した。マグサイサイ賞「平和と国際理解部門」、福岡アジア文化賞大賞など受賞多数。19年10月にはアフガニスタン政府から名誉市民証を授与される。
2019年12月4日、アフガニスタンのジャララバードで凶弾に倒れる。
著書:『ペシャワールにて』『ダラエ・ヌールへの道』『医者 井戸を掘る』『医は国境を越えて』『医者、用水路を拓く』(以上、石風社)、『天、共に在り』『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』(以上、NHK出版)、『アフガン・緑の大地計画』(PMS&ペシャワール会)、『希望の一滴』(西日本新聞社)など。

「2023年 『中村哲 思索と行動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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