こころに効く小説の書き方

著者 :
  • 光文社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334974404

作品紹介・あらすじ

小説作法の権威がわかりやすく具体的に説く。

感想・レビュー・書評

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  • 英語の和訳のような文章ではなく、「日本語」を書く。昨今ではたしかに和訳調の日本語が多いなと感じるので、自分も気をつけたいところ。それを踏まえて読んだ川端康成の日本語が美しすぎて思わずうっとりしてしまった。日本語の美しさを失わずにいたい。
    最後におっしゃっていた、「小説を書くとは、生きるということ」というのが印象的。

  • わかりやすい。

  •  これも前の2冊と同じで、「小説の書き方」を書いている訳じゃない。すごいふんわりとした抽象的な話だけである。本当は「小説の書き方」を知っているのに、プロの商売道具として企業秘密だから出せないのであろうか。いや、そんなことはない。著作を見ると、「芥川賞をとった」だけ。この人も小説を作るのに、身体を切り売りしちゃったタイプ。だから次が続かない。

     もちろん生涯に1作だけでも傑作を残せば、それで十分だと思う。だから「小説の書き方」なんていう大それたことはしないほうがいいと思うのだが。神風特攻隊みたいな小説の書き方は一度限りの方法なのだ。
    著者が大学で小説講座を開いて累計2000人のうち文学賞を取ったのは5人だという。プロの小説家になった人数ではない。数多ある文学賞を取った人数が5/2000だという。受講者は早稲田の学生。決して生徒全体のレベルは低いとは言えない。

     実は日本の文学、こと純文学に於いては本当に小説の書き方を知らないで書いている作家だけなのかもしれない。プロットにしても行き当たりばったりで方法論がない。それが日本文学の幼稚さになっているのかもしれない。

     自分はあまり好きではないが、村上春樹。したたかである。構成も計算ずくなのだろう。文章も日本語の美しさ、優雅さを決して生かそうとはしない。村上春樹訳「長いお別れ」は清水俊二訳のそれに比べれば味も何もない。だから日本語の書き手としては上手い方ではない。

     しかし、村上は意図的に小説で日本語の味を消す。外国語に翻訳されたときにも小説のニュアンスが変わらないように文章を記号的に書く。翻訳されることを前提にしての執筆である。これくらいのしたたかさが日本の小説の創作技法に欲しい。ただ欲しいのはあくまでもしたたかさである。世界で1番完成度が高く、優れた言語である日本語を生かさない日本の作家など価値自体は低い。

     それでもサンタクロースはいると信じ続け、子どもはコウノトリが運んでくれると信じている日本の作家にもうすこし創作技法があってもいいのでないか。ポーは「大鴉」の詩で、それが計算し尽くされたうえに作り出したことを示した。寺山修司も臭すぎるほどの技法で、文学を編む。子どもは神様の授かり物という体をもちつつも、受精から細胞分裂による発生過程を経て多細胞生物にいたるものであることも冷徹に受け止めなければならないだろう。世阿弥の「風姿花伝」にある「秘すれば花」は目立ってはいけないものの技の必要性を主張している。小説技法を徹底的に追究しつつ、それを無きが如く表現すればいいだけであり、それもまたひとつの小説技法だろう。

  • 初っ端から辛口で現実をじりじり突きつけてきて、最初は「大丈夫か?」と心配にもなりました。
    けど、自分は本当の「小説家」になりたいわけではなく、趣味で書けたらいいな程度だったのでそのまま読んでみることに。
    内容は分かりやすい簡単なハウツー本ではなく、理論から入るちょっとむずかしげな内容。
    分かりやすいようにとたくさんの例をあげてくださっています。
    ハウツーを求めると、ちょっと読むのがしんどいかも?
    でも、読んでいくうちにそこここで出てくる口の悪い突っ込みが面白くて、声を出して笑うところがちょこちょこあったり。
    結局最後まで読めました。
    そういうところがさすが小説家なのかなぁ。
    辛口なのはこの方のスタイルなのかな?

    もう一度読む気にはなれないけど(汗)、簡単なハウツー本では見られないような理論から入ってくださり、知らないことがたくさんあって本当に勉強になりました。
    読んでよかったです。

  •  早稲田の文芸で長年講師として小説の書き方を教えてきた著者が、その経験を基に書きおろした作品です。
    小説とは何か、小説の歴史、どんなジャンルがあるのかなどを最初に説明。
    そして具体的に有名作家の作品を引用しながら、文章の書き方が説明されていました。

    具体的な例が載っていることで、すごくイメージし安かったですね。
    小説を書くことの奥深さも知ることが出来ました。
    他にも何冊かあるようなので、ぼちぼち読んでいこうと思います。

  • いろいろな小説の例にとり、解説、分析を交え、小説を書くときの心構えなど説明した一冊。実存と構造のくだりは知ると納得します。作家になるのも楽じゃないですね。

  • <b> 読者のことを考えて自分に厳しくあたる。それこそが、本当のプロ意識なのです。</b><br>
    (P.205)

  • 040724

  • この本を手に取った理由はこの「こころに効く」というタイトル。
     小説を書く授業の先生をされていたこともあって、よどみなく丁寧に真摯に語りかけてくる文体に、本当に心に効いたような気がします。
     小説を書くという行為を通して「生きる」ということを学びました。

  • 早稲田講義での三部作と似た部分も多いが、小説の成り立ちから現代に至る表現の手法、プロとしての心構えほか。<br>
    読み物としても面白い。

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著者プロフィール

(みた・まさひろ)小説家、武蔵野大学名誉教授。1948年生まれ。1977年、「僕って何」で芥川賞受賞。主な作品に、『いちご同盟』、『釈迦と維摩 小説維摩経』『桓武天皇 平安の覇王』、『空海』、『日蓮』、『[新釈]罪と罰 スヴィドリガイロフの死』、『[新釈]白痴 書かれざる物語』、『[新釈]悪霊 神の姿をした人』、『親鸞』、『尼将軍』、『天海』などがある。日本文藝家協会副理事長、日本文藝著作権センター事務局長も務める。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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